初回から5年間皆勤賞のフェスである。VIVA LA ROCK 2019に今年も参加した。
春フェスとしてすっかり定着し、「とりあえずビバラ行ってればゴールデンウィークなんとかなんじゃね」ばりに?知名度も高くなるに比例して動員数も着実に増えたことで、屋内というハンディキャップもあって移動の際の導線という問題を抱えることになった。が、今年はアリーナをスタジアム形式に変えるという大胆な発想で問題をクリア。観客の移動のスムーズさを実現させたことは見事だった。もともと、フェスという括りに拘らず、埼玉とタッグを組んで地域活性という音楽イベント以上の価値を見出したり、小学生以下は無料という親子で参加できるアトラクション的な側面も強い同フェスは本当に音楽ファンだけがワイワイするのではなく、もっと包括的なイベントとして正に理想的なフェスに発展していってると評したい。
そんなビバラの初日と三日目のレポートを記したいと思う。
2019/05/03(Fri)
●BLUE ENCOUNT
いつ見ても青臭いのが良い。今のロック・シーンは如何にミュージシャンの気持ちをダイレクトに受け取れるかで観客の見る目も変わってくる。綺麗事だけじゃなく弱みや脆さなど等身大の姿を見せることで共感を得るブルエンの真骨頂を見た気がした。「もっと光を」と本気で皆の未来に光が差し込むことを願うかのように歌う田邉(Vo/Gt)は数年前に見たガムシャラ感で無く、笑顔に溢れた余裕・成長が感じられたのが何より良かった。
●BIGMAMA
もともとバイオリンがいる特殊性でも他バンドと一線を画してきたわけだが、例えば「荒狂曲“シンセカイ”」のようにクラシックとロックのコントラストの取り方が抜群に良くなってて驚いた。金井(Vo/Gt)も余計なMCを一切挟むことなく楽曲だけで勝負するアグレッシブさがカッコ良い。だからこそ引き立つオリジナル性は楽曲の独特な世界観を構築。昨年メジャーデビューし、中堅らしい堂々たるパフォーマンスだった。
●フレデリック
この日のフレデリックが凄いなと思ったのはセトリの大半を今年2月リリースの新譜『フレデリズム2』からの新曲で勝負したこと。健司(Vo/Gt)が言っていたようにフレデリックは「なんか耳に残って仕方ない」中毒性ある楽曲が多いが敢えて「オドループ」を外してきたこと。いつどこのフェスでも見れるバンドにはならんぞという覚悟が見える。バンドを新陳代謝させようとする意思が見える。素晴らしい!
●SUPER BEAVER
断トツでベストアクトである。「音楽で一体感とか微塵も興味ない。俺たちはあなた一人ひとりに歌っている。」と高らかに宣言した渋谷(Vo)の言葉に痺れた。久々にカリスマ性のあるヴォーカリストを見た気がした。人間の悪い側面をも許容し、全てを肯定する音楽、それがどれだけ尊く美しく、そして強いか見せつけられた。「ありがとう」と言わなきゃならない理由も、楽しい「予感」のする方へ向かう大事か気付かされた時、30代も後半に差し掛かった今、まだ自分の音楽人生が未来へ続くような気がして嬉しかった。彼らはその道しるべとなった。
●THE ORAL CIGARETTES
「嫌い」で始まるという意表を突いたセトリはオーラルの「はしゃいでナンボ」なフェス御用達バンドである自分たちのイメージに対する抗いにも思えた。山中(Vo)が刺々しいのは重々承知の上だ。「去年大トリを務めたスターステージに戻って来れて」なんて言わなくていい自己主張も“らしい”。もはや、それがオーラルの味である。新曲「ワガママで誤魔化さないで」や、特に「容姿端麗な嘘」が、人気曲の中でも際立っていたのが良かった。
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●Base Ball Bear
この日は今のフェスシーンで10~20代に絶大な人気を誇る面子で固められていることに薄々は気付いていたが、まさかベボベが出演者の中でACIDMANに継ぐ年長者であると聞き驚く。青春バンドって騒がれてましたよね? その時は俺も20代だったけど、お互い年取ったね~(笑)「ドラマチック」に代表される青春ロックは健在で、いつ聴いても爽快だった。特に「PARK」で見せた本場のラッパー顔負けの小出(Vo/Gt)のラップの完璧さには脱帽だった。流石は中堅である!
