映画レビュー

『ターミネーター:ニュー・フェイト』キャメロンのコピーを30年ぶりに作っただけで新鮮味が無い!

(C) 2019 Skydance Productions, LLC, Paramount Pictures Corporation and Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

1991年の『ターミネーター2』の時代と今では映像技術の革新と、その浸透性に雲泥の差がある分だけ、驚きが少なくなるのは致し方ないのかも知れないが、何よりも残念なのは、敵のREV-9が『T2』でいうT-1000と全く同じ液体金属型で、前回はエドワード・ファーロング(なんと今回でも登場する!)、今回はメキシコの姉ちゃんを抹殺しに来るという目的も同じで、何の斬新さもないことだ。

このシリーズは基本的に鬼ごっこ形態で成立してるので、主人公たちが逃げ切る際の派手なアクションが期待されるが、それも既視感ありありの展開で残念。とは言え、『デッド・プール』を手掛けた監督だけに、スピーディーな超絶アクションが延々と続き、娯楽作として及第点は達成しているのだが、『T2』の正当な続編と銘打っときながら、どこかキャメロンのコピーを作るのに終始したような印象しか残らず残念な気がした。唯一、現代的だなと思ったのは、サラ・コナーや強化人間の姉ちゃんなど、闘うのが女性メインだってところだけ。

[PR]


久々のサラ・コナーの登場シーンや「I’ll be back」と言い捨てる感じには痺れたし、ロケット・ランチャーをぶっ放す姿も様になってるし、「Metal Mother Fu**er!(この金属糞野郎)」なんて叫ぶほどファンキーな婆さんぶりが冴え渡ってて爽快だったが、流石に年老いた。御年72歳の老いたシュワちゃんもパワーダウンは否めない衰えよう。せっかくの続編だ、この両者に、もう少し華を持たせてもいい気がした。この共演をシリーズファンも心待ちにしていたのだから!(サラ役のリンダ・ハミルトンは『T2』以降は脚本の出来が良くないと出演を断っていたにも関わらず、なぜ今回は承諾したか謎である)


『T2』の緊迫感は無敵のシュワちゃんが、いくらドンパチ闘っても、それでも決してダメージを受けずに無表情で追ってくるT-1000に恐怖を感じた。あの緊迫感は互角のパワーバランスで成り立っていたと思うと、今回は婆さんと錆び付いたターミネーターでは最初から強敵に立ち向かうなど無茶ぶりとしか思えない。それをカヴァーするほど、強化人間の姉ちゃんも強くなく。ターミネーターは勧善懲悪の物語なのだから、正義が際立つべきだ。『T2』でシュワちゃんが、ファーロングを抱えて逃げる父性にも似た格好良さみたいな、そういうヒロイズムを感じなかったのが致命的だったんじゃないかと思う。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

[PR]




[PR]

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 第10回 独断で選ぶ素晴らしい邦楽たちTOP10 2018
  2. マーベルが『ブラックパンサー』でヒーロー映画初のアカデミー作品賞を獲得するために…
  3. 実写化史上最も成功していると言って過言でない『美女と野獣』に感動する
  4. 『いぬやしき』興行失敗で垣間見える漫画原作映画の限界~世間はエグさに飽きている
  5. アリアナ慈善LIVE「One Love Manchester」を観て感じたこと

関連記事

  1. 映画レビュー

    愛され系映画キャラの理想形『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』

    今回はシリーズ中でも最も笑えると思うくらい、下ネタ、社会風刺、毒舌…

  2. 映画レビュー

    『カメラを止めるな!』は確かに面白い!当たるべき所に陽が当たった喜び!

    ※注意※当記事はネタバレしておりますので、未鑑賞の方は絶対に読…

  3. 映画

    【映画鑑賞日記】ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル

    トム・クルーズは誰が何と言おうとスターだってことを再確認し…

  4. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】モアナと伝説の海

    冒険活劇として一級品だった。まるで『マッドマックス 怒りのデスロー…

  5. 映画レビュー

    グレン・クローズの芸達者ぶりに圧倒された『天才作家の妻 -40年目の真実-』

    ノーベル文学賞を受賞した作家と、その夫婦にまつわる疑惑をめぐるサス…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

  1. 邦楽

    KEYTALKの八木氏はナゼ愛されるのか?その無敵な愛嬌の謎と八木氏のドラムテク…
  2. 邦楽

    RADWIMPS「HINOMARU」が物議!ポップ・ソングの右傾化に不自然さを感…
  3. ライブレポート

    METROCK 2017 1日目完レポ
  4. ライブレポート

    ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017 3日目ライヴレポート
  5. ライブレポート

    ポール東京ドーム初日を観た!
PAGE TOP