グラミー賞

微妙な結果に終わったグラミー賞2021を見て思うこと




©Warner Music Japan Inc.


今年も蓋を開けてみれば、微妙な結果だったグラミー賞。最優秀レコードを受賞したビリー・アイリッシュの発表時の気まずそうな困った表情と、スピーチでミーガン・ジー・スタリオンに向かって「これはアナタの賞よ」と辞退するような発言をしたように、相変わらず白人優遇の姿勢が改善されない賞に、協会側がボケーッとしていて、受賞したアーティスト自身が壇上で異議を申すなんて事態になるのはアーティストにとっても授賞自体がありがた迷惑な話でしかないし、その状況下にさせる選考やグラミー事態が情けないったらない。

思えば、2017年の最優秀アルバムでも、史上最高傑作の呼び声高かったビヨンセの『Lemonade』が受賞を逃し、アデルの『25』が獲った時も、アデルは同じようにビヨンセこそ賞に相応しいと涙ながらに語った。(ビヨンセが今回の授賞式で28回という最多受賞記録を塗り替えたものの、主要部門での受賞は1度しかないことは忘れてはならない。

2019年にチャイルディッシュ・ガンビーノが主要部門(楽曲賞とレコード賞)を獲得したことで少しは変革の予兆はあったのかなと思ったが、何も変わってはいない。もちろん、ビリーが受賞するとは誰も(本人すら)思っていなかっただけに、2020年の音楽シーンを総まとめるにはむず痒い思いの結果だったと思う。そもそも、ザ・ウィークエンドが1つもノミネートされないなんてのは許されないはずだ。



正当な評価を、相応しい人物に与えないと、賞自体の権威がどんどん失われていくような気もしてならない。確かに、グラミーは大衆人気の賞ではない。音楽性はもちろんコンセプトやアート性なども評価に含まれるが、性別や人種、さらに言えばテイラーやアデルのようにグラミーに好まれる者と、そうでない者がいるという偏向的な部分を疑問視され、協会は、改善すると何度も言ってきた。
だとすれば、デュア・リパは、もっと評価された良かったと思う。今回は、デュア・リパとテイラー・スイフトの一騎打ちだというのが大方の見方だっただけに。確かに、テイラー・スイフトの『Folklore』も傑作ではあるが、彼女は既に2回も最優秀アルバムを受賞しており、そんなに何度も受賞できる賞なら希少性が薄れる気もする。選考の事情を知っていると3回目の最優秀アルバムが快挙とも思えない。

新人賞と最優秀楽曲を受賞したミーガンのスピーチも感動的で、今回の授賞式の主役は彼女だったんじゃないかと思っている。

あと、記すべきは、個人的に最も気になったのが、今回がグラミー初ノミネートとなったハリー・スタイルズと、元カノのテイラー・スイフトが同会場にいたこと。ハリーが、最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス賞を受賞した際に、納得するようにテイラーが拍手を贈っていたのが印象的だった。散々、楽曲で彼のことを扱き下ろしていただけに。
あとは、BTSも授賞式に華をそえていた。世界的なブレイク時には、下手すればグラミーのステージでパフォーマンスをするかもなんて、その時はまだ夢物語のように想像していたのだが、まさか実現するとは。しかも、誰もが納得する形でのパフォーマンス。惜しくも受賞は逃したが、彼らの人気が2021年以降もどうなるのか気になるところだ。

(文・ROCKinNET.com編集部)
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