映画レビュー

【映画レビュー】『トムとジェリー』永遠のライバルが助け合う共生こそ現代的!



© Warner Bros. All Rights Reserved.

「大嫌いだけど、好き」というキャッチが愛おしい。
ワイリーコヨーテとロードランナーや、ルパン三世と銭形警部など、追って追われる関係性のキャラは数多い。ただ、その関係は実はお互いを必要としており、敵対ではなく信頼と愛情に基づくものであることは言うまでもない。
そんな、追い追われる立場の両者であるが、世界が注目する結婚パーティーが自分たちが原因でめちゃくちゃになったことでタッグを組むというファンサービスも盛り込んだ素敵な作品が、この実写化である。

今、世界が直面しているのは民主主義の脆さと危うさである。民主主義の分断が色濃い現代において、敵対よりも調和を目指す風潮においては、この姿勢は正しい。トムジェリが示した最強のバディは感動すら覚えるものだった。排他ではなく共生こそ、現代的なのだと感じる。



生誕80周年にして初の実写映画化。しかも、3Dアニメ全盛期にも関わらず、オリジナルの2D版を貫き通したことが見事に吉と出ていたように思える。手書き時代からのテイストと言えば『メリー・ポピンズ』や『スペース・ジャム』を思い出すが、そんな、絶妙な違和感が残る、リアル現実とカートゥーンの両世界コラボラティブがたまらない。おなじみハイテンションをそのまま大スクリーンで観れた多幸感たらなかった。

クロエ・グレース・モレッツの存在が映画に華を与えているのはもちろんだが(彼女の存在もカートゥーン的な部分は少し感じるのだが)、なんせアメリカの国民的キャラにして、世界で愛されるトムジェリである、彼らに全部持って行かれそうな中で、絶妙な立ち位置で、本来は第三者が入り込む余地のない両者の関係性に関わっていたのも良い。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※当記事の著作はROCKinNET.comに帰属し、一切の無断転載・再交付は固く禁ずる。



◆関連記事◆




 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 【ライヴレポ】ワンオク初の東京ドーム公演で見た“世界基準のバンドの風格”に圧倒さ…
  2. アナタが行くヤツ、それ本当にフェス?フジロックが世界の最重要フェス3位に選出!
  3. 実写化史上最も成功していると言って過言でない『美女と野獣』に感動する
  4. 遂に日本国内興収100億円突破!『ボヘミアン・ラプソディ』はアカデミー賞を獲れる…
  5. ロッキンにサザン13年ぶりの降臨!昨年の桑田ソロに引き続きフェスに出る意味とは!…

関連記事

  1. 映画レビュー

    実写版『アラジン』賞賛する言葉が多過ぎて的確な表現探すのが大変なほど名作!

    この映画を賞賛したい言葉が多過ぎて的確な表現を見つけるのに大変…

  2. 映画レビュー

    実写版『ダンボ』大衆娯楽施設が悪者って・・・よく許可が降りたなと思う

    耳が大きいという外見的なハンディを負った小象は正しく『シザーハ…

  3. ニュース

    【映画鑑賞日記】帰ってきたヒトラー

    (C) 2015 MYTHOS FILMPRODUKTION GMBH…

  4. 映画レビュー

    シリーズのある種の頂点に達した『クリード 炎の宿敵』に胸が熱くなる!

    ロッキーが何故アカデミー賞に選ばれて映画史に燦然と輝く名作になった…

  5. 映画レビュー

    【報道とは何か?】映画という名のワイドショーだった『フロントマン』

    アメリカの大統領選は完全にエンターテイメントなんだなと思っている。…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

  1. 音楽

    PSY「江南スタイル」が持つYOUTUBE再生回数1位の記録を破ったのは!?【最…
  2. 映画

    日本アカデミー賞とかいう老害賞には文句しか出て来ない
  3. ニュース

    【フジから若者が消えた?】フェスの“聖地”フジロックが中高年化している問題。若者…
  4. 邦楽

    THE ORAL CIGARETTES山中がビバラでUVERworld TAKU…
  5. 日記

    アナタが行くヤツ、それ本当にフェス?フジロックが世界の最重要フェス3位に選出!
PAGE TOP