映画レビュー

【映画鑑賞日記】ゴースト・イン・ザ・シェル

出典:http://www.imdb.com/title/tt1219827/mediaviewer/rm3909565952

囲碁の名人が人工知能に負けたというニュースを見て、人類はこのまま何処に行こうとしているのか?開発は正義か?なんてことを思った。
囲碁の名人戦ともなれば、相手の表情や空気感を察して、先の手を読むくらいの心理戦だそうで、それが実は口三味線だったりするのも、人間だからこそ出来ることだし、醍醐味だって言うのを聞いたことがある。

だから何だって言われると、結局は、人工知能も、囲碁でも将棋でも、この先、様々なスポーツ、医療、生活のあらゆる部分で活躍する時代がくると予想されるけど、それらに人間的なものが一切排除されていいのか? 人間的なものというのは感受性や、データ以外の部分なわけで、理屈ではない感情論が疎外されることに、少々、面白みがなくなるというか、ある種の危険性も伴うなと思ったりもしたわけだが、そんな世界が、この『攻殻機動隊』なのだろうと思ったのだ。

何をそこまで危惧しているかといわれれば、2001年にスピルバーグの『A.I.』という映画が公開され話題になった。しかし、あの当時は、今ほどパソコンも普及してなったし、携帯電話の所持率も今ほどでもなかった。人工知能なんて夢物語でしかなかったから、映画としての題材としても斬新で、物珍しく、ファンタジーとして適切だった。それから、16年である。たった16年で、ここまで進歩した。人間の知能を上回ってしまったのだ。そのペースの速さと、身近さに戸惑いに近い危機感を覚える私のような人間がいてもいいと思わないか。

アニメを全く見ないので、大変申し訳ないが原作を全く知らない。だから、世界観の構築や、ストーリーの再現性、緻密さについて、とやかく言える立場に無い。そんな無垢な素人目線で言わせて頂くならば、漫画原作の映画としての再現性は抜群ではないのか? チラッとしか見てないが、近未来の光景には、映像革新が個人的には起こったと思えるほどのハイクオリティである。破滅をも感じさせる発展途上の光景は、多彩で美しかった。

人工知能系映画には避けて通れないテーマ性であるのは明白だが、今年続編が決まっている大名作『ブレードランナー』にも通じる、人工知能自身の意思、AIの人間性の取り扱い方。それらが、本作では、特に切なく描かれている。発達しすぎた科学が行き着く先は悲劇だと、映画は語る。

何故か、ビートたけしが日本語のままだったのが、残念極まりなかったが、もはやキアヌ・リーブス主演の『JM』の時のように英語台詞を覚えるのを疎ましく思ったか? たけしの日本語に、ハリウッド俳優達が英語で返すという歪な会話劇も説得性に欠け、監督は(たけしを尊敬、敬愛していようとも)英語を話させるべきだったと思う。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. ポール東京ドーム初日を観た!
  2. 【フジから若者が消えた?】フェスの“聖地”フジロックが中高年化している問題。若者…
  3. 安室奈美恵の引退への想い~安室という現象が現代の日本女性像を変えた~
  4. サザン40周年ライヴをLVで観る!~親近感こそサザン最大の魅力だと再確認する~
  5. 【ヒットの勝算はネット戦略にあり?】恐怖のピエロ映画『IT』が公開第三週で興収首…

関連記事

  1. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】SING/シング

    もしズートピアで『glee』をやったら・・・「My w…

  2. アカデミー賞

    『シェイプ・オブ・ウォーター』の成功の理由は異質との性描写で逃げなかったことにある!

    異物との性描写を逃げないからこそ究極の愛が描けた甘美で倒錯的な…

  3. ニュース

    【映画鑑賞日記】帰ってきたヒトラー

    (C) 2015 MYTHOS FILMPRODUKTION GMBH…

  4. 映画レビュー

    自分の起源を知り家系を大事にする想いに感動する『リメンバー・ミー』

    お盆の時期、幼い頃に両親の実家に行った際に、仏壇がいつも以上に大掛…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. 映画

    ピーター死亡?アベンジャーズと違う?話題の映画『スパイダーマン:スパイダーバース…
  2. グラミー賞

    今年のグラミー賞で明確になった黒人音楽(RAP/HIPHOP)劣勢の事実と、ブル…
  3. 邦楽

    RADWIMPS「HINOMARU」が物議!ポップ・ソングの右傾化に不自然さを感…
  4. 音楽

    ジャスティン・ビーバー新曲のスペイン語が歌えず大ヒンシュクからのブーム化
  5. 音楽

    【FUJI ROCK直前特集 Part.2】音楽に政治を持ち込むのは是か?非か?…
PAGE TOP