邦楽

【あの曲不要!】サザン20年ぶりのベスト盤『海のOh!Yeah!!』の収録曲について個人的な感想

出典:@sasfannet

夏だ! 海だ! サザンだぁ!
例年より早い梅雨明けの知らせからサザンの40周年が始まった。ただ、サザンの40周年の活動があまりにサザンらしくないことで話題を呼んでいる。これまでのサザンの周年と言えば前人未到の日産スタジアム4Daysを開催したり、全国のスタジアムを回って数十万人動員して、ド派手に花火をドッカンドッカン上げてという活動をしてきた。
しかし、今年はNHKホールという約3000人の小規模な箱で2Daysしかやらない。代わりに、来年2019年の春に全国ツアーをすることが発表されている。そして、何よりも日本最大級の野外フェスであるROCK IN JAPANに13年ぶりに出演が決定。大トリを務めることが話題だ。

また、20年ぶりとなるベスト・アルバム『海のOh!Yeah!!』のリリースも決定。前作『海のYeah!!』リリース時の1998年から2018年までの20年間に発表された楽曲から厳選された29曲に新曲3曲が加わった豪華版となる。

ただ、この20年間でサザンが活動してきた期間は12年と意外に短い。
まぁ、「TSUNAMI」の大ヒット以降、存在が国民的なバンドとなってから身動きがとりづらくなり、バンドとしての体を成しているかの議論も実際にはあろう。渋谷陽一も実質上サザンがバンドとして機能していたのは1992年発表の「世に万葉の花が咲くなり」以前のことだと桑田に直球を投げたことがあるくらいだし。

そんな期間から選出された楽曲群を見て、その意外性に驚く。まず、その間にリリースされたシングルが全て入っているわけではない。「PARADISE」「この青い空、みどり~BLUE IN GREEN~」「君こそスターだ」「夢に消えたジュリア」が収録されていない。以前より、桑田自身の口から「君こそスターだ」が嫌いである発言もしており、またライブでの披露もさほどされていないことから、未収録なのも納得ではあるけども。



そして意外なのが「FRIENDS」の収録である。個人的な嗜好を述べても仕方ないとは思うけど、いくら好きなアーティストの楽曲でも得意・不得意はあるもんだ、正直なところ。実はサザン史上トップ5に入るくらい不得意な曲です、はい・・・・・・岸谷五朗・寺脇康文が率いる企画ユニット「地球ゴージャス」の舞台の主題歌として書き下ろされた楽曲なのだが、サザン的でないこと、歌詞やメロディが暗いこと、舞台音楽という異種格闘技に挑んだはいいけど桑田自身の他の楽曲に勝っていないことが理由。まして長い。桑田は求められる対象に見合った楽曲を作る才能には日本イチ長けていると言って過言ではないけど、せっかくの記念碑的な作品にこれを入れてしまう世間とのズレ。嬉しくない。

ただ、2015年リリースの『葡萄』からドラマ主題歌にもなった「イヤな事だらけの世の中で」ではなく軽快な四つ打ちポップ・ソング「アロエ」を選んだセンスは素敵だと思っている。

また、2005年の『キラーストリート』はシングル級の高クオリティ楽曲が多く収録されていたが、そのほとんどが未収録なのも驚く。個人的には「ごめんよ僕が馬鹿だった」「セイシェル~海の聖者~」「八月の詩(セレナード)」「恋人は南風」「雨上がりにもう一度キスをして」が入っていないのは本当に物足りないと言うか、ベスト盤として世に出すには勿体無い気しかしない。既に2000年リリースのベスト盤『バラッド3』に収録済みの「唐人物語」「SAUDADE〜真冬の蜃気楼〜」を収録するくらいなら、これらを優先すべきだった。
その他にも、「爆笑アイランド」「天国オン・ザ・ビーチ」など風刺曲、エロ曲が少ないことも寂しいと思う。サザンの作品でエロを抜いたら何が残るって程に。コンプライアンスを気にしてるサザンなんかサザンじゃない。
そんなことを言いつつも、これだけの欲求が出てくるというのは、それだけ拘りが強いってことであり、ファンの証明でもあるんだけど。改めて、過去の楽曲たちを再聴できるのが楽しみだ。

