いよいよ夏本番、国内最大級の野外フェス“ROCK IN JAPAN”に行ってきた。このフェスに関しては個人的に今年で14年連続で参加しているが今夏は、この14年で群を抜いて厳しい暑さである。この異常な酷暑の中の音楽体験、ある種の戦いである。その分の感動も深いと信じて挑んだ1日のレポートを!
●My Hair is Bad
おそらく彼らのキャリア史上最も多い観客前でのライヴになっただろう。ロッキン最大規模の収容ステージであるGRASS SATGEに堂々の登場である! 初武道館公演、フジロック出演と実のある期間を過ごしているマイヘア。「アフターアワー」「真赤」「告白」「ドラマみたいだ」などの保守的な定番セトリで完璧な演奏を見せながらも、生死観とか、時の儚さを真夏の炎天下の青空めがけて高らかに叫んだ椎木の姿が何よりカッコ良かった。いっつも通りのスタンスを貫き通し、圧倒的にアツくてエモい最高潮のライヴを成し遂げた。
「元彼氏として」のアゲアゲ度というか多幸感は、いつ聴いても良い。個人的なフェイバリット・ソング「接吻とフレンド」の切なくも美しいメロディに心奪われる(なかなか最近のフェスでは演らない同曲。主催のrockin’onが事前のリクエスト企画で、“この曲やってくれ!”と書き込んだのだが、その影響なんてことは無いよね?笑)。そろそろ新曲が聴きたくなったな~。
セットリスト
M1 アフターアワー
M2 熱狂を終え
M3 接吻とフレンド
M4 ドラマみたいだ
M5 真赤
M6 告白
M7 クリサンセマム
M8 元彼氏として
M9 フロムナウオン
M10 いつか結婚しても
M11 夏が過ぎてく
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●レキシ
もはや各地フェスで不動の人気と、コメディバンドとしての確固たる地位を築き上げているレキシだが、意外にもロッキン初登場である。「狩りから稲作へ」ではお決まりの稲穂いじりも健在。今日は誰をネタにするかと思えば、今年のロッキンの大トリを務めるサザンの「勝手にシンドバッド」を歌う。何の関連性があるのか分からなかったが「そうねだいたいね」の最後の「いね」が掛かっていた。この瞬間的な思いつきが流石である。サザンを一節だけ歌うも「俺が胸騒ぎがする、干されるわ!」と慌てて軌道修正するが。彼の弄りには愛とリスペクトがあるように思える。池ちゃん自身が本当に音楽を愛してるのだと分かる。やはり同日出演のユーミンをいじらないわけもなく、「春よ、来い」を替え歌で「稲よ~まぶた閉じればそこに~怒られる声がする」と、歌ったりとやりたい放題。新曲「GET A NOT」での盛り上がり以上に、他人の曲で盛り上がるなと自虐ネタも忘れず、皆を笑顔にする抱腹絶倒なパフォーマンスが最高だった。「すごいね、皆が稲穂振り出したら森にカラスが飛び出したよ」というのが個人的に最もツボだった。
セットリスト
M1 SHIKIBU
M2 KMTR645
M3 年貢 for you
M4 GET A NOTE
M5 狩りから稲作へ
M6 きらきら武士
●SKY-HI&THE SUPER FLYERS
現代の大衆ラッパーとして、今やあのKREVA以上の実力と人気と地位を誇っているとも言えるSKY-HI。いくらロッキンがロック・バンドだけではなくアイドルやポップ・シンガーも出場するのが当たり前になったとはいえ、彼の場合はロッキンの裾野が広がったから出れるわけではない、完成し尽くされたステージングに圧倒された。ただの早口芸ではない。ラッパーだけの枠に捉われない。SKY-HIとはエンターテイメントそのものなんだと確信する。長年、AAAで培ってきた歌って踊る完璧なポップ・パフォーマンスでも多くの聴衆を魅了する。新曲「Snatchaway」が夏空に映えていた。期待していた「ナナイロホリデー」やらなかったのが残念。
途中で、実は過去にバンドマン(ドラム担当)だったことを明かし、その時に「一緒にLIVEやらないか」と誘ってくれた先輩を呼びますと、現れたのがUNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介で会場は大盛り上がり。二人の共演作「Diver’s High」を披露するという貴重なコラボが嬉しかった。
セットリスト
M1 逆転ファンファーレ
M2 愛ブルーム
M3 Ms.Liberty
M4 Tyrant Island
M5 Walking on Water
M6 何様
M7 RAPSTA
M8 F-3
M9 Diver’s High
M10 Snatchaway
M11 Double Down
