映画レビュー

【映画レビュー】『スペンサー・コンフィデンシャル』マーク・ウォールバーグがめちゃくちゃハマリ役過ぎて最高!




© Netflix

アメリカで正義が揺らいでいる。白人警官による黒人への理不尽な暴力行為が後を絶たず、法の下の力が市民の安心安全を脅かすという由々しき事態に大国として内部から崩壊寸前である。思えば、昔から、汚職警官を描いた作品は存在した『L.A.コンフィデンシャル』『トレーニング・デイ』『チェンジリング』『イコライザー』、最近なんかでは『リチャード・ジュエル』なんかもそうだった。自国の恥部を晒すということは、まだ大国の自省作用が機能してる証明で安堵感を覚えるが、問題の解決に直結しないのはいけない。

頑固で喧嘩っ早いがゆえにキャリアを台無しにしてしまう不器用な正義感強い男を、そのまんまの性格のマーク・ウォールバーグが演じる。おそらく、彼史上最も本人に近いキャラクターだと思われる。見事なハマリ役。バディ映画というよりも、彼の一線超えちゃってまで己の正義を貫徹するひとり暴れん坊将軍状態なのが痛快で、好感度大だ。だって、上司の家に行った際に、その奥さんがDV受けてるのを目の当たりにして、そのままボッコボコにぶん殴っちゃうとか、いくらなんでもやり過ぎ・・・・・・なんだけど、痛快なんだよな~。
まさしく、不良版ダーティ・ハリー。市民感情では許しがたい、法的にはグレーな部分を自警感情で暴走しちゃうのが爽快すぎる! こういう利他的に動くアンチ・ヒロイズムってのは個人的に大好きだ。『24 -TWENTY FOUR-』のジャック・バウアーの如く。
同時に、この映画は、王道アクションを劇場公開作レベルでNetflixが作れる証明をした映画でもあろう。



主人公が投獄されている時に、喧嘩を売って来るのが、現代のヒップホップ界を牽引するポスト・マローンなのも注目。本格的な映画初進出である。最近は、『キャッツ』のテイラー・スイフト、『イエスタデイ』のエド・シーランなど、映画界に進出するミュージシャンが多いが、犯罪者を演じるとはマローンらしい。

俺なんかはアホなもんで、自分がギャンブルやらないからか、日本にカジノ出来れば、それだけ金を落としていく連中も増えて経済的に良いんじゃないかと思ってたんだけど、この映画でも、カジノ設立予定地に、マフィアから国家組織まで様々な利権が絡んで、裏ではドス黒いことになってるのを思うと、横浜へのIR誘致の反対派の声も何となく理解できた気がする。

これ、是非とも続編を作って欲しい!

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。



◆関連記事◆




 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 『娼年』の実写化で性に真剣に向き合った監督と、素っ裸で腰振りまくった松坂桃李に敬…
  2. 実写化史上最も成功していると言って過言でない『美女と野獣』に感動する
  3. ロッキンにサザン13年ぶりの降臨!昨年の桑田ソロに引き続きフェスに出る意味とは!…
  4. 『茅ヶ崎物語 ~MY LITTLE HOMETOWN~』からサザンがエロスを歌う…
  5. 【追悼】アメコミ界の巨匠スタン・リー逝去~映画カメオ出演を振り返る~

関連記事

  1. 映画レビュー

    実写版『ダンボ』大衆娯楽施設が悪者って・・・よく許可が降りたなと思う

    耳が大きいという外見的なハンディを負った小象は正しく『シザーハ…

  2. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】キングコング:髑髏島の巨神

    映画を愛する映画馬鹿が振りかぶって作った、賛辞を持って「馬鹿だ…

  3. 映画レビュー

    『パワーレンジャー』が成功したのは若者の青春群像劇を多様性でもって描いたこと!

    スーパー戦隊の映画といえば夏は30分、冬は60分以内で終わることを…

  4. 映画レビュー

    『レッド・スパロウ』で初ヌードを見せたジェニファー・ローレンスの女優魂に圧倒される!

    時代の寵児であるジェニファー・ローレンスが果敢にもキャリア初と…

  5. 映画レビュー

    先進国ニッポンの歪みを見事にえぐった今観るべき傑作『万引き家族』

    是枝監督作品は優しさに満ち溢れている。絆や愛情とは何かという根本テ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. ニュース

    エルレ細美が「待った!」転売野放し・・・チケットだけじゃないライヴ物販問題を考え…
  2. 邦楽

    RADWIMPS「HINOMARU」が物議!ポップ・ソングの右傾化に不自然さを感…
  3. 映画レビュー

    俺が勝手に選ぶBEST映画2016
  4. ライブレポート

    ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017 3日目ライヴレポート
  5. 邦楽

    毎年恒例の大発表!俺が勝手に選ぶ素晴らしき邦楽たち2016!
PAGE TOP