テレビ・芸能人

【追悼】志村けんに思いを馳せて



共同通信

日本から大きな笑いが消えた。

物心ついた時からテレビで僕らを笑わし続け、生涯かけて笑いを届けてくれた大事な存在。大好きな存在。そんな、志村けんが新型コロナ感染症により御逝去された。70歳だった。もう「バカ殿」も「変なおじさん」も見れないと思うと寂しい。ただ素直に寂しい。

嘘か誠かこんな噂を耳にしたことがある。志村けんは共演者を決める時に、目の前でオナラをするそうだ。その時の反応が、嫌な顔をするか、笑うかで結論は分かれるんだとか。一般的に下品とされる物も陽気な笑いに昇華して、嫌味無く、お茶の間に浸透させるのは、志村さんの温厚で底なしに明るいお人柄でないと成立し得なかったと思う。
だから、バラエティ出演が珍しい俳優の柄本明も唯一、志村さんの番組のコントに出たんだろうし、そうやって志村さんの人柄に惹かれる役者や芸人は本当に多かったと思う。


昨今は芸人の地位が向上し、笑いが崇高なものと化した側面もある。芸人たちは「笑わせる」姿勢で観客に挑もうとする。しかし、志村さんは真逆だった。91年の雑誌「SWITCH」のインタビューで

俺は基本的に笑われるのが好きなんだよな。トークとかで人を笑わせるのじゃなくて、自分が笑われるのが好きなんだ。(中略)僕らがやっているコントというものは何年経ってでも笑えると思うんですよね。流行には流されないコントなんです。ふざけて作ってるわけじゃないですから。ちゃんとそこそこ作ってあるから。いつ見ても笑えると思うんですよね。それが「笑い」の本質だと思うんです。(中略)ばーっと見てて、一瞬だけ面白ければいいんです。「笑い」ってあんまり真剣に見るもんじゃないですからね




小学生の時、当時、勢いのあったウッチャンナンチャンがフジテレビで「ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!」が放送開始され、同級生はセンセーショナルな笑いに飛びついた。僕も全く見なかったわけではないけど、同時間帯のTBSで放送されていた「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」の王道的ながらハチャメチャな笑いは僕の中では決して錆びることは無かった。それは今も同じで、やっぱ「バカ殿」見ると面白いし、笑えるのと同時に、どこか安心感を得る不思議な体験を覚えていた。幼少期を思い出すというか、笑って生きていけば「だいじょぶだぁ」と言ってくれている気がして。ついこの前までのことだ、この前まで、その笑いは僕らのすぐ側にあったのに。少なくとも、あと10年はそういう姿が見れると思っていたのに。


福島の義姉の実家に訪れた時に、義姉の父親が言っていたのを面白がったことに起因する「だいじょぶだぁ」は、バブル期に浮かれていた中で流行していたけども、その後も、どこか不安定な時代を生きる僕らを陽気な安心感で保ってくれた言葉に思えて仕方ない。芸人以外の表情を見せることがあまり無く、芸人を全うした人生に敬意と感謝と愛を贈りたい。本当に、今まで志村さんが与えてくれた笑いを忘れず、腐ること無く明るく生きる意味を教えてくれてありがとうございます!

日本の喜劇王、日本のチャップリンの急な喪失は、まだ現実のものとして受け入れられず、気持ちを的確に表せる言葉が見つからない。新型コロナのいち早い終息を願う。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。


 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. テレ朝スーパー戦隊の放送時間変更の暴挙は吉と出るか?
  2. 今年2018年のサマソニがガラガラの異常事態!~その原因を探ってみた
  3. 「時代遅れのRock’nRoll Band」を聴く
  4. 世界で大ヒット中の映画『スパイダーマン:ホームカミング』の主人公トム・ホランドの…
  5. KEYTALKの八木氏はナゼ愛されるのか?その無敵な愛嬌の謎と八木氏のドラムテク…

関連記事

  1. ニュース

    【のんぽり?バカ?】テイラー・スイフトがバッシングの標的に!

    先日マドンナはじめ大勢のセレブも参加した、女性による反トラ…

  2. テレビ・芸能人

    いいとも終了について

    俺の中では、いいとも=テレビだった部分も少なからずありまし…

  3. テレビ・芸能人

    たった43票の不支持票で明石家さんまを「老害」で片付ける無責任な扇動暴力

    明石家さんまが、それでも「国民的」と証明した結果であるそもそも笑い…

  4. ニュース

    続・トランプ当選に対する音楽界の反応

    レディオヘッドのトム・ヨークは今回の米大統領選挙の結果が出…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. 音楽

    【この夏も話題独占】ジャスティン・ビーバーの恋愛遍歴を振り返り!
  2. 音楽

    PSY「江南スタイル」が持つYOUTUBE再生回数1位の記録を破ったのは!?【最…
  3. 日記

    パリピが日常悩んでる嫌なことって何?ストレス溜めない極意がULTRA JAPAN…
  4. ライブレポート

    ポール東京ドーム初日を観た!
  5. ハリウッド

    『君の名は。』のハリウッド実写化が失敗すると断言したい理由
PAGE TOP