たけしが「オフィス北野」から独立する。何か腑に落ちない部分もある。フライデー事件があって、太田プロから独立するって際に、たけの個人事務所って形で作られた芸能事務所なわけで。いわば自分でラーメン屋出して、店長でいながらも他でラーメン屋やるって、よくよく考えれば変だよな。
「愛人と軍団の中が悪かったから」とか「高騰したギャラの大半が売れないタレントに食いつぶされるのに我慢できなくなった」とか「芸の無い軍団をキャスティングさせる恩義でやりたくない仕事もやってるのが嫌になった」とか、まぁ憶測はわんさか出てくるわけで。必要のないと思われる独立だけに仕方がないのかも知れないが、憶測がみみっちいものばかりで、たけしフリークとしては、この人の器のデカさや、懐の深さに惚れ込んでるもんで、どれもこれも「バカヤロー」って思うんだけどな。
どうやら真相は30年来の旧友でもある森社長の経営方針に対する不信らしい。映画が大ヒットしても会社に順当にお金が回らないと。要は重役連中が搾取しているという疑念。ここで、流石は殿だなと思うのは、自分が設立した会社であるにも関わらず、そんな疑惑の人間を追い出さないところにある。自分が出ていっちゃう。
それもこれも、自分と森社長では、タレントや社内の人間に限って言っても、人望・人脈からして俺の方が勝っていることを暗に表示しているのかも知れない。自ずと組織として成立できなくなるだろうって誰もが感じてることは分かってる。だから、弟子たちを見捨てたりもしない。その内、合流するという。敵を裁判だ何だと小手先のみみっちい攻撃なんかしなくても、敵が自ら崩壊するのを見越している。そのへんが格好良い。生き様としても、芸人としても、その振る舞い方に脱帽する。
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とは言え、芸人と同様に世界的な映画監督でもある。今回の独立は数々の海外メディアも報じている。海外での話題になっているのは、森友文書改ざんと、たけしの独立くらいだから、影響力が凄まじい。
まずは、米バラエティ誌。ウケたのは、記事内で「たけし軍団」を「Takeshi’s Army」と紹介したてこと。それじゃ、まるっきり本物の軍隊になっちゃうんだわ。何も殿はフライデー以外は武力行使してないから(笑)
The Hollywood Reporterは『HANA-BI』で1997年の金獅子賞を受賞した映画監督が自らの事務所を退社したという旨で紹介された。気になるのは、殿のアメリカでの知名度。ヨーロッパでは絶大な敬意と知名度を誇るにせよ、大国アメリカでの高評価ってのは聞いたことが無い。
しかし、スカーレット・ヨハンソン主演作『ゴースト・イン・ザ・シェル』で、たけしの参加が決まった際には「日本映画界の伝説が参戦」「このキャスティングは賢明」と紹介されたことから、映画監督としての功績はやはり相当の評価として認識されているんだろうと思う。オスカー投票権も持っているしね。ついでに、殿は「物忘れがひどい時はカンペを持ってもらったんだけど、その相手がスカーレットだったという、ある意味の快挙をあげたんじゃないかって(笑)」なんて発言も。
我々の世代(80年代生まれ)は物心付いた時から、既にひょうきん族が国民的な人気を誇ってて、テレビにたけしが出てれば面白いって認識。やはり未だにバラエティ番組は、たけしが企画にも携わったことのぶり返し(ロケVTRをスタジオで見る「元気が出るテレビ」型や、素人参加型の「風雲たけし城」や、難題クイズ番組をお笑いにした「平成教育委員会」など)でしかないから、やっぱ、この人は天才なんだと思う。モゴモゴ何を言ってるのか分からないなんて言ってる無礼な連中は『アウトレイジ』じゃないけど、銃で撃たれちまえ(笑)
独立騒動で心配される重要なことは、今後も変わらずにテレビに出続けてほしいということ。ま、SMAPと違って独立組に対してテレビ局が事務所と忖度して一斉に無視するような存在でも無いと思うけど。俺としては、年末とかに見る、たけし軍団の下ネタ満載の何の薬にもならないような、くだらない番組が大好きだったんだけどなぁ。ああいうの見れなくなるかもしれないと思うと寂しい以外の何者でもない。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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