映画レビュー

『エイリアン:コヴェナント』種の誕生と起源に迫るスコット監督の鬼才に慄く

© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

本来のSFホラー回帰した、スコット監督の気迫が感じられる力作だった。その知名度の高さや、人類と対峙する異質としてエイリアンは娯楽作で扱いやすかった。『エイリアン2』と『3』や、『VSプレデター』がそれに該当している。それはそれで面白かったし、個人的には良しとしたいんだけど、どこか映画キャラとしての愛着も湧いていた。(いや、実際に道端で出くわしたら腰抜かしますけどね笑)。これだけ有名な、あのダース・ベイダーとも並ぶ巨悪キャラも、そうはいないわけで、この映画では「エイリアンは何よりも怖い!」という残虐的な原点に終始したことで、不気味さも際立ったSFホラー作として見事に成立。シリーズの中でも重要な立ち位置の作品になった。

前作の『プロメテウス』では“人類はどこから来たのか”なんてキャッチフレーズが付いていた割には、進化論とか無視したストーリーに戸惑いを感じたし、まさかエイリアンの前日譚だとも思っていなかったので、「スコット監督が、昔の杵柄で、エイリアンっぽいことを再度やりたくなっただけの焼き直し映画」って思っていたのだが(映画の宣伝マンが低能だったわ)、この映画によって全てが繋がった。
言ってみれば、『プロメテウス』にせよ、この新シリーズでスコット監督が描きたいのは、人類起源説は猿からの進化論ではなく、“宇宙人の遺伝子操作によって産み出された当然変異”みたいな話ということ。言ってみれば、オカルトの分野ではあるんだけど・・・・・・SF映画だから、それはそれでアリだと思う。アンドロイドなんかを絡ませるところが現代的だし。

人類進化の過程には多くの矛盾と謎があって信じていない人も多い。(要は、特定の猿だけ類人猿に進化していったにせよ、進化過程の骨が見つかっていないとか、他の種はなぜ進化しなかったのか解明されていない等)。その結果、欧米などでは、神によって人類は作られたという「創造論」も根強く信じられている。それはユダヤ教、キリスト教、イスラム教などの宗教と紐付いて信仰となっているわけだが、もっとぶっ飛んでいるのが、“宇宙人に遺伝子操作で作られたのが人類説”というものがある。

ニビル星にアヌンナキという宇宙人がいて、約45万年前にニビル星は惑星の存続の危機に遭う。大気が宇宙に漏れたとかで。で、その危機を黄金の粒子でシールドを作って回避しようとし、アヌンナキ達は太陽系の地球に大量の金があることに目を付ける。金の採掘のために地球にやってきたアヌンナキ達は、メソポタミアの地に都市を築く。それが“メソポタミア文明”で、アヌンナキ達こそシュメール人だという(メソポタミアで発掘された粘土板には、「ニビルという星に住むアヌンナキが地球にきた」と書かれているんだとか)。その採掘の労働力として、猿とアヌンナキの遺伝子操作で掛け合わせ「人類(ホモ・サピエンス)」を創ったとする。人類は奴隷として誕生したのだった・・・・・・なんてこと、ゆうこりんの「コリン星」発言じゃあるまいし、言っていて頭がおかしいのかと思われてしまいそうだが、そういう説もあるってこと。

そのアヌンナキこそ人類の創造神であるわけだが、前作『プロメテウス』で異星人から抽出されたDNAが人類の物と一致したことを思い出したい。異星人こそ人類の起源と位置付けていた。(上記の“宇宙人に遺伝子操作で作られたのが人類説”である)。その異星人が、自分達が創造したはずの人類が思ったような優れた物でないとし、人類滅亡を企てた、その道具がエイリアンであった。
しかし、この映画では、アンドロイドがエイリアンを創造し繁殖させていく。まるで創造主になりたいかのように。冒頭でガイ・ピアーズと話すアンドロイドもどこか使用人として扱われることに不満を感じているよう。人類が想像したアンドロイドが、人類を滅亡させるエイリアンを創造する欲に見舞われるという何とも恐ろしい話。最近、AIが囲碁で人間に勝ってしまうというニュースがあった。人間が創造したものが人間を凌駕する。スコットのもうひとつの伝説である『ブレードランナー』にも通じる概念でもある。どこか、劇中のアンドロイドが恐ろしくなるのは自分だけだろうか?

© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

これを分かった上で改めてエイリアンを観ると、種の創造など、その奥深さなどが理解できて非常に興味深くなる。ましてや、今回はようやく成長したエイリアンが登場人物達を襲いだすので、シガニー・ウィーバー時代を彷彿とさせる、派手な銃撃ありきの超娯楽テイストも十分に楽しむことが出来る。ましてや、あのオチは次回作への布石としても十分に期待感を煽るに十分なものだ。次回はもう少し娯楽寄りになってることを望む。

(文・ROCKinNET.com)
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