映画レビュー

アニメ革命を起こした大傑作『スパイダーマン:スパイダーバース』に拍手喝采!

© 2019 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

とんでもない傑作アニメ映画を観た歓喜で震えている。
アニメ界にある種の革命が起きたと言っても過言ではない。
CG加工されたアニメーション上に手書きが加えられ不思議な質感の画が斬新だった。無機質で機械的だったCG映像に躍動性が与えられ、BGMのラップも手伝ってか、リズミカルな作風が格好良かった。
マーベル作品ではコミックを実写化することの迫力映像が凄くて、実写に勝るものは無い感じでいたが、このアニメ映画はそれをも超えてくる。ヴィジュアル的改革が行われていた。どのカットを切り取っても、“映える”ような懇切丁寧なクリエイティブと、計算付くされた構図には脱帽だ。

1963年に創刊されスパイダーマンの基盤的シリーズ『アメージング・スパイダーマン』が、あまりに長期化・複雑化したことで2000年に新シリーズとしてゼロからやり直す意図で作られた『アルティメット スパイダーマン』の主人公がマイルスで、それから何シリーズも経て2014~15年に連載されたのが今回の『スパイダーバース』ということになる。

ま、詳しい解説はココでしてるので参考までに
↓↓↓↓↓


スパイダーマンの主人公と言えばピーター・パーカーだが、映画の前半で敵に敗れ、この世を去る。それを目の当たりにしてしまったヒスパニック系の少年マイルスが敵の策略に重要なキーをピーターから託され、自分も新たなスパイダーマンになろうと苦心するも、なかなかそうは上手く事は進まず悩み苦しむという、ありきたりな青春物語。

主演がトム・ホランドであるマーベルの『ホームカミング』も似たテーマであった。基本的に、スパイダーマンは未熟なのだ。けど、背伸びをする。大人に認められたいがゆえに。その青臭さこそが愛おしい。若さゆえの無力さなど、誰もが経るだろう多感期のホロ苦い経験への共感性が何とも言えない。スパイダーマンとは年月と共に忘れがちな少年心、挑戦心、純真さの象徴のように感じる。マイルスの如何にも現代っ子的な部分も含めて好感が持てる。

© 2019 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

そんな未熟なマイルスの前に、40歳のおっさんになったピーターや、金髪美女、ギャグ連発の子豚、モノクロのノワール風凄腕ヒーロー、ジャパニメーションような女子キャラとロボットと、多様なスパイダーマン達が現れる。各々が歪んだ時空からやって来たという奇抜な展開に度肝抜かれる。

© 2019 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

革新的なアニメ表現と共に超高速で展開していくアクションが、リアリズムを超えた視覚的な異空間を形成しているようで、その映像美に陶酔し、迫力に圧倒される。要するに、めちゃくちゃクール! アドレナリンが出ないわけがない。サブカル好きで良かったな~と思わずにはいられない強烈な一撃だった。作り手の細部までの拘りが感じられ、これ作るのにどれほどの労力を要したことだろうと想像を絶する思いだが、是非とも続編を期待したい。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

[PR]



 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 『君の名は。』のハリウッド実写化が失敗すると断言したい理由
  2. KEYTALKの八木氏はナゼ愛されるのか?その無敵な愛嬌の謎と八木氏のドラムテク…
  3. 『茅ヶ崎物語 ~MY LITTLE HOMETOWN~』からサザンがエロスを歌う…
  4. 実は失敗していたサザンの紅白!ユーミンとの奇跡の共演に助けられ拍手喝采!
  5. パリピが日常悩んでる嫌なことって何?ストレス溜めない極意がULTRA JAPAN…

関連記事

  1. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】ヒロイン失格

    (C) 2015 映画「ヒロイン失格」製作委員会 (C) 幸田もも子/…

  2. 映画レビュー

    『メアリと魔女の花』が駄目だった理由は完全に宮崎駿から解放されてなかったからだ

    アニメ映画というのは少なからず何か心に残るシーンと言うものがあろう…

  3. 映画レビュー

    『アド・アストラ』映画的醍醐味も希望も描けないスッカスカな駄作

    くっそつまらない!大概の映画は表現の存在として認める性質だ…

  4. 映画レビュー

    前作に続き続編も成功★『パディントン2』は、チャップリンイズムを継承する傑作娯楽だ!

    笑って泣けて、本当に心が温まる映画とは、こういう作品を言うのだ…

  5. 映画レビュー

    『空飛ぶタイヤ』池井戸潤が感じる自分の正義を庶民的正義と重ね合わせた大衆娯楽の鑑のような傑作!

    池井戸原作の映画を楽しみにしていた。初の映画化である。彼の作品は現…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. ハリウッド

    【勝手に大予想】ダニエル・クレイグ007卒業で次のボンドは誰になる?
  2. ライブレポート

    【ライヴレポ】ワンオク初の東京ドーム公演で見た“世界基準のバンドの風格”に圧倒さ…
  3. 日記

    パリピが日常悩んでる嫌なことって何?ストレス溜めない極意がULTRA JAPAN…
  4. 音楽

    【この夏も話題独占】ジャスティン・ビーバーの恋愛遍歴を振り返り!
  5. テレビ・芸能人

    テレ朝スーパー戦隊の放送時間変更の暴挙は吉と出るか?
PAGE TOP