アカデミー賞

LGBT映画の従来のイメージを覆す普遍的恋愛を描いた画期的な傑作『君の名前で僕を呼んで』

© Frenesy, La Cinefacture


1983年の夏休みにイタリアで家族と一緒に住んでいる17歳の少年エリオが、そこに現れた24歳の大学の博士課程の研究生オリバー青年と恋に落ちるという話。なんだ、最近うるさいLGBT映画かとウンザリすることなかれ、この映画、性的嗜好に関係なく、異性愛・同性愛どんな恋愛にも当てはまるだろう、純粋な初恋物語なのだ。LGBTとか関係のない初恋の淡さや切なさに胸が締め付けられること間違いないだろう。

とにかく美しい映画だった。
どこを切り取っても絵葉書になるような綺麗なカットの連続。
バックでは終始ピアノが流れる。実際にティモシー・シャラメもピアノを弾いちゃうから驚きだ。彼は、名門コロンビア大学とニューヨーク大学に行っているような超天才なわけだが、バッハは弾くわ、ギターも弾く等、芸達者ぶりも如何なく発揮されていて、天は二物を与えちゃってる!
彼は、全編ほぼ裸なんだけど、まだ身体が出来上がってない。少年のキャシャな身体なもんだから、変にエロティックじゃない。実年齢は23歳なのだが。

(C) Frenesy, La Cinefacture

ずーっとイタリアの美しい自然の中で、プールで遊んだり、日光浴をしたり、ピアノを弾いたり、芸術について語ったり、美味しいものを食べたりする映画だから、癒されるというか、こういう休日の過ごし方(出来れば1カ月くらい)したいよな~と思えるような長閑さもある映画で、本当に観心地の良さったらなかった。

この映画の特筆すべき点は、今までのLGBT映画のように、セクシャル・マイノリティへの葛藤は一切描かれていない。
ごくごく普通な気持ちの変化として恋心を描いていることこそ、この映画が2010年後半という時代性を見事に反映し、普遍的なラブ・ストーリーとして多くの賛同を得られるきっかけになっていると考えられる。悩みまくっていた『ブロークバック・マウンテン』や『ムーンライト』とは違う。

それと、この映画にやたらと出てくる古代ローマやギリシャの彫刻も、BLの非特殊性の象徴的な偶像で、古代ローマやギリシャって男性同士の恋愛っていうのは普通のことだったらしい。この映画の根底テーマが彫刻という形で表れているのかも知れない。実は、日本も明治維新前はそうだったんだって(驚)
もしかしたら、この先の未来もそういうLGBTへの価値観が拡大すると予想される。そういった時代の潮流の象徴的な映画なのかなと、性映画のジャンルとして大きく括ると、重要な分岐点の映画に位置付けられるのかなと思ったりもした。


けど、エリオが桃を指で突いて種をほじくり出して、そのまま自分のち●こを入れて***しちゃうシーンとか、決して品位を保った上で、BL恋愛を美化してる訳では無い。
17歳の男ならではの変態行為も堂々と描いている。17歳なんて性の捌け口としたら何でもいい的な時期じゃないっすか? こんにゃくとかカップラーメンとか男子なら聞いたことあるっしょ?(笑)やらないにせよ。

だから、年上のカッコ良い男の先輩への憧れを抱いた時に、憧れなんだか、恋心なんだか、曖昧で分からなくなるって時期があったりもすると。思春期の性的嗜好が定まらない時期だから、劇中でもエリオには美人な彼女がいてSEXもしてるんだけど、オリヴァーにも惹かれると。もはや何でもアリ!なユートピアのような恋愛模様が描かれている。しかも、先述のように、同性愛とか禁断的要素が一切ない。当たり前のように自然に恋に落ちる、人間同士の恋愛模様が描かれている。
何かのきっかけで男色に目覚めたというよりも、普通に過ごして、会話する中で、キスをした。いよいよ究極的になってくるが、それは性別とかを廃して、単に“感じたまま”の行動と言える。かなり実直。だからこそピュア。映画に透明感や爽やかさを与えている由縁でもある。

それもこれも、ティモシー・シャラメという希代の美少年が演じたから成立する訳だけれども、こういう映画が当たり前のようにオスカー候補になって、日本でも興行的にそこそこの成功をするとは、この数年間で時代も概念も価値観も大きく変わったなと思った。劇場で若い男子二人で来ていたのは絶対にカップルだったな・・・・・・フフフ(笑)こういうのが差別というのか??

(文・ROCKinNET.com編集部)
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