映画レビュー

『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』飽和を恒例に変える流石のクオリティ!

© 2017 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.


シリーズも五作目となり、いよいよ飽和期に差し掛かってもおかしくない同シリーズだが、「どうせ新しい『パイレーツ・オブ・カリビアン』をやるなら徹底してやろう!」という、完膚無きまでの開き直りとも捉えられる超ド級の一流エンターテイメントを展開させたことで、その潔さに感服したのであった。マンネリズムも微妙な進化を見せることで飽和に陥ることなく、夏恒例の風物詩化する・・・・・・見事にシリーズ続投を成功させているわけだ。巨大な海賊船が登場し、海上でド派手な戦闘をノンストップで繰り広げる。ジョニー・デップの最大の当たり役であるジャック・スパロウの名人芸とも言える演技。ワクワクするようなお馴染みのテーマ曲。その、どれもが「待ってました!」と言わんばかりだ。

この最新作で特筆すべきは、先でも述べた微妙な変化だ。
まず、新キャストの追加。若手俳優の起用が吉と出ている。『マレフィセント』の頼りない王子役で一躍世界の注目を集めて以来、鰻登りで人気を獲得しているブレントン・スウェイツ。また、人気のディストピア小説の映画化『メイズ・ランナー』シリーズで存在感をいかんなく発揮しているカヤ・スコデラーリオ。実力も若手俳優としての知名度も申し分ない二人が、旧三部作で言うところの、オーランド・ブルームと、キーラ・ナイトレイのポジションをしっかりと受け継いぎ、作品に華を添え、新風も与えている。同じシリーズを長期間続けるというのは、変えないところは変えずに(主人公ジャック・スパロウの存在)、こうして新たな風を入れることが重要なのかと思う。

一作目が2006年だ。それだけシリーズも長期的になってきている。ジャック・スパロウも歳を取った感じがする。お馴染みのヨタヨタ歩きも、どことなく老いを感じる。終始、酔っ払っていて駄目っぷりが目立つ。11年前のキリッとしたカッコ良さは(最初からヘラヘラしたキャラではあったが)、さほど感じさせない。こういう細かな演技描写にも、ジョニー・デップの芸達者ぶりが垣間見える。無責任で他力本願で、何故か危機をそつなく回避する、愛嬌のあるジャック像は健在だ。

今回はジャックが若かりし頃に、ハビエル・バルデム演じる“海の死神”サラザールから、全ての海の呪いを解く力のある伝説の秘宝“ポセイドンの槍”を奪ったことで、壮絶な冒険が始まる。驚いたのは、若かりしジャックを演じた俳優のデップに似せた演技の妙である。てっきり本人かと思っていたが、知識深い方に教えてもらったら、彼はAnthony De La Torreという俳優兼ミュージシャンだそうだ。ジャック・スパロウを演じるだけでなく、デップにも寄せていかなければならない難問を見事にやってのけ、感心する。『ベンジャミンバトン』でブラピが全然若返らなかったのを観て、映画では、どんな技術を以てしても“若返りだけは無理”だと確信したが、良い意味でモノマネ名人な若手俳優を起用することで成し遂げられるんだなと思った。

世界のポール・マッカートニーのカメオ出演も微笑ましく、もう今回も過剰なまでの娯楽テンコ盛り! 期待を裏切らないシリーズ最新作、これを観ずに今年の夏は始まらない。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 『いぬやしき』興行失敗で垣間見える漫画原作映画の限界~世間はエグさに飽きている
  2. サザン40周年ライヴをLVで観る!~親近感こそサザン最大の魅力だと再確認する~
  3. RADWIMPS「HINOMARU」が物議!ポップ・ソングの右傾化に不自然さを感…
  4. 何故「バルス現象」は起きるのか?その理由は日本特有の国民性と風土にあった!
  5. 遂に日本国内興収100億円突破!『ボヘミアン・ラプソディ』はアカデミー賞を獲れる…

関連記事

  1. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】劇場版 動物戦隊ジュウオウジャー ドキドキサーカスパニック!

    ©2016劇場版「ゴースト・ジュウオウジャー」製作委員会 ©2016 …

  2. 映画レビュー

    果たして労働は悪なのか?『ちょっと今から仕事やめてくる』に見る現代社会の新価値観とは。

    いつから人々は“働くこと”をネガティブに捉えはじめたのだろうか? …

  3. 映画レビュー

    『ザ・プレデター』でプレデターはコミック化した

    誰もがプレデターがどれほど無敵で恐ろしい存在か知っている。…

  4. 映画レビュー

    テッド化したピカチュウも愛くるしい『名探偵ピカチュウ』程良い家族向け映画

    おっさん声で喋るのも劇中で理屈が通るのでOK!結局「ポケモン」…

  5. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】ゴースト・イン・ザ・シェル

    囲碁の名人が人工知能に負けたというニュースを見て、人類はこのま…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

  1. ハリウッド

    世界で大ヒット中の映画『スパイダーマン:ホームカミング』の主人公トム・ホランドの…
  2. ライブレポート

    13年ぶりロッキンに出演したサザンが凄かった!ROCK IN JAPAN史上最大…
  3. ライブレポート

    ポール東京ドーム初日を観た!
  4. 邦楽

    THE ORAL CIGARETTES山中がビバラでUVERworld TAKU…
  5. ライブレポート

    【ライヴレポート】ポール・マッカートニー(2018/11/1@東京ドーム)
PAGE TOP