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【遂に結論?】『ブレードランナー』続編監督が明かす、デッカードは“人間か?レプリカントか?”議論の落としどころ!

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※注意※
この記事の内容は『ブレードランナー2049』に関するネタバレが含まれております。
閲覧の際には、くれぐれもご注意ください。

映画ファンの間で35年もの長きに渡って議論されている謎がある――
それは『ブレードランナー』におけるハリソン・フォード演じるデッカードが「人間なのか?」「レプリカントなのか?」という問いだ。そんなのどっちでもいいじゃないか・・・・・・と言ってしまっては映画が面白くなくなるし、この作品の本質が付けなくなるし、謎めいた名作の抽象描写を語り合うことこそ映画の醍醐味とも言えるじゃないか。

なぜデッカードがレプリカント説が流れたのか?

そもそも、この議論の発端は先月2017年10月に公開された『ブレードランナー2049』の30年前の前作『ブレードランナー』において、ハリソン・フォードがレプリカントは6人潜伏してると言われるも、1名が死亡し、残り4名しか出演していないことで、6人目の存在を疑問視する声が多数あった。
また、決定的なのが、デッカードが見たという、彼しか知る由もない“ユニコーンの夢”を、ラスト・シーンでLA市警のガフが折ったとされるユニコーンの折り紙が置かれていたことで「何故、ガフはユニコーンのことを知っていたのか」という疑問に起因する。要するに、デッカードしか知らないユニコーンの夢を、外部の人間が知っていると示唆したことで、デッカードの記憶は造形物であり、デッカード自体がレプリカントであると遠回しに言っているのでは? と、皆が思ったのだ。

スコット監督はレプリカント派!それにハリソンが反論!

ただ、これは1992年に発表されたディレクターズ・カット版にしか追加されていないシーンで、公開当初は製作側が「あまりに芸術的すぎる」との拒否反応を示したから、あえなくリドリーがカットしたとされる。
このことからも分かるように、リドリー・スコット監督はデッカードをレプリカントにしたいと思っているのだ。これに、主演のハリソン・フォードが反発。デッカードは人間だという主張をし続け、両者は長い間、険悪な仲になっていた。最近になってハリソンが融和姿勢を示しているが。

続編監督が明示した的確な解決論

結局のところ、監督や主演俳優でさえも意見が分かれている状況なのだ。
なら、考えたってしょうがないじゃん! と思われるだろうが、続編を務めたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が、どっちの意見に偏向するとかではない、実にナイスな回答をしていた。

私は一体どうしたらいいんだろうと(笑)。そう悩んでいたところ、その答えとなりそうな一節を、原作であるフィリップ・K・ディックの小説に見つけることができました。要約すると「ブレードランナーたちは常に人造人間を追っているので、もしかしたら自分もそうじゃないかっていう疑問を持ち始める」というくだりがあって、それが大きなヒントとなりました。

私は『ブレードランナー』の中で、デッカードが自分のアイデンティティに対して疑いを抱くシーンがすごく好きなんです。つまり、彼自身も、自分の存在が何者なのか分かっていないんです。そのため、私は今作でみなさんに「答えを明確にする」というよりは、「あらためて疑問を投げかけたい」と考えています。

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要するに主人公の戸惑いや心理描写を観客に投影するというものだ。その手があったかと思わず唸った。実際に、続編でも主人公であるライアン・ゴズリングが演じる「K」も、レプリカントが妊娠し出産した禁断の子供が自分であるかと大きく戸惑う。鍵となる木馬と誕生日の数の記憶は、生まれた過程で得たものなのか、誰かに植え付けられた創造物なのか・・・・・・前作のテーマを巧みに引き継いでおり、よく出来た続編だなと感心に値したが、そのミステリーこそ、すべてドゥニ監督の狙い通りだったということである。
自分のアイデンティティさえ分からない苦しみと切なさを一貫テーマとすることで、謎を解明する単純な物でなく、シリーズをより深めるための続編として機能し、見事なまでに成功したのだった。

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ま、続編で前作から30年間分デッカードも年齢を重ねていたのは人間的ではあるし、かと言って、砂漠の荒れ果てた地で食料も水も限られた環境で30年間も人間が老いながら生きられるとも限らないことを考えればレプリカントそのものであるし。解明でなく、落としどころを提示した意味でも、続編の存在意義は大きい。

引用:http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1508989581

(文・ROCKinNET.com)
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