映画レビュー

【映画鑑賞日記】モアナと伝説の海

(C) 2017 Disney. All Rights Reserved.


冒険活劇として一級品だった。まるで『マッドマックス 怒りのデスロード』ばりの巨大要塞船との攻防、『ヘラクレス』に登場しそうな巨大溶岩の化け物、とにかくスケールがでかい!

劇中モアナは「私はプリンセスじゃない」と断言する。非常に画期的なことだと思う。これまでも『ムーラン』『ポカホンタス』など、戦うヒロインは存在したが、大半はプリンセスがプリンセス足らしめるが故にディズニーのヒロインは存在してきた。
『アナ雪』『ズートピア』近年のディズニーが描いてきた、強い女性像の系統を引き継ぎ、王子を必要とせず、自分自身で困難を乗り越えるというのは、ハリウッドでも叫ばれている女優の地位向上を望む声にも繋がる。ヒラリー・クリントンが大統領選挙で叫んでいた「ガラスの天井」を、ディズニーは打ち破っているのだ。その勇敢さこそ、おとぎ話の域を超えた、アクション映画顔負けの冒険活劇として、見事に成立させている。(今後のディズニーはLGBTの容認と、女性の地位向上がどうやら主要テーマとなっていきそうだ・・・)

最初は何も出来ないモアナも相棒マウイ(実に王子様タイプでない)に助けられ、次第に成長していく。『ズートピア』の主人公のウサギとキツネの関係性にも通じるところがある。そこには恋愛は介在しない。それも、ディズニーの大きな変化である。もはや、女性の勇姿が根底テーマとなっている、現代ディズニーにそんな生温いものは不要なのである。

海の意思の視覚化も見事だし、その他の荒れる海や、森林、火山などの描写はもはやひとつの芸術レベルで、映画の背景として見過ごすには惜しいくらいの美しさだ。
また、「レディゴ~」に並ぶ主題歌「How Far I’ll Go」もドラマを際立たせるほどの名曲だ。キャッチーさも良い。
一時の低迷期が信じられないくらい『アナ雪』以降のディズニーが最強すぎる。モアナの強い意志に、老若男女が熱狂すること間違いなしだろう。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 【速報ライヴレポ】ハリー・スタイルズ初ソロ来日公演を間近で観た!彼こそ時代の寵児…
  2. 安室奈美恵の引退への想い~安室という現象が現代の日本女性像を変えた~
  3. ロック・イン・ジャパン2017 2日目ライヴレポート
  4. 「時代遅れのRock’nRoll Band」を聴く
  5. 遂にNYタイムズ誌まで?ガキ使の黒塗りメイク批判は行き過ぎだと思う理由!

関連記事

  1. 映画レビュー

    群像劇の大傑作『パトリオット・デイ』を観て感じるテロ時代のリアル

    これぞ、刑事映画だと太鼓判を押したくなるような大傑作だった。この映…

  2. 映画レビュー

    『ミスター・ガラス』シャマラン監督流のこじんまりしたアクションが愛おしい

    全身の骨がガラスのように脆いサミュエル・L・ジャクソン、24人…

  3. 映画レビュー

    『search』を観た!控えめに言っても大傑作!ここ数年で1番の大傑作と評したい!

    控えめに言っても大傑作である。素晴らしいアイディア、完璧な映画だ!…

  4. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】ターザン:REBORN

    (C) 2016 Edgar Rice Burroughs, Inc.…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. 日記

    アナタが行くヤツ、それ本当にフェス?フジロックが世界の最重要フェス3位に選出!
  2. 日記

    大雪なので雪の日に聴きたい楽曲を集めてみた!
  3. 邦楽

    CDJ1819で大量発生した「あいみょん地蔵」で垣間見えた若いマナー違反客の現実…
  4. 映画レビュー

    実写化史上最も成功していると言って過言でない『美女と野獣』に感動する
  5. 邦楽

    松任谷由実「恋人がサンタクロース」がクリスマスは恋人と過ごす日という社会的呪縛を…
PAGE TOP