如何にハリウッドを目指すかに意識を置いている韓国映画の成熟度が窺い知れる、良く出来たアクション娯楽作だった。純粋に面白い。
前作の列車という密室からの駅周辺という限定的空間から、廃と化した半島レベルでの広範囲感が、より『バイオハザード』的でゲーム性は無いものの荒廃しきった町並みの様が酷くなっており、脅威の深刻さの観点からも、続編のアプローチとしては決して間違えてはいないと感じる。
ゾンビだらけの半島には、ゾンビには不要な金銀財宝が眠っている、感染から逃れ香港で差別を受けながら底辺の生活を送る主人公達が、マフィアに雇われ、再び半島に戻り金を集めるって話。
その中で、生き延びる家族がいたり、街を牛耳る悪党兵士軍団がいたりで、まるで、北斗の拳のような終焉世界観は、少年ジャンプ黄金期世代にとってはたまらない。
生き残った人間を「野良」と蔑み、閉じられた檻の中でゾンビから逃げさせる懸けゲームをするなど、人間の愚かさも描く。これってゾンビ映画にはお決まりのパターンで、「ウォーキング・ザ・デッド」なんかもそうだったように、ゾンビを通じて、人間の狂気を焙り出す。未曾有の状態に置かれたときに理性が崩壊する。これは、コロナ禍でも、しばし見られた光景だ。自粛警察、「コロナはただの風邪」と渋谷駅でデモ、トイレットペーパーに群がり殴り合ったり、冷静さを失った時の人間の脆さ・滑稽さが垣間見える。ゾンビもコロナも同じ。人間がどう対峙するか、そんな姿勢が問われているような気がした・・・・・・なんて言ったら説教じみすぎて、おっさん言われそうだから辞めよう。
特筆すべきは、容赦なくゾンビの大群の中を車でかっ飛ばす少女がナイスキャラ過ぎたこと。今回のMVP。『キック・アス』のヒット・ガール的なぶっ飛び方だ。日本では人間を喰らう鬼が消え去るときに、同情をする主人公の物語が空前のヒットを飛ばしているというのに、こちとらゾンビには容赦ない・・・・・・うん、こうでなくちゃ映画はつまらない。
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』的なカーチェイスの迫力にも圧倒される。ハリウッド顔負けのアクションを見せてくれる。前作が、利他的な犠牲を伴ったヒロイズムを描いた悲哀の物語で終わったのに対して、今回はアクションに徹しているので、くどくなく、潔くて、これはこれで良いような気がする。前作は日常内の脅威だったのに対し、今回は浮世離れしている分、エンタメとして開き直れた。
あとは、とにかく、主人公のカン・ドンウォンだ。久々に見て、その変らない容姿に驚く。確か自分の世代なので40歳前後になってるはずだが、老けることも無く、全く以てイケメン全開でゾンビ退治する姿がかっこいい。
最後は不要なほどの尺を使って、母娘愛を描いてうんざりした(韓国映画の悪いところ)が、今回で最後ということらしいので、半島に残された、あれだけのゾンビ、どうするんだろうね? ファイザーのワクチンも大人しく打ってくれなさそうだし・・・・・・
(文・ROCKinNET.com編集部)
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