ご逝去後に感じる偉大な存在
本当に国民から愛された芸人なんだなと改めて感じている。
追悼番組は高視聴率を記録し、SNS上では心の底から笑ったという感想と同時に「泣けてきた」というコメントで溢れた。つい最近までテレビで活躍していただけにショックは拭いきれない。ロスなんて言葉で表せないほどの喪失感に苛まれている人も多いはずだ。
10代20代は「志村動物園」30代は「バカ殿」「だっふんだぁ」「加トちゃんケンちゃん」40代は「ドリフ」50代以上は「全員集合」と全世代に愛される存在、志村けんはテレビにいて当然の人で、日本人の笑いの感性を築き上げたと言っても、これは、もう過言では無いと思う。
都知事や維新代表などが志村けんの死を功績と呼ぶことの違和感
その衝撃は芸能界にも及ぶ。様々な芸人が追悼のコメントを出すのを聞いてて、人格者なんだと思った。
そんな中で小池都知事が「本当にエンターテイナーとして、みんなに楽しみであったり、笑いを届けてくださったと感謝したい。最後に悲しみとコロナウイルスの危険性について、しっかりメッセージを皆さんに届けてくださったという、その最後の功績も大変、大きいものがあると思っています」というコメントを発表する。維新代表の松井氏も「大変残念ですが、志村さんがコロナの恐ろしさを教えてくれました。「ありがとうございます」心より御冥福をお祈りします。」とツイート。
まるで死を功績化するような非人道的発言とも捉えられる。なにもコロナの恐ろしさを広めたいがゆえに、志村けんはコロナに感染し、命を落としたわけでは無いのだから。政治を司り、感染者が爆発的に増加する中、精一杯なのは分かるが、少しニュアンスからしてデリカシー無いなとは感じた。
関係ない兄ちゃんが音楽番組で「盛り上がっていこう」と叫ぶ空気の読めなさ
それと同時に3月30日に放送された4時間の生放送「CDTVライブ!ライブ!」という音楽番組の中で、GENERATIONS from EXILE TRIBEのメンバー数原龍友が「テレビの前の皆さん。そして天国に行ってしまった志村けんさんも、僕たちと一緒に最高の笑顔で盛り上がっていこうぜ!」と叫んだことが、SNS上で批判を呼んだ。彼の意図することは理解できなくも無い。27歳の彼もまた「バカ殿」などを見て育ったに違いないだろうから。思い入れもあるんだろう。
しかし、御逝去された当日に、ダンス・ナンバーを披露する中でのコメントでは決して無い。遺族の方を思えばTPOをわきまえておらず「盛り上がっていこう」という言葉のチョイスも浅はかだし、「暗い世の中を明るくしたい」という思いで、そんな縁深くも無い故人の名前を出す発想が幼稚すぎる。今年のアカデミー賞で追悼コーナーでビリー・アイリッシュがビートルズの「イエスタデイ」を歌ったが、同じ音楽パフォーマンスとは言え、全く雰囲気も違うからだ。
全部あいつが悪いんです(笑)
最高の追悼の言葉だと思います。 pic.twitter.com/U6rWQzv3PD— ROCKinNET.com (@ROCKinNETcom) April 9, 2020
ドリフ、研ナオコ、いしの・・・志村けんと親しいから許されるという説得感
後日、フジテレビで放送された追悼番組には、ドリフターズの加藤茶、仲本工事、高木ブー、そして、共演が多かった研ナオコ、いしのようこが出演した。その人選だけで納得のいくものだった。番組で流れる音楽が辛気臭いと加藤茶は文句を言ったり、研ナオコも(志村が研を笑わしてコントが出来なかったことに対して)「全部あいつが悪い」と言ったり、最後まで笑って送ろうとするのは、その親密感を国民も認めているからこそ許される。桑マン、ダチョウ倶楽部、優香、磯山さやか、千鳥の大悟も、そうだろう。
お悔やみというのは愛情表現だと思う。関係性の薄い部外者が、功績だと讃えることでも無ければ、ダンス前に盛り上がろうとシャウトすることでも無い。人として謹んで喪に服すことの意味を考え直してほしいと思ったりした。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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