映画レビュー

『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』の功績は神話をオリジナリティをもって進展させたことにあり!

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どうして賛否両論なのか? 言わずもがな『最後のジェダイ』がSWを進展させてしまったからだ。旧三部作(特にEPIV)を踏襲したに過ぎない『フォースの覚醒』を観れば、従来のSWファンは安心するだろう。“俺達のSW”が守られていたから。しかし、いくらルーカスが手を引いたからと言って、ディズニーが製作してるからと言っても、いつまでも古典を焼き直していては、新たなSWを再始動させる意味は無い。そういう観点から言わせて頂ければ、『最後のジェダイ』は大成功だったと思っている。

まず、これまで曖昧だったフォースを視覚化させた功績は大きい。ドラゴンボールで言うところの“気”みたいな感覚的なもので、抽象概念でしかなかった。非常に日本チックな物の捉え方なので、それを具現化するのは風情が無いかも知れないが、新たな主人公レイがフォースを取得する過程を描くには、ああいった描写は必要だったと思う。
そして、フォースの二面性、脆弱性を描いたことも素晴らしいと思った。SW自体が全世界共通の勧善懲悪ストーリーのもとに成立してるにせよ(ルーカスの狙いでもあるけど)、その物語を支える絶対的なパワーの象徴でさえ確固たる力でなく、善悪の基準が曖昧になるというジェダイの綻びを、ルークがカイロをライトセーバーで襲う様を用いて、ミステリーとして描く。ルークが暗黒面に落ちたのか?という不安がよぎった。脚本の巧さ、観客の興味を引き付ける技は素晴らしい。

© ROCKinNET.com(購入image)

この『最後のジェダイ』でハッキリ分かったことは、『フォースの覚醒』から始まる続三部作が、スカイウォーカー家の物語でなく、SWの同家系からの卒業宣言だということだ。これまでは、アナキン、ルークと、強大なフォースを有する家系の“選ばれし者”の物語だったが、同作は主人公レイを「酒代欲しさに親に捨てられた少女」という過酷な現実を突き立て、40年間も語られてきたスカイウォーカー家による一大叙事詩からも突き放す。同時にジェダイは誰でもなれるという、正しく“新たな希望”を提示した。
逆に言えば、公開前に世界中がレイをスカイウォーカー家と関連付けようと妄想したが、それも結局は、SWは同家系の物語であることの安心感を求めていたに過ぎないことが分かった。けど、無理な関連付けがなくて良かったのかも知れない。これで、ルークとレイアのように、カイロ・レンと双子でしたなんてことでなくて良かった。妙にレイとカイロが意識内でSkypeするので、「もしや・・・・・・」と思ったが、そんな自分の易い予測に忠実でなくて良かった。

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ただ、フォースを手に入れる・ジェダイになるというのは、本当に大変なことで、アナキンやルークの苦悩、ディズニー買収前にカートゥーンで放映されていたアニメ「クローン・ウォーズ」でアナキンのパダワンとして懸命に修行していたアソーカの苦悩と比べれば、レイの修業は安易なことは否めないが、それをやっていると、レイがジェダイになるまで数十本の映画が必要となるので、そこらへんはご愛嬌でいい。

そして何と言っても、ルークなのである。この映画は彼に救われたと言っても過言ではない。最後、レジスタンスが避難した砦を襲撃しに来た多くのAT-ATの前に立ちはだかったルークの勇士ったらない。あの姿を見て、良しとしないのならば、逆に新しいSWを是としない保守的なファンでさえも否定したいくらいだ。ここ数年のマーク・ハミルを見たのは、DCドラマ「FLASH」での悪役で、その老いた姿に愕然としたのだが、10kgのダイエットが功を成したか、年老いた過去の俳優の姿ではなく、正しく数十年後のルークの姿があった。そして、青いライトセーバーを構えた姿に痺れた。本当にカッコ良かった。そして、劇的なラストを迎えたわけだが、物語を紡いでいく過程においてルークを描く思考としては、あれで間違えではないと思う。

懐古主義からは何も生まれない。老いたジェダイをいつまでも英雄視するのは違う。『フォースの覚醒』の時に感じたのだが、聖書に匹敵するような隙のない神話である旧三部作に遠慮し過ぎて、ルークにせよ、ダース・ベーダーにせよ、旧作のキャラクターを持ち上げすぎだなと。新しい登場人物の魅力や描写にもっと尽力しろよと思ったが、この『最後のジェダイ』で、それが成されたこと、進行したことに個人的には大万々歳なのである。

ただ、唯一の皆勤賞であるC3POやR2D2を登場させていれば、何を描いてもいいという訳ではない。『スター・トレック』化しないように、制作陣には通常以上の気を遣ってほしいと思っている(他人任せ~笑)それでも、俺は続三部作を、今後のSWを支持していこうと思っている。

(文・ROCKinNET.com編集部)
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