映画レビュー

『いぬやしき』加齢のギャップを活かせず、憲さんよりも佐藤健がカッコ良いのが最大の失敗!

(C) 2018「いぬやしき」製作委員会 (C) 奥浩哉/講談社

空中戦の映像は見事でした。昨今の邦画では最高クラスじゃないかと思えるど迫力でした。ただね、なんかヒーロー漫画原作の映画にしては腑に落ちないというか、スカッと感が無かったんですね。ヒロイズムがきっちりと描かれてないというか。『GANTZ』『図書館戦争』のようなアクション映画を得意とする監督だけに、話がね、薄っぺらいまま映像だけ派手な映画だった印象でね。

配役に憲さんを抜擢したのは絶妙だなと思うんだけど、致命的だなと感じたのは敵役の佐藤健の方がカッコ良過ぎたこと。ヒールに徹し切れていない。憲さん演じる爺と、どっちが主人公でヒーローなのか分からない。確かに、ベジータとか力石徹のようなヒールが支持されるパターンも有りだと思うけど、佐藤健演じる高校生はそれらとは違う。カッコ良く撮っちゃ駄目なんだよね。佐藤健ばかりが、ひたすらカッコ良くて、事務所(アミューズ)の顔色伺ってるのか?とすら思えたくらいで。




この作品って爺が主人公で英雄ってところが最大の魅力なわけでしょ? 日本は加齢をネガティブなものとする風潮があるから、そのギャップを活かしたところに原作の面白みがあるのに、劇中の木梨憲武が駄目なのなんのって。“冴えないからの~実は超人で強くて世界守っちゃって、爺スゲェじゃん!”という前振り~オチの設定が活かされてない。最後までヨタヨタして強くないし、互角に戦えないし、ヒーローじゃないんだよね、あれじゃ機械化された意味ないじゃん?
幼少期に「仮面ノリダー」に笑い憧れた世代としては、あの感覚をもう一度と思っていたけど、それが成されなかったのが残念でならなかった。

それと、やたらと匿名掲示板の書き込みが世論を象徴する声のように扱うの、いい加減に辞めたら?と思う。05年の電車男の流行時をピークに、もはや、利用者も高齢化・減少傾向にあるわけで、ニッチな分野だと思うので、そんなもので佐藤健が一喜一憂すること自体が安直だなと思ったりもしたけど。
しかし、佐藤健の意外に胸筋が凄いことに驚いた。『亜人』では綾野剛に存在感から演技力まで圧倒されて全部持って行かれてた感あるけど、今回は悪い意味でカッコ良過ぎちゃって、目立っちゃいましたね。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。




 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 「時代遅れのRock’nRoll Band」を聴く
  2. ELLEGARDEN復活ライヴを観る!10年の活動休止の先にあった変わらない尊さ…
  3. テレ朝スーパー戦隊の放送時間変更の暴挙は吉と出るか?
  4. 遂に日本国内興収100億円突破!『ボヘミアン・ラプソディ』はアカデミー賞を獲れる…
  5. またもコンサート会場が狙われる「米国史上最悪の銃乱射事件」から音楽ライヴ運営の将…

関連記事

  1. アカデミー賞

    『シェイプ・オブ・ウォーター』の成功の理由は異質との性描写で逃げなかったことにある!

    異物との性描写を逃げないからこそ究極の愛が描けた甘美で倒錯的な…

  2. 映画レビュー

    『search』を観た!控えめに言っても大傑作!ここ数年で1番の大傑作と評したい!

    控えめに言っても大傑作である。素晴らしいアイディア、完璧な映画だ!…

  3. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】バイオハザード:ザ・ファイナル

    この映画の存在意義は2つあると思っています。まずは、ゾ…

  4. 映画レビュー

    俺が勝手に選ぶBest映画2013

    こうなったら毎年言ってやろうと思うのですが、俺も大学で映画を専攻してい…

  5. 映画レビュー

    何故か『ヴェノム』が可愛く見える不可思議?最恐で最高のダーク・ヒーロー誕生!

    ヴェノムは既に2007年の『スパイダーマン3』に登場済みヴェノ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. ライブレポート

    ROCK IN JAPAN 2018 4日目(2018/08/12)ライブレポー…
  2. 音楽

    【FUJI ROCK直前特集 Part.2】音楽に政治を持ち込むのは是か?非か?…
  3. 邦楽

    松任谷由実「恋人がサンタクロース」がクリスマスは恋人と過ごす日という社会的呪縛を…
  4. ライブレポート

    COUNTDOWN JAPAN 1718 4日目ライヴレポート
  5. 映画レビュー

    勝手に選ぶ今年良かった映画TOP10 2017大発表!
PAGE TOP