映画を愛する映画馬鹿が振りかぶって作った、賛辞を持って「馬鹿だな」と言いたくなるような愛すべき究極の娯楽大作!
どこか、この振りかぶり方は『マッドマックス 怒りのデスロード』と通じるように思える。
「日本よ、これが怪獣映画だ!」と言わんばかりの、巨大な怪物たちの圧倒的なビジュアルのみで魅せた王道且つパワフルな作品だ。劇内で暴れまわる怪物たちを見ていると、あのシン・ゴジラがまるで地蔵に見える・・・怪獣映画の真髄を叩き付けられた。『シン・ゴジラ』がヒットしている時に御託並べて、ああだこうだ言ってる輩が非常に多かったが、「面倒くせえ、怪獣映画に、んな屁理屈いらねえんだよ!」と、全ての議論を吹き飛ばすほどの単純明快さ、開き直りが素晴らしい。圧巻だ、凄い映画が出来たもんだ!
これだけの男子歓喜のプロレス的要素があれば、男向け映画に他ならないが、マーベルでの敵役のイメージが根強いトム・ヒドルストンがイケメン臭をムンムン放ってるので女子視線にも最適。
加えて、キングコングとは本来は悲恋の物語で、こういう巨大怪獣バトル映画ではない。しかし、この映画の偉いところは、そんな人間の美女に対するコングの紳士的な態度まで描いているところにある。あの視線は紛れも無く「愛」であった。それは、これまで幾度と無くリメイクされたコングの姿に重なり、テイストは異なれど、道を反れずに、きちんと“キングコングしていた”のが嬉しい。
また、時代設定がベトナム戦争時というのがいい。そうなれば、自然と、髑髏島でのヘリでの奇襲が『地獄の黙示録』を連想させるが、このアメリカイズムが最弱だった時代に、アメリカ人が巨大な生物に圧倒され、一層に自信を無くすという皮肉さがまた良い。
とにかく、サーロインステーキを何枚も食わされるような「胃もたれ」レベルで娯楽が詰まった映画である。コングのみならず、怪物てんこ盛り。P・ジャクソンのコングも同じだった。正直、これらの怪物の多さが“売り”でもあり面白みを助長させているわけだが、予告編でネタバレし過ぎな気もする。本編で驚きが減ってしまった。予告の見せ方も考え直した方が良い。それだけ落第点。
(文・ROCKinNET.com)
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