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またもコンサート会場が狙われる「米国史上最悪の銃乱射事件」から音楽ライヴ運営の将来を考える

米国史上最悪の銃乱射事件が発生

マンチェスターの大惨劇から数か月しか経過していないというのに、再び音楽ライヴ会場で許しがたい事件が発生した。
事件が起こったのは、ラスベガス中心街にあるカジノホテルの屋外イベント会場。この週末3日間(2017年9月29日~10月1日)カントリー・ミュージックのフェス「Route 91 Harvest Music Festival」が開催されていたが、銃乱射はヘッドライナーであるジェイソン・アルディーンがライブを行っていた時。地元警察によれば、犯人の男がホテルの上層32階から地上に向けて銃を乱射したということで、50人以上の方が亡くなり、負傷者は200人を超えるという。まさしく、「米国史上最悪の銃乱射事件」である。

ジプシー・チックス、テイラー・スイフトなどの人気にも表れているように、何だかんだで米国におけるカントリー・ミュージックは国民音楽のようなもので、未だに絶大な支持を集めている。事件当時も会場には4万人がいたという。アリアナの会場然り、人が集まることを分かっていながら、それを逆説的に捉えて、このような大惨劇を起こすというのは本当に許せない。悲しみよりも怒りを感じる。犯人は警察との銃撃の末に射殺されたということで、事件の動機が不明のままであるが、地元警察は犯人と一緒にいたとされる女性の行方を追っているという。宗教的背景、思想、あらゆるものを徹底的に洗い出して欲しいと思うが、どんなものにせよ暴力の理由にはならない。

ジェイソン・アルディーンって誰?

洋楽好きと言えど、カントリーには滅法疎いのだが、このジェイソン・アルディーンという歌手について簡単に触れておきたい。
ジョージア州メイコン出身の男性カントリー・シンガー。2005年にメジャー・デビューして以来、絶大な人気を獲得していく。2014年先行シングルとしてリリースされた「バーニン・イット・ダウン」が、Billbord HOT100チャートで12位に初登場するなど、カントリー・ソングとしては異例の上位デビューを果たす。同曲が収録された『オールド・ブーツ、ニュー・ダート』というアルバムが、驚異的なセールスを記録。全米アルバム・チャートで首位を獲得する。カントリー・チャートでは4枚目の首位獲得作品で、これまでリリースしたアルバム6作すべてがミリオンを突破するという、凄まじい人気を誇っている実力派シンガーである。

そんな彼も今回の事件を受け、次のように投稿している。

恐ろしいでは言い尽くせない夜になってしまった。言葉が無い。僕とスタッフは全員無事であることだけは報告しておきたい。今日事件に巻き込まれた人達に祈りを捧げたい。楽しむために会場にいた人達に、こんなことが起きてしまって、心が張り裂ける思いでいる

近年起こった主な銃乱射事件とテロ

1999年4月20日コロラド州のコロンバイン高等学校で銃乱射事件が起きた。トレンチコート・マフィアと自称する同校の生徒2名が校内で銃を乱射。マリリン・マンソンの音楽を敬愛しているという情報が流れ、マンソンに対する不条理とも捉えられるバッシングが起こる。また、犯人が服用していた抗うつ剤(SSRI)との関連も指摘されるが(24歳以下に表れる副作用として攻撃性などが報告)、明確な関連は無いとされている。しかし、日本においても同薬との関連が想定される事件も多く起こっている。

2007年4月16日バージニア州のバージニア工科大学で銃乱射事件が起こる。学校内の事件としては最も被害の大きい事件とされる。犯人は、同大在籍の在米韓国人の男子学生。

2012年12月14日コネチカット州のサンディフック小学校で発生した銃乱射事件が発生。2013年6月、俳優のジム・キャリーが、自身の出演した映画『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』の宣伝活動に参加しないと発表。同事件を鑑みて、映画内の暴力的表現を容認できないようになったという理由に因る。また、世界中で人気を博すドラマ「glee」において、普段はコメディ・テイストの内容であるにも関わらず、同事件を彷彿とさせるシリアスなエピソードが放映されて大きな話題となる。

2013年4月15日14時45分頃、マサチューセッツ州ボストンにて開催されていた、第117回ボストンマラソンの競技中に爆弾テロ事件が発生する。

2016年6月12日未明にフロリダ州オーランドにあるゲイナイトクラブで銃乱射事件が起こる。犯人は日頃よりLGBTを嫌悪する発言が目立っていたためヘイトクライムの可能性が高いとされる。犯人はテロ組織の所属もほのめかし、IS系のサイトも「ISの戦士が実行した」と事実上の犯行声明を出している。マドンナなどが追悼コメントを出した。

2017年5月22日夜、マンチェスターにおいて、アリアナ・グランデの「DANGEROUS WOMAN TOUR」と題したワールドツアーの公演終了直後、観客が帰り始めた頃に、会場のロビー付近で爆発が発生、23名が犠牲となり、59名が負傷する大惨劇が起きる。その後、アリアナは6月4日に”One Love Manchester”という慈善コンサートを開催する。ジャスティン・ビーバーや、ケイティ・ペリー、コールドプレイ、リアム・ギャラガーなどが参加。その収益は全て犠牲者や家族へ寄付された。

これだけの事件が起きても、アメリカは銃社会である。銃所持を支持する団体も多いし、全米ライフル協会は大統領を決定するに多大な力を思っているとも言われている。実際に2000年の大統領選で、ゴア候補が、銃推奨派のブッシュに大統領選に敗北したのも、「銃規制について発言したからだ」とされている。自衛のための力は必要である。しかし、力は時として正常に働かないで、思わぬ副作用が生まれることもある。今回の事件が最たるものである。

ライヴ運営が困難な時代が来る?

出典:http://01.gatag.net/0000979-free-photo/
パブリックフリー表記確認(権利関係はhttp://01.gatag.net/まで)


今は日本も対岸の火でいられるが、もはや世界基準の課題になってきているように思える。今年2017年8月に幕張メッセで行われたアリアナ・グランデの来日公演では、本当に多くの警備員が待機し、警察犬がいたり、手荷物の徹底検査が行われた。鞄の中だけでなく化粧ポーチの中身までチェックされ、その上で荷物はクロークに預けることが義務付けられ、貴重品は配られたケースに入れて、金属探知機をやって、ようやくコンサート会場に入れるという徹底ぶりだった・・・・・・
コンサート会場というのは多くの人が無防備に一箇所に集まるという点においては危険性も伴う時代になってきているという事か。本来は平和で当然の空間であるべきだ。どんな暴力も愛には勝てない。犠牲となった方や家族に祈りを捧げる。人間である以上は、当然の想いだ。しかし、これらが常套句になってはいけない。テロは断固として許さない。そういう世の中に進んでいかなければならない。世界中がナショナリズムに傾倒し、保守とリベラルで分断されているように思える。しかし、本来は同国民同士、進むべき道はひとつのはず。それを支えるのも音楽の成せる業、これ以上、音楽が暴力で破壊されないことを願って止まない。

(文・川鍋良章)
※引用する場合はURLとリンクを貼ること。無断転載は禁ずる。

参考引用:https://rockinon.com/blog/nakamura/167808
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171002-00000559-san-n_ame
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20171002-00000069-nnn-int

 

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