映画レビュー

『シュガー・ラッシュ:オンライン』エゲツない程やりたい放題で痛快!面白いが絶対保証されたエンタメの鑑のような作品だ!

(C) 2018 Disney


前作で度肝を抜かれた斬新さで誰もが100%楽しめる娯楽作の鑑のような映画だった。細部まで徹底した発想が素晴らしい。今回はネットの世界が舞台となるわけだが、自動検索の擬人化や、悪質サイトをビラ配りのように描いたり、eBayでの取引や動画配信サイトでの収益方法など、形無きネット世界の形状化は感心を通り越すほどに秀逸である。

ヴァネロペのゲームの部品が壊れたことで、ラルフとヴァネロペが部品を買うためにネット世界に潜り込むが、実はアナログな知識しか要しておらずネットに全然付いていけない。eBayで無責任に数字を言って高額入札してしまい、ドタバタを引き起こしていく。そんな大金をネット世界でどうやってお金を稼ぐかって話になるが、ラルフが動画投稿サイトで「いいね」を貰うという手法を取る。それによって一躍スターになるも、大衆の飽きが早い。ネットは映画と違って秒の世界であるという、YOUTUBERのようなネット人気の一過性も描いている皮肉めいた描写が妙にリアルだ。何より、もともと音楽やテレビ業界に従事してきた者から言わせて頂くならば、広告塔の存在が如何に重要かということを見せつけられた気がする。

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また、前作でも目を見張ったカオス状態なクライマックスの(ウイルス感染したラルフもどきが大勢現れてキングスライムのように合体しちゃう)スケールの大きさは今回も健在! MCUの如き超大作なスケールで描かれているので迫力も十分過ぎるほどだ。
唯一の親友であるヴァネロぺに過干渉してしまうラルフとの友情物語というのは、前作後のエピソードであるので、非常に観てて面白い。そこで、ネット世界に魅了されるヴァネロぺと、批判的なラルフの意見齟齬も起きたりと、根本にはキャラ同士の関係性を描いたドラマだからこそ、物語に説得性がある。ネットの先進性と、友情という普遍性という合見えた要素が見事に融合してて、時代を象徴するファミリー映画として成立させちゃうんだから大したもんだ。

何よりも本作で目を見張るのがディズニーのエゲツなさだ。
前作ではディズニー映画にストⅡのザンギエフや、スーパーマリオのクッパが出てきたことに驚いたが、今回は自虐的に前作を超えてきやがった。
ベイマックスや、バズ・ライトイヤー、『くまのプーさん』のイーヨ、『白雪姫』のおこりんぼ、ピーターパンの影にティンカーベルまで、ディズニーお馴染みのキャラクターを出し惜しみなく登場させる。
そして、強烈なインパクトを残すのが、ディズニーの歴代のプリンセス達。まるで舞台裏のアイドルを見ているかのような女子全開な楽屋トークが面白い。『メリダとおそろしの森』(ピクサー制作)のメリダが意味不明なことを言えば、他のプリンセス達が怪訝そうに「あの子だけスタジオが違うの」と言うサービスも(笑)
また、スターウォーズやマーベルなど系列会社のキャラまで登場させるのだから、もはや反則技と言えよう。それだけでも十分に楽しいではないか。ちなみに、今年ご逝去されたスタン・リー御大も一瞬出ているので要チェック。そして、凄いのはチョイ役にも関わらず、アナ雪は松たか子など、オリジナルの声優をきちんと起用している拘りようである。



もはや映画の世界ではディズニー天下である。しかし、そのネームバリューに奢ることなく優秀なクリエーターたちが抜かりない発想と努力によって、このような傑作を生み続ける以上は、ディズニーの天下も盤石だろう。それを確信できた映画だったと思う。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

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