映画レビュー

『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』感動も多幸感も表現しきれない薄味ミュージカル

(C) Universal Pictures


日本人が如何にも好きそうなミュージカル映画だなと思った。『グレーテスト・ショーマン』みたいな楽曲力だけで成立しているような、中身がスッカスカな映画がやたらと持て囃されたのも違和感があったが、この映画も同じ。こういう毒にもクスリにもならないような、数年後には記憶の片隅にも残ってないような、何の変哲もない映画で感動するほど安い人生は歩んでない。

ABBAなんて2018年現在に聴いて感動するか? 日本で言えば、「♪緑の中を走り抜けてく真っ赤なポルシェ~」(by山口百恵)で大熱狂するようなもんだぜ?(ABBAの「ダンシングクイーン」と同年リリース曲)
「マンマ・ミーア」とか、ライトな洋楽ファンが心躍る構図が見えて気色悪い。そもそも、ミュージカル・シーンに何の工夫も無い。多幸感みたいなものもない。ミュージカルってのは、やはり現実世界で急に歌い出して、現実離れしたシュールレアリスムの世界観が構築されて、如何に圧倒されるか否かだと思うわけで。
なんか浅い。だって、この映画で起きる事件って、メリルの娘が事前にPARTYの準備をしていたけど、天候が変わって全部グチョグチョになったってだけでしょ? で、招待客も来れないってなって・・・・・・絶望って、どんだけ豆腐メンタルなんだよ! 浅いわ~。薄いわ~。

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それでも、行き当たりばったりに出会った漁師が大勢PARTYに来るってなって、船の上で「ダンシング・クイーン」なんて躍っちゃって、喜んで。映画は華やかな雰囲気出してるけど、そんな見ず知らずの人間で無理矢理、埋め尽くされたPARTYって逆に虚しくないか? それなら、本当に気の知れた人だけでメリルを偲ぶ方が、よっぽど人間的に思えてしまうんだけど。俺は騙されない! SNSで簡単に人と繋がれる時代。インスタのフォロワーが多いことが人間の価値観みたいに思われるような時代っすからね、数主義というか、人の関係性も希薄でいいのかなと。だから、ああいうスッカスカなご都合主義でも満足しちゃうんだろうかと。感動が浅いっていうのは観る者も浅いってことだと思ったわけでね。別に否定はしませんけど。


ただ、旬の若手が頑張ってたなと。前作から連投のアマンダ・セイフライドや、『ベイビー・ドライバー』のリリー・ジェームズ、『戦火の馬』のジェレミー・アーヴァインなど、今後のハリウッドを背負っていく若手の活躍は嬉しい。


けど、年寄りはいい。昔「夜もヒッパレ」って番組で、売れなくなった懐メロ歌手が、人気ヒット曲を歌うっていう懐古主義万歳みたいな番組があって、渡辺真知子とか、サーカスとか、狩人とか、麻倉未稀とか出てたやつ。ああいう昔取った杵柄みたいなのが持て囃されるのはダサい。この映画も似た傾向があったけど、こういう保守的なハリウッド映画ってのは、やはり面白みがないなと。


最たるものはシェールの存在だ。むしろ彼女が出ると知って観たんだけど、懐古主義なんて吹き飛ばすようなラスボス感が凄まじく、アメリカのショービズ界の唯一無二な存在であることを久々に確証させた感じがある。
ずっと旬な若手の女優と男優が恋愛物語をやって、どれだけ頑張ろうが、最後は大御所シェールが全てを持って行く。最後にチョロッと出ただけなのに、脇役なのに、CG花火がドッカンスッカン上がってハイライトのように派手派手しく、美味しいところ全部持って行ってしまう。これぞアメリカの芸能界の縮図と言える構図は面白かった。

(文・ROCKinNET.com編集部)
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