邦楽

桑田佳祐が「ヨシ子さん」でやりたかった開放

kuwata2016

本格的に音楽番組への出演など精力的なメディア戦略を始めた桑田佳祐。
力の抜けた意表を突いた表題曲の「ヨシ子さん」のインパクトが狙い通りなのか、良くも悪くも評判を呼び、この初夏の邦楽界の話題をかさらってるのが流石の浸透力とプロモーション力だと感心する。

「R&Bって何だよ、兄ちゃん?」の後に「オッサンそういうの疎いのよ 妙に」と茶化し
「EDMたぁ何だよ、親友?」の後に「“いざ”言う時に勃たないヤツかい?」と得意の下ネタで茶化す。
グラミー賞も要チェックするような音楽に貪欲な桑田佳祐が、本当にR&BやEDMを知らないはずがない。そのあとの<茶化し>にこの曲の本質はある。これまでサザンは時代の流行を取り入れ、先読みし、日本音楽界のスタンダードを築いてきた。
その流行を茶化す行為、それは紛れもなく<桑田による「もはや、それをしない」宣言>。
今回は流行歌作らないから・・・「俺、好きな曲作るから」という開放的な宣言に思える。
(過去にも「東京」「明日へのマーチ」など、表題曲らしくないズラした作品はあったが)
そこには、絶対の確率でヒット曲を世に送ってきた桑田のプレッシャーからの開放にも感じる。

これに近い(・・・と勝手に予測される)エピソードを思い出す。
ジブリ映画の『ホーホケキョとなりの山田くん』だ。『もののけ姫』に続いて公開された本作だが、ジブリ史上初の赤字興行となった映画でもある。鈴木敏夫氏が言うには、この結果はある程度想定内だったらしく、
ヒットが続くと、会社や周囲からのプレッシャーが高くなって、作る人間も数字を追いかけるようになる。そうすると現場は萎縮してしまう。自由を取り戻すためには、どこかで数字をリセットしなきゃいけない。という発想によるものらしい。その後の『千と千尋』でこの試算が成功だったことは証明されてるわけだが。

桑田佳祐が開放した夏・・・今年はまだツアーを発表していない。
何十万人も動員するツアーも開催せず、桑田佳祐の<自由な夏>は♪チキドンという音色と共に心地よく流れている・・・

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 13年ぶりロッキンに出演したサザンが凄かった!ROCK IN JAPAN史上最大…
  2. 【全曲レビュー】桑田佳祐の最新作『がらくた』が凄過ぎた!大衆音楽ここに極まり!
  3. サンボマスター vs My Hair is Bad 男どアホウ夏の陣!日本ロック…
  4. UVERworldの男祭り遂に東京ドーム実現!でも女性CREWからブーイング?
  5. 『君の名は。』遂に北米公開で絶賛の嵐!

関連記事

  1. 邦楽

    サザン最大規模の全国ツアー発表!

    正月にサザンが何かを発表することは実に珍しいです!夏バ…

  2. 邦楽

    宇多田ヒカル新作『Fantôme』が素晴らしい!

    日本音楽界に語り継がれる新たな名作誕生!凄くパーソナル…

  3. 邦楽

    SMAPの解散に想いを寄せて

    実に淡々とした幕引きだった。これまで日本の芸能史では多くの…

  4. 邦楽

    UVERworldのTAKUYA∞が入籍!

    昨年からフェスに出場したりと生まれ変わったかのように大躍進…

  5. 邦楽

    SKY-HIの新曲「キョウボウザイ」が身震いするほど素晴らしい!

    今年個人的に要注目しているアーティストの一人にSKY-HIとい…

  6. 邦楽

    細美武士の新たな門出に祝福を!

    MONOEYESの新譜を聴いた。エルレ休止直後のthe…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. 音楽

    2017年 勝手に選ぶベスト洋楽 TOP10
  2. 音楽

    遂に雪解けの予感?それでもオアシス再結成が無いと言い切れる理由とは!
  3. ライブレポート

    ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017 4日目ライヴレポート
  4. ハリウッド

    SW史上最大の被害者?ダース・モールその悲劇の人生を徹底解析!
  5. 映画レビュー

    『アベンジャーズ/エンドゲーム』 映画史に残る大傑作にして娯楽の頂点だ!
PAGE TOP