映画レビュー

大衆迎合しながらルーカス愛と敬意を貫きながら完結させた『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』に拍手!

© 2019 ILM and Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.


『スター・ウォーズ』というのは何処の国の年齢・性別・宗教問わずに誰が観ても面白いと思える大衆娯楽の象徴でなければならないと思っている自分にとって続三部作は聖書に加筆するような冒険であり、果たしてそれが上手く出来ていたのか問われれば疑問に思うこともあった。しかし、J・J・エイブラムスによって、ルーカス愛と敬意に満ちながら、従来の『スター・ウォーズ』ファンを大きく裏切ることなく、今までの不満も消化できる誰しもが満足いくであろう新たな時代のスター・ウォーズ像の構築に成功したように思える結末だったと思う。

東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、公開日前夜、日本中の名所がSW色に染まった


前作『最後のジェダイ』で何者でも無かった主人公レイの素性をサプライズ公表したことも成功要因として大きい。
やっぱ、何者でも無い姉ちゃんの話じゃ誰も関心は持てないんだよね。
『スター・ウォーズ』ってのはスカイウォーカー家の話で、血縁物語なので、数少なくなったスカイウォーカー家と、どう紐付けるのか? どうスカイウォーカー物語を完結させるのか? を、「その手があったか!」と思える設定で魅せたエイブラムスに拍手だ。

[PR]


EPⅤでルークが最も憎む対象であるダース・ベイダーが父親である設定を踏襲し、それに対峙しながらもルーク同様にレイも暗黒面に陥ること無く、勧善懲悪を徹底させたのが『スター・ウォーズ』の継承法として正しいと思うし、過去作の焼き直しなんて揶揄されることも多かったあらおい続三部作だけど、変に意表を突くよりも、分かり易さと王道さを守ったのは大衆迎合してて安心する。

© 2019 ILM and Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.


また、実にファン想いな作品だなと思った。
ヨーダ以外の今までのキャラ総出演もそうだし。C-3POが超重要機密の翻訳のための修理の代わりに記憶も失うとなった時にレイたちを見つめ「最後に友を目に焼き付けてる」と言う台詞も泣けるし、それをR2-D2がプログラムを更新して直すのも微笑ましいし、クライマックスでポー率いる反乱軍が危機的状況になり援軍が来た時に、お馴染みのテーマ曲がバーンと流れたような気持ちが良いほどのヒロイズムの爽快さと言ったら無いし。
デス・スターでの大荒れの海での決闘も大スクリーンで観るに計算し尽くされた映画的醍醐味に長けており圧倒させられた。
ラストは、お祭り騒ぎではなく、レイが過疎った“あの地”へ訪れ、自分を「レイ・スカイウォーカー」と名乗って静かに終わるのも感傷的で良かった。



今後も続けるのなら公開ペースの配慮はもちろんだが、スカイウォーカー家が完全にいなくなった以上は、もっと難易度が上がったと言える。何の変哲も無い宇宙物語になってしまっては神話性も薄れ、『スター・トレック』などの類似映画と大差なくなってしまうからだ。そうならないことだけ願っている。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。



 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. KEYTALKの八木氏はナゼ愛されるのか?その無敵な愛嬌の謎と八木氏のドラムテク…
  2. サザン40周年ライヴをLVで観る!~親近感こそサザン最大の魅力だと再確認する~
  3. THE ORAL CIGARETTES山中がビバラでUVERworld TAKU…
  4. アリアナ慈善LIVE「One Love Manchester」を観て感じたこと
  5. 『娼年』の実写化で性に真剣に向き合った監督と、素っ裸で腰振りまくった松坂桃李に敬…

関連記事

  1. 映画レビュー

    【ファン・関係者御免!】これほど共感できない作品も珍しい『東京喰種』を徹底批判!

    漫画原作を読んでいない者が、たった二時間程度の実写化を観て批判する…

  2. 映画レビュー

    『キングスマン ゴールデン・サークル』エグさ健在!カッコ良さ健在!続編大成功!

    アクションの描き方も相変わらずの巧さだし、それに伴う音楽の使い…

  3. 映画レビュー

    『メアリと魔女の花』が駄目だった理由は完全に宮崎駿から解放されてなかったからだ

    アニメ映画というのは少なからず何か心に残るシーンと言うものがあろう…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. 邦楽

    CDJ1819で大量発生した「あいみょん地蔵」で垣間見えた若いマナー違反客の現実…
  2. 音楽

    PSY「江南スタイル」が持つYOUTUBE再生回数1位の記録を破ったのは!?【最…
  3. テレビ・芸能人

    テレ朝スーパー戦隊の放送時間変更の暴挙は吉と出るか?
  4. 映画レビュー

    『アベンジャーズ/エンドゲーム』 映画史に残る大傑作にして娯楽の頂点だ!
  5. ライブレポート

    【ライヴレポ】ワンオク初の東京ドーム公演で見た“世界基準のバンドの風格”に圧倒さ…
PAGE TOP