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●マキシマムザホルモン
いきなりホルモンの代表曲である「恋のメガラバ」で幕を開け、瞬時にボルテージが最高潮に達した。それにしても、酷暑の炎天下の時間のマキシマムザホルモンは灼熱という地獄?天国?試練?ってほどに、観客の熱気が凄い。各々が相応の覚悟を持って挑んでいるようにすら思える。凄まじいエネルギーが渦巻いていた。いや、ホルモンの人気が出てきたのは自分が20代の頃で、それから聴き続けているが、こちとら老いるから! ある意味、ロッキンのために禁酒して1カ月前から体力作りの為に走ったのだって、このステージを乗り越える為であって(笑)
個人的には「F」~「便所サンダルダンス」というフェイバリットな楽曲が立て続けに演られたのにぶち上がった。ひとつ感じたのは、「ロッキンポ」の際に、周囲の若者がそんなにノッてなかったこと。あれだけサークルで騒いでたのに。ホルモンでさえも昔の曲の浸透率は悪いのかな?と、実は他のフェスでも同様のことを感じたことがあったので、時の流れを感じて悲しい(笑)日頃の運動が功を成したか、無事に観終えることが出来て、且つ、ポカリ買うまで倒れなかったから安心だ。
執拗なファンキー加藤弄りは、「小さな君の手」のMVでdisった詫びなのだろうか?(実際に仲が良いのは周知ではあるが)
セットリスト
M1 恋のメガラバ
M2 小さな君の手
M3 maximum the hormone
M4 「F」
M5 便所サンダルダンス
M6 中2 ザ ビーム
M7 ロッキンポごろし
M8 チューチュー ラブリー ムニムニ ムラムラ プリンプリン ボロン ヌルル レロレロ
M9 恋のスペルマ
●松任谷由実
今年のロッキンの最大の事件でもあった、ユーミン降臨のニュース。40年以上のキャリアでも初となるフェス参戦である。本当に多くの人が集い関心度の高さを物語っていた。ドカンという大きな音で幕を開けたユーミン劇場。大衆フェスの会場に、ある種の厳かさすら漂った。登場した瞬間、その姿に驚いた。麦わら帽子にチェックのシャツ、そしてデニムのショートパンツ。70歳目前なのに大胆な露出に違和感が無い。世間のユーミン像を崩さないことに感動する。「あ~、ユーミンって、いつの時代もポップ・アイコンなんだな~」と思った。
職場結婚と紹介した旦那の松任谷正隆氏(Key)はじめ、はっぴいえんどの鈴木茂氏(Gt)、林立夫氏(Dr)など重鎮を従えてのステージ。この人たちが日本のポップスを牽引して今がある。そんな贅沢過ぎる、言わば貴重な体験だったと、終わった今感慨深く思い出す。
「わたしのCDが売れてたころ、あなた達のお父さんお母さんが恋愛してたわけです。わたしもたくさんそのお手伝いをしました。今あなた達がここにいるのはわたしのおかげかな?(笑)」というMCは彼女にしか言えない。
「Hello, my friend」「守ってあげたい」「やさしさに包まれたなら」「ひこうき雲」など、DNAに刷り込まれてるレベルの国民歌とも言えるJ-POPの歴史を作ってきた名曲を次々に出し惜しみなく演る。「真夏の夜の夢」では、その音圧に圧倒されたし、「春よ、来い」「卒業写真」で締め括られた。観たいユーミンが想像以上の形で観ることが出来て、これ以上ない満足感でとにかく幸せだった。何を聴かせるべきか、初フェスで自分をどう魅せるかが分かっている。J-POPの礎を築き上げ、日本の音楽界を牽引してきたクイーンの底力に脱帽するしか無かった。
セットリスト
M1 Sign of the Time
M2 Hello, my friend
M3 守ってあげたい
M4 やさしさに包まれたなら
M5 夕涼み
M6 ひこうき雲
M7 真夏の夜の夢
M8 春よ、来い
M9 卒業写真
もう少し時間に余裕はあったものの、ユーミン以上のものは見れないと思ったので、ここで帰宅した。この日は、電車だったというのもある。混雑半端ないからね~。
水分補給が命取りになると思っていただけにポカリ買うのに15分近く並んだのにはマイッタ。観客の居心地を最優先に考えてくれるロッキンだけに即時、改善するとの報告が出たのに安堵する。このフェスが拡大・発展していったのは、邦楽ロックブームの潮流に乗っただけではなくて、こういう観客至上主義だったり、細部への拘りが大きく影響していると思う。
さて、ロッキンは後半へと続く・・・・・・また来週~!
(文・ROCKinNET.com編集部)
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