※ご注意※
多少のネタバレを含みますので未鑑賞の方はご注意ください。
ご覧下さるか否かのご判断は読者様に委ねさせて頂きます。
これぞ映画!これぞ娯楽!
血湧き肉躍る!全身の細胞が躍動するのが感じ取れる!
エヴァンゲリオンなんて興味もない俺だが、この映画が如何に、ゴジラという国民的なメジャー・コンテンツの土俵で、エヴァを実写化しているのが分かった。
音楽のテイストと挿入タイミング、人物のカット割りと台詞回し、テロップの入れ方、シリアスの中に急に出てくるあまり笑えないウィット。その、すべてがエヴァ仕様。
しかし、これが吉と出た。見事なまでの化学反応だ!
今までの日本実写映画にはない<独特な間>が生まれたのだ。
最初の数十分はBGMも無い。ただ、ひたすら早いカット割りで役者の早口で小難しい政治用語等の台詞が乱発する。これが見事なまでの会話劇なのだ。一気に引き込まれた。役者力も半端ない!
それに、最も感心したのが<視点>の描き方。
今までは技術的な問題なので仕方ないが、合成丸出しのゴジラの横をエキストラがひたすら走るだけだった。
しかし、今回は街の屋根屋根の上を巨大なゴジラの尻尾が、スレスレに横切る。
人間視点のカメラワークが非常に巧みだった!
こういった描写のセンスの良さが随所に際立っているのは、カットひとつひとつを丁寧に描いている証明でもあり、それが出来るというのは、アニメーション表現で培われてきた庵野監督の独自性であり、実写邦画としても斬新だ。本当に見事としか言いようがない。
だからこその恐怖があった。
一時は『とっとこハム太郎』と二本立て上映だったゴジラに恐怖など感じたことはなかった。
しかし、今回、初めてゴジラが怖かった。
破壊されていく東京。否応にも3.11を彷彿とさせる。
後に主人公演じる長谷川博己が「復興」を強く心に誓うが、結局いまゴジラを描くということは、そういうことなのだ。
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昔の特撮ではないが、街中で人命を一切無視した派手さ先行の戦闘では許されない・・・・・・
『シビル・ウォー』や『バットマン vs スーパーマン』でも似たようなテーマ性が描かれていた、こうしたリアルな価値観が映画で主流になりつつあるのだろうか?
だとすれば、この映画は非常にリアリティを持つ。ゴジラに対抗するのが自衛隊の武力だからだ。憲法改正議論が盛んな時期での公開だけにタイムリーなネタを盛り込んでくるところも巧みだなと感じる。
しかし、安保条約に関してそこまで詳細は触れられていない、理由として、しょせん、ゴジラ退治は有害鳥獣駆除でしかないからだという。
少し安堵する。個人的にゴジラにそこまで小難しいことを必要と感じなからだ。ただ、市街地での武力行使の是非。前例がない場合に、その容認をするまでに政府がどう動き、誰が決断し、どのように危機を乗り切ろうとするのか。そういう政治的な思惑がリズミカルに展開するという面白みが、この映画の最大の魅力かも知れない。要は、怪獣映画の枠組みを脱したポリティカル映画の要素の方が強いのだ。
これは、イケイケドンドンなだけの過去のハリウッド版ゴジラ2作品共に到達できなかった点である。
逆に言うと、この映画が唯一欠けているのは、そこで終始してしまっている点だと思う。
<映画的なスペクタクル>に欠けている。
あれほど東京がぶっ壊された無敵な存在のゴジラだが、最後は何の迫力もなく、ただ口から凝固剤を入れられて・・・・・・ちょっと地味すぎる。東日本大震災時の福島の原発事故に活躍したクレーン車を登場させたい気持ちも分からなくもないが、あくまで怪獣映画としての映画的迫力を求める身としては、派手さが欲しかった。
もっとド派手な戦闘シーンが出来ないところが、やはり日本映画だと感じずにはいられなかった。
ハリウッド映画を凌駕するほどの面白さを体現できていたハズなのに、少し惜しい気もする。
石原さとみの中途半端な英語の発音は、もはやギャグだったし(笑)「ゴズィ~ルァ」って、ぉぃぉぃ。
日本人が見て日本人だけが面白いと感じる映画なのかも知れないというのは少し口が悪すぎるかな??
けど、面白いと感じるだけマシか(笑)
(文・ROCKinNET.com編集部)
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