10年間、勤めた保険会社から突然解雇され、いつもの通勤電車で帰宅中のリーアム・ニーソンのもとに、面識のない女性が現れ、僅かなヒントを頼りに乗客の中から、とある荷物を持った人物を捜し出せば報酬を払うと話を持ちかける。断るニーソンだったが、自分の家族が人質に捉えられたと知り、仕方なく人物探しに奮闘するが、犠牲者が出るなど、危機的状況がニーソンを襲う!
『フライト・ゲーム』の電車版だった。おそらく脚本の飛行機という文字を電車に書き換えただけだろう(笑)とさえ思えるような映画。家族が人質になるのは『96時間』でも済んでいる。隅から隅まで既視感満載! 正しくニーソン映画の焼き直し映画だった。
この『トレイン・ミッション』と、他のニーソン映画との共通項を挙げてみる。
・密室である
・口外してはならない
・乗客が狙われる
・犯人の姿が見えない
・けど、ニーソンの言動はすっかりマークされている
・周囲からはニーソンが不審者だと思われる
・怪しいと思っている奴は大概犯人ではない
・素人であるはずのニーソンがやたらと強い
これだけじゃ何の映画か分からないのがリーアム・ニーソンぱいせんの映画(笑)
飛行機なのか?電車なのか?96時間制限なのか?それだけの違い。 pic.twitter.com/JtclzfPdfY— ROCKinNET.com (@ROCKinNETcom) 2018年4月26日
ここまで似通っていると、もはや開き直りの境地で、許せてくる。しかも、なかなか手の込んだサスペンスが娯楽性高く、毎回、期待を裏切らない。面白い映画とは、こういう映画だと言わんばかりのニーソン・シリーズである。毎回「そんな馬鹿な!」という非現実的で理不尽な条件ではあるが、一気に主人公と観客を不条理な世界に引きづり込み、矛盾も理屈も感じさせる猶予も与えない程のスピード感で物語は展開していく。
ただ、この作品の犯人が警察官であることは特筆すべきだろう。堕ちた国家権力を描くというのは、昨今のアメリカ警官による理不尽な黒人への暴力などへの抗いとも言えよう。非常にパンクな反骨精神に基づいた作品だと思った。
ニーソンという俳優も不思議な俳優である。もともとはアクション俳優では無かったはず。『シンドラーのリスト』に代表されるように、演技派俳優として名を馳せていたが、還暦前後から、『96時間』のヒットを受けてか、アクション映画に次々と出演。御年65歳にも関わらず、本作でも現役感バリバリなのが、格好良い。190cmの高身長も手伝ってか、迫力ある超絶アクションを見せてくれる。もっと早く若いうちにやっとけば良かったのにと思ったりもするが。「これでアクション作品は最後」だと本人は言っているらしいが、思わず新作も期待してしまう。次の作品の舞台は船か? 最終的にはロケットか?(笑)
(文・ROCKinNET.com編集部)
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