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手グーパー、ツーステ、スカダン・・・
いつの間にか個性を失った邦楽フェスでのノリ
実は、邦楽ロックフェス界隈で、どうもここ数年感じていた違和感があった。
それは、やたらとサークルが多いことだ。他にも、手を振りながらグーパーすること(俺は“にぎりっ屁”と呼んでいる笑)、邪魔で仕方ないツーステップやスカダンなど、ほんの十年前には無かった光景がどの邦楽フェスに行っても見られるようになった。本当にここ最近。
フェス歴が浅い世代ほどやりがち
ただ、手グーパーにせよ、ツーステップにせよ、そういうノリ方をする人達は決まって20代前半くらいと若い。おそらくフェス創生期は小学生だったと思われる世代。無理もないが、それが当たり前というか、それが正しき邦楽フェスのノリ方だと思い込んでるようにも思える。フェスデビューした時に既に周囲がやってるから自分もやってます的な感じ?
しかし、これもハッキリ言ってしまえば、ここ十年以内に急に感染し急拡大を遂げていった内輪的なノリ方であることも断言する。
邦楽フェス界隈だけの異様なノリであると証明されたエルレ復活ライブでのこと
実際の例で言うと、2018年のエルレの復活ライブの幕張で、俺はアリーナの後方ブロックだったんだけど、若い世代がサークル作って地面叩くやつをやりだした、フェスではよく見る光景。通常なら周囲が一斉に釣られてやるけど、エルレを青春ドンピシャ世代の30代40代前半の世代には響かず、白い目で見られて、気まずそうに辞めたってのも見かけた。
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ステージ見るよりサークルに夢中の謎?
大前提に話を進めるが、他人のノリ方に文句を言う資格なんか誰にも無い。
しかし、アーティストをほぼ見ずに最初からサークルで暴れるだけ暴れて全くステージに目を向けないなんて光景が頻繁に見られるのは感心はしない。バンドが出てきた途端に背を向けて、あとはサークル作ってモッシュ、モッシュ、その繰り返しで数十分のバンドの出番は終えて「最高ぅ~」で、最後に集まって集団でタオル広げて写真撮って解散って、おいおい・・・・・・ちょっとくらいステージ見ろや!って話で。
ダイブもモッシュもライブには付き物である。ただ、それらってライブでブチ上がりに上がった日常で抑制された内なる高揚感が爆発した結果の行動なわけで、バンド出てきた途端に背を向けて輪になってぶつかり合うもんじゃないと思っている。
サークルはフェス規制きっかけで流行した?
何故こういうことになったのかは、おそらくフェスの規制が厳しくなったことに起因する。国内最大級の邦楽フェスであるROCK IN JAPANが2009年にダイブ等の危険行為を禁止にし(横山健が異議を唱え、それから2016年まで同フェスに出演を控えるようになる)、その翌年からは誓約書を書かせる、次第に退場させるという規制が厳しくなるに比例してサークルモッシュが市民権を得て、急増したのは実際の現場で感じてきた。
理由は、ロッキンオン主催のCOUNTDOWN JAPANで、ダイブによる怪我で後遺症が残った方がいたことを受けての決断であった。当時は賛否両論の大激論がネット上で繰り広げられた。エリア前方に行くことの自己責任論が比較的多かったが、個人的にはそれも理解した上で主催者側の責任をとった英断も評価したい気持ちもあったけどね。
フォーリミのGENがサークルに苦言を呈す
そんな中で規制に賛成するということでは決してないことだけ大前提として挙げるけど、
04 Limited SazabysのGEN(Vo/G)がサークルに対して疑問視するコメントをしたことが話題になっている。
モッシュもダイブも自分自身はそれで育ったし、衝動性があるし文化としても好き。でもリフトとかサークルはノリ方として、新しい文化だと思うんだけど個人的には肌に合わない。ノリ方なんてそれぞれで良いのに、スペースを使って強要されてる気がしちゃう。あと背を向けられるのも違和感がある。