【早期購入特典あり】海のOh,Yeah!!(2CD)(完全生産限定盤)(サザンオールスターズ 40th キックオフポスター A2サイズ+ "海の幸!!"ケース付)

<収録内容>
[DISC-1:“Daddy”side]
1. TSUNAMI
2. LOVE AFFAIR~秘密のデート~
3. BLUE HEAVEN
4. イエローマン~星の王子様~
5. SEA SIDE WOMAN BLUES
6. 彩~Aja~
7. HOTEL PACIFIC
8. 唐人物語(ラシャメンのうた)
9. SAUDADE〜真冬の蜃気楼〜
10. 涙の海で抱かれたい〜SEA OF LOVE〜
11. 私の世紀末カルテ
12. OH!! SUMMER QUEEN〜夏の女王様〜
13. LONELY WOMAN
14. 01MESSENGER〜電子狂の詩(うた)〜
15. 限りなき永遠(とわ)の愛
16. 素敵な夢を叶えましょう

[DISC-2:“Mommy”side]
1. 東京VICTORY
2. ロックンロール・スーパーマン~Rock’n Roll Superman~
3. 愛と欲望の日々
4. DIRTY OLD MAN~さらば夏よ~
5. I AM YOUR SINGER
6. はっぴいえんど
7. 北鎌倉の思い出 〈新曲〉
8. FRIENDS
9. ピースとハイライト
10. アロエ
11. 神の島遥か国
12. 栄光の男
13. BOHBO No.5
14. 蛍
15. 闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて 〈新曲〉
16. 壮年JUMP 〈新曲〉
《完全生産限定盤 Bonus Track》
弥蜜塌菜のしらべ 〈初音源化〉



(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』の功績は神話をオリジナリティをもって進展させ…
  2. 『君の名は。』のハリウッド実写化が失敗すると断言したい理由
  3. ロック・イン・ジャパン2017 2日目ライヴレポート
  4. 遂に日本国内興収100億円突破!『ボヘミアン・ラプソディ』はアカデミー賞を獲れる…
  5. RADWIMPS「HINOMARU」が物議!ポップ・ソングの右傾化に不自然さを感…

関連記事

  1. 邦楽

    SMAPロス~SMAPが復活する時~

    前代未聞なわけである。37万人の署名運動、購買運動は既…

  2. 邦楽

    SMAPの解散に想いを寄せて

    実に淡々とした幕引きだった。これまで日本の芸能史では多くの…

  3. 邦楽

    go!go!vanillasの新曲「カウンターアクション」が最高★

    自分たちの音楽的快楽領域を開拓し、思いっきりロックしてるのが心…

  4. 邦楽

    国民級巨大イベントを終え、サザンは今後…

    この夏、邦楽シーンの話題を一気にかっさらい、復活ライブを国民的…

  5. 邦楽

    【全曲レビュー】桑田佳祐の最新作『がらくた』が凄過ぎた!大衆音楽ここに極まり!

    今更な感想なのである。「本当にこの人のアルバムはポップ、ロック…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

  1. ライブレポート

    【ライヴレポート】ポール・マッカートニー(2018/11/1@東京ドーム)
  2. 日記

    大雪なので雪の日に聴きたい楽曲を集めてみた!
  3. ハリウッド

    年収50億のジョニー・デップが破産寸前な理由とは!~お金について考える
  4. ハリウッド

    【実は悪事を働いていない?】『美女と野獣』の悪役ガストンから読み解く、強さを求め…
  5. グラミー賞

    今年のグラミー賞で明確になった黒人音楽(RAP/HIPHOP)劣勢の事実と、ブル…
PAGE TOP