映画レビュー

【映画レビュー】『ブレイブ 群青戦記』カタルシスよりバトロワで終わったのが惜しい!



(C)2021「ブレイブ 群青戦記」製作委員会 (C)笠原真樹/集英社

なかなか面白い設定だと思った。戦国武将にスポーツ強豪校の高校生たちが挑む。序盤から『バトルロワイアル』並みの過激な戦闘がはじまり、いきなり、アクションがフルスロットルで展開され息を飲む。冒頭で一気に引き込む求引性は見事だった。剣道部、ボクシング部、アメフト部やフェンシング部と、各々の特性を活かした戦術で、大勢の足軽部隊に挑む様が少年心をくすぐる。これぞ、タイムトリップ・アクションの醍醐味と言わんばかりで拍手を贈りたい気分だった。

ただ、この映画の最大の見所はソコだった気がして残念だ。あとは、失速まではしないが、高校生たちのヒロイズムの絶頂期はそこだった。絶妙に良い役どころの三浦春馬が言う「一所懸命(愛する者を命掛けで守ること)」なんて心揺さぶられるシーンはあるものの、この映画で期待してるのは感動ではない。

この映画が達成すべきは、スポーツ優等生である高校生たちの活躍であり、高校生に華を持たせる展開だ。そうだな・・・・・・言ってみれば『アベンジャーズ/エンドゲーム』の反撃シーンの、あの感じ。見事に、もしも戦国時代で高校生が戦をしたら、ことごとく斬られるだろうってのが、まんま描かれる。当然の展開すぎて面白みに欠ける。現代の文明の利器や、体力も発達しているだろう現代人が一発逆転するカタルシスこそ観たかった部分である。戦国武将もうろたえるほどの予期せぬ高校生の大活躍、予定調和を崩してこそエンタメは面白いのだ。



甲冑も着ないで乗り込む詰めの甘さにはツッコミを入れたくなるし、全員が無傷ならそれはそれで嘘っぽい(不可能だ)、しかし、そもそもの設定が浮世離れしてるではないか、アクション映画として『ぼくらの七日間戦争』のように、高校生の活躍を中心に終始すべきだったように思えるのは、あながち間違えた感想では無いと思える。ヒーローを描くというのは、多少のご都合主義も込み込みで、最終的に観客に絶望的な舞台から解放された優越感を与えることでもあり、それこそが、カタルシスということなのだから。

本広監督は、『踊る大捜査線 THE MOVIE』で、もっとハリウッド的な演出をするのに長けていた人だと思っていたが、日本映画の限界に達し、日本のアクション映画の域に留まってる気がする。先日観た、羽住監督の『太陽は動かない』の方が、ダイナミックだった。

主演である新田真剣佑のスクリーン映えする綺麗な顔立ちに惚れ惚れするも、父親譲りのアクション(殺陣)の迫力には流石としか言いようが無い。現代の高校生らしく、どこか冷めている主人公ながらも、勇気を奮わなければならない、どこか軟弱ながらも力を秘めた難しい役所を見事に演じたと思う。ハリウッドに拠点を移すということだが、それもそれで楽しみだが、日本映画で見れなくなるのは、実に惜しい。

※少し手厳しい評価をしたが、相応に面白い映画だとは思う。あえて、ヒロイズムを描き切れていないだけに惜しいと感じ、ごちゃごちゃ言ったが愛情だと思って頂けたら嬉しいです・・・・・・

(文・ROCKinNET.com編集部)
※当記事の著作はROCKinNET.comに帰属し、一切の無断転載・再交付は固く禁ずる。



◆関連記事◆




 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 何故「バルス現象」は起きるのか?その理由は日本特有の国民性と風土にあった!
  2. 安室奈美恵の引退への想い~安室という現象が現代の日本女性像を変えた~
  3. 【速報レポ】My Hair is Badの初武道館公演を観る!椎木が提示した正し…
  4. ワン・ダイレクションのソロ実績がビートルズに並ぶ!活動休止後の各メンバーの成績も…
  5. パリピが日常悩んでる嫌なことって何?ストレス溜めない極意がULTRA JAPAN…

関連記事

  1. 映画レビュー

    『15時17分、パリ行き』でハッキリした、映画に役者が絶対必要である理由とは?

    まず大前提として明確にしておきたいのは、この映画で描かれているテロ…

  2. 映画レビュー

    『ワンダーウーマン』から行き過ぎたフェミニズムは逆に男女差別を助長すると感じる

    大相撲の世界では土俵に女性は上がってはいけない事実。愛子様の皇位継…

  3. 映画レビュー

    『メアリと魔女の花』が駄目だった理由は完全に宮崎駿から解放されてなかったからだ

    アニメ映画というのは少なからず何か心に残るシーンと言うものがあろう…

  4. 映画レビュー

    OASIS日本ラスト公演「FUJIROCK’09」を映画館で観る!

    フェスにおける生の現場に比例する臨場感のある音響。月並みな表現にな…

  5. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】ドクター・ストレンジ

    いろんな映画を観ていると時に、その映像に驚愕する時がある。…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

  1. ライブレポート

    ロック・イン・ジャパン2017 2日目ライヴレポート
  2. ニュース

    またもコンサート会場が狙われる「米国史上最悪の銃乱射事件」から音楽ライヴ運営の将…
  3. 映画レビュー

    勝手に選ぶ今年良かった映画TOP10 2017大発表!
  4. ライブレポート

    SUMMER SONIC 2017 東京会場1日目ライヴレポート
  5. ハリウッド

    【SW神話崩壊?】北米で『ハン・ソロ』の興行収入が大コケ!その理由とは?
PAGE TOP