— GEN (@04GENLS) 2019年5月26日
GENは「サビも知らずにイキってサークルするな」と冗談めかして言ってるが(GENの優しさだ)、本質的には、ステージを見ずして暴れる奴らに対する疑問。まさにフォーリミGENの言うことは的を得ていて、最初から背を向けて暴れるだけってのもアーティストに敬意ないなと思うし、何より手グーパーやツーステップ、スカダンも含めて、皆が皆同じ動きをしてるから、いよいよ気味が悪いなというか、同調圧力が過ぎて無個性と言うか、去勢されてるな~と感じる訳だ。
異様な同調圧力と変に統制されたマスゲーム的ノリ
フェスでのノリ方なんて自由だったはず。なら、サークルもツーステップも自由だ、だから否定はしないが、急に発生した無個性さに違和感を覚えてるって意味合い。むしろ広い空間で自由気ままに音楽に身を任せるのが気持ち良かったのに。今では、その無個性こそフェスのノリ方として正解だと言わんばかりで、邦楽フェスだけにしか見られない謎の暗黙のルール。
フェス初心者に向けてツーステとかスカダンの解説してるネット動画なんか見ると心の底から軽蔑の目で見てるけどね。いや、それをわざわざ練習してフェスの場でやってるのも滑稽中の滑稽だろ?(笑)
スカダンやってるね~(このバンドはスカなのでノリ方としては正しいだろうが、スカでもないのにリズムの早い曲になると一斉に砂埃立ててスカダンするってあるあるだよね)
↓↓↓
2015年にはハイスタの横山健もキレていた
フォーリミのGENは大分オブラートに包んだ発言をしているけど、彼だけでは無いんだよね。2015年のRUSH BALLで横山健の兄貴がこういう発言をしたことがある。
PA裏でただグルグル回ってりゃいいのか?
でも、そういう奴らにはオレの音楽は必要ない。メシでも食ってろよ!
ただ楽しいで終わるんじゃなくてさ、一人ひとりが何か持ち帰ってくれよ。
お前らが次の世代だろ? 託したいんだって!
分かってんのかよクソガキ!
全然伝わってる気がしねえんだわ!
※一字一句正しくは無いです
と結構、感情的に・・・・・・いや、ぶっちゃけブチ切れてた。
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騒ぐのも大いに良いし、手だけ振ってるなんてロックじゃないというのは俺も思う。けど、生身のバンドマンが目の前にいるのに、彼らを全く見ずして騒ぐだけ騒げばいいってだけの奴って、バンドマンのスピリットとかメッセージとか届かないんだろうなと思うと同時に、実は最もロックじゃない奴らって思うんだよね。
バンドの演奏じゃなくてもいいと証明してしまった「ユニバ大作戦」
そんな最たる下衆い事件と言えば、言わずと知れた「ユニバ大作戦」である。毎年恒例の10-FEET主催のフェス「京都大作戦」が、2018年の夏に甚大な被害をもたらした西日本豪雨の影響で中止になったことで、参加予定者がユニバーサルスタジオ・ジャパンに集結。大音量で音楽を流し騒ぐという空気が読めなさ過ぎる迷惑行為を行ったという事件。迷惑行為も問題だけど、音楽流して騒ぐって、コイツら生身の演奏じゃなくてもいいんじゃん?って疑惑ね。そりゃ彼らも本来はフェスで生の演奏を聞きたかったんだろうけど、その代案として音楽流して集団で騒いじゃった時点で、何でもいいって思われても仕方ない。要は、バンドの演奏じゃなくても彼らのはしゃぎ方は成立し得る証明になっちゃったってこと。
騒げば良いという解釈が間違えた方向に進んでいる
もっと深刻なのは、そのノリで良しとする思想も中身も空っぽなバンドマンが支持されていく傾向にあるってことの方が嫌だなと思うけどね。誰とは言わないけど。だから、こそ現世代の大きな支持を集めるフォーリミのGENが、こういう発言をしてくれたこと、邦楽フェスも、そこに集まる客も、金太郎飴みたいに個性の無いフェス・シーンに一石を投じてくれたことに感動したのであった。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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