映画レビュー

【映画レビュー】得体の知れない恐怖の疑似体験が不気味で怖くも面白い?『バード・ボックス』



© Netflix

2019年アメリカで社会現象化した大ヒット作『バード・ボックス』

SNSで真似する人続出でNetflixが警告

2019年で最も観られた映画作品がこの『バード・ボックス』ということで観てみた。アメリカでは同作を真似て目隠しをして様々なことに挑戦する“バードボックスチャレンジ”なるものが社会現象化した。日本ではスイカ割りという目隠し遊びは昔からあるが、アメリカでは斬新だったのか? 子供が目隠しをしてピアノを弾くまでは可愛いのだが、中には目隠しをしたまま車を運転するとか、道を横断するなどの危険な行為も見られ、Netflixが異例の注意喚起のコメントを出す事態にまでなった。


サンドラ・ブロック出演作でもズバ抜けたヒット

そのくらい流行するほど話題となった『バード・ボックス』。4500万アカウントがあったとされる大ヒットを記録したわけだが、Netflixの場合は1アカウントで何人が見たか定かではない。そのため想定となるが、1アカウントで1~2人が観たと仮定して、アメリカの劇場チケット代は9ドル(約1000円前後)なので、40~80億ドルの興行成績と考えられる。これを、サンドラ・ブロック主演の劇場公開作で比較すると、『オーシャンズ8』の2億9800万ドルと雲泥の差で勝っていることが分かる。もちろん、劇場に足を運ぶか否かの差は大きいと思うが。


得体の知れない恐怖で引っ張る脚本の妙

この『バード・ボックス』は、日常の風景から急に街中に災難が起こり訳が分からぬまま地獄絵図と化す。観客への説明もされない。とにかく何かを見たら自ら命を絶ってしまう絶望だけ見せつけられる。要は観客にも見せないことで、劇中の人物と同じ得体のしれない何かへの不信と恐怖を煽っているのである。
実は得体の知れない恐怖というのは「LOST」然り『クワイエット・プレイス』然り、アメリカの作品では多い。ただ、得体のしれないものほど当然知りたくなり、その正体が不明であり続けば続くほど興味を失いがちだが(僕がドラマ「LOST」を途中で挫折した理由でもある)、『バード・ボックス』は物語の構成が絶妙で(目的地に向かうために危険な川下りをする現在のシーンと、どうしてそうなったか過去を遡るエピソードが交互に描かれているため)飽きることが無い。


すっかり強い女性像が染み付いたサンドラ・ブロック

ジョン・マルコビッチなど曲者揃いの役者が多数出てきては、怪しい人間が途中で参加するなど、見知らぬ者同士、距離感を保って不信感の中で過ごす様はパニック映画にありがちな展開だがドキドキしっぱなし。ソーシャル・ディスタンス叫ばれる昨今の世界をそのまま反映しているかのようだ。この『バード・ボックス』では外出時は目隠しが必須だが、今はマスクが必須。何かコロナ禍の現代に通じるものがある。で、すったもんだの末に、目的地に向かう訳だが、目隠しをしながらの移動というのも想像を絶する恐怖だ。

加えて、子供が絶妙な年頃なのである。3歳か4歳か、とにかく大人が付いていなければどうしようもない年頃。子役の「僕たち何もできません」って健気な無表情が余計に心配を駆り立てる。けど、目隠ししたまま川を下る危険な旅に出る。急流を下るなど不可能に近い、けど、サンドラ・ブロック演じる母親は挑む。思えば、彼女は『スピード2』から『ゼロ・グラビティ』と挑む女性像を絶妙に演じてきた。力強い女性像がすっかり定着しているせいか、心なしか頼り甲斐あるように見える。

結局は何が言いたかったんだか分からない

結局、最後は何が言いたかったのか釈然としない部分もあるのだが(樹木希林が片目の視力を失う際に「いろいろ見て来たから」と手術を拒んだコメントをし、その価値観に驚かされたが、現代人は余計な物を見過ぎているという警告なのだろうか?なぜ精神疾患の者だけ怪物に救われたのか?分からないことだらけだ)、SFスリラーとしては絶妙なアイディアだったと思う。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。


 

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