映画レビュー

薄暗いシナリオ以上に役者の本域に感銘を受けた『怒り』

© 2016 映画「怒り」製作委員会


救いのない暗い映画です。最近の邦画はとことん暗く、日本映画の韓国映画化を危惧してるのですが、無駄に犯罪的な題材を取り上げる意味が無い!馬鹿ザイル系の不良映画や、火曜サスペンス劇場の延長みたいなことばっかしてる以上は日本映画の質は今以上に上がらないと嫌気が指します・・・

ただ、この映画の場合は、濃厚なゲイSEXが気持ち悪い、過激なレイプシーンが胸糞悪い(俺も強姦を絶対に肯定はしないが)そんなんで評価が終始して批判する。
「カレーを食って辛かった」程度の感想しか言えないのなら、物事を表面でしか見れてません。
この題名が表す「怒り」というのもが、如何に現代を生きる上で、何かを信じる難しさの表現だというのかが分かった時に、心が掴まれる苦い思いがしました。
街中に防犯カメラが溢れている事実(否定はしません)、異物に対する警戒心が強まる現代にも関わらず、見知らぬ人間の食べログやYahooのコメントには容易く「イイネ」し同調する社会。
他人を性善説で信用する大切さと危うさの相反するもどかしさ。それでも大半の人間は「誰かを信じたい」はず。心から信じたいからこそ疑いが生まれる。不信を繰り返した先にたどり着く「信」の切なさに胸が張り切れそうな思いがしました。

信じることは人を得ることもするし、失うこともある。

東京、千葉、沖縄の景色も空気感も全く異なる3つの舞台が、まるでフーガのよう相乗的に映画を盛り上げ、その中で役者たちの怪演に圧倒されます。
日本映画界を支える若手役者の才能がぶつかり合って、編集の妙も手伝ってか役者たちの演技同士が見事な化学反応を見せてくれました。
弱い女性を演じた宮崎あおい、先日結婚したのはフェイクかと思えるほどゲイ化した妻夫木聡と繊細さを体現させた綾野剛。絶頂アイドルにも関わらず体当たり演技をした広瀬すず。その中で安定の存在感で安心感を与える渡辺謙。誰もが本気の演技を見せてくれて、結局はシナリオ云々以上に「役者映画」なんだなと思いました。

 

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