●ヤバイTシャツ屋さん
ちょっと荒かった。音楽性とかどうでもいいじゃん的なノリが快楽主義的な世代に受けているのは結構なことだが、パフォーマンスが一辺倒だと飽きられるのも早い。出てきた瞬間からホルモンの二番煎じ感が否めなかったのだから、超絶的なオリジナリティが欲しい。それが「かわE」や「ハッピーウェディング前ソング」だってことなんだろうけど、例えばキュウソが年々パフォーマンス的に急成長しているのと比較すると、もっと変化と飛躍を期待したくなる。
●go!go!vanillas
日本中が新元号フィーバーの余韻抜けない中、令和一発目にバニラズがぶっ放したのが「平成ペイン」という微笑ましい捻くれが最高で、冒頭からテンションはフルスロットルである。会場中の各々観客が同じ思いだったらしく一斉に飛び跳ね始める一体感が凄まじい。「エマ」「マジック」「カウンターアクション」などの必勝ウエポン的な楽曲は多くあり、当然のように盛り上がったが、6月にリリースされるという新譜がミドルチューン「パラノーマルワンダーワールド」で楽曲ふり幅の広さが見れたのも嬉しかった。プリティ(B)の意識も戻ってリハビリに励んでるという、何よりだ。早く帰ってこい!新曲「No.999」の“デスから這い上がれ”と希望に向かって叫ぶ、へこたれないバニラズが大好きだ。
●KEYTALK
彼らがフェスのトリを務めるのを初めて見るので楽しみだった。レコード会社を移籍したことでメディア露出も増えたと思うし、よりポップソング寄りな新曲「BUBBLE-GUM MAGIC」を発表するなど変化が劇的であるKEYTALK。エロティックなポップソングは義勝(Vo/B)が崇拝する桑田佳祐の影響をどこか感じる。邦楽ロック・シーン随一のお祭りバンドの面目躍如たる楽しさ重視のステージングは完璧だった。意外だったのは「バイバイアイミスユー」を歌ったこと。KEYTALK史上最高とも言えるバラードに会場中がスマホライトで呼応する。日本製グラムロックの秀作と個人的に言ってる「MONSTER DANCE」もいつもより盛り上がった、KEYTALK初のトリを皆が祝福するような光景はフェスを愛する演者と観客が共に、この空間を時間を良いものにしようというポジティヴな空気感に満ちていたように思えて幸せだった。
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2019/05/05(Sun)
この日は保護者としての参加。保護者目線で日頃慣れている光景を見ることは良い刺激であったし、このフェスが如何に様々な世代を受け入れるかの寛容性を感じられて貴重な経験だった。
●UNISON SQUARE GARDEN
MCは当然無し。相変わらずの媚びない姿勢がカッコ良い。斉藤(Vo/Gt)の王子力にも脱帽。「シュガーソングとビターステップ」を外したことが珍しかったが、それでもフェスというアウェイな環境でも十分に機能するユニゾンの楽曲力を再確認した気がする。MCが無い、すなはち演奏が途切れないということだ。リズムは変幻自在に変わるし、緩急の差も半端ないし、ただでさえユニゾンの楽曲は演奏力を要する難易度の高い楽曲が揃っているのに、鳴りやむことない光景は圧巻だった。ヒット曲に頼る気が無いというのがユニゾンらしい。特に「君の瞳に恋してない」の振り切ったポップ感と多幸感に満ちてて気持ち良かった。
●UVERworld
TAKUYA∞のバイタリティはどこから来るのだろう?
この日もいきなりエンジン全開で登場し、そのままの勢いで突き抜けた。凄い通り越して敬うしか出来ない。リハから大合唱が巻き起こる異様な熱気渦巻く会場。パフォーマンスが始まると共に地響きのように沸き起こる大歓声の中、演奏されたのは新曲「Touch off」だ。新曲をしょっぱなから持ってくるとは、如何にウーバーが今の自分たちに自信があって、それを聴衆側も受け入れるかの確信があるかを示している。「PRAYING RUN」「ALL ALONE」「IMPACT」とお馴染みの名曲を会場にぶつけ、観客も大勢ダイブして応える。あまりに興奮し過ぎて前方で大勢が転倒してしまったらしいが、そのくらいの本気度と鬼気迫るステージングは見てて鳥肌が立つものだった。そして、真裏でやってるマキシマムザホルモン二号店にも触れ、企画VTRにも出演したことから、まさかの「恋のメガラバ」をカヴァー。会場は天井落ちてくんじゃないかってくらいの大盛り上がり。ウーバーらしいアレンジで一層ミクスチャーロックに仕上がっており、ホルモンとはまた違ったカッコ良さが感じられた。個人的には「ODD FUTURE」がライヴ映えしてたことが何より嬉しかった。
また来年!
(文・ROCKinNET.com編集部)
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