映画レビュー

OASIS日本ラスト公演「FUJIROCK’09」を映画館で観る!

pictured by ROCKinNET.com


フェスにおける生の現場に比例する臨場感のある音響。月並みな表現になるが、正しく9年前の苗場にタイムスリップしたようだった。貴重な映像体験をしたと思っている。
本来は昨年末に公開されていた本作。私の住む地域が田舎だからか、上映が随分と遅れて、ようやく近所の映画館でも上映された。オアシスが2009年のフジロックに登場した時のパフォーマンスを映画館で流すという企画。とにかく、まさか、これが最後のオアシスの姿になろうと誰もが思っていなかった時のライヴである。今となっては、伝説的な一夜の記録映画である。

大歓声の中、雨が降り注ぐステージ上で、一曲目の「Rock ‘N’ Roll Star」のイントロが流れる。思わず鳥肌が立つ。リアムが後ろで手を組み、タンバリンを咥えて立ち尽くす。その姿がかっこいい。
実は、この数か月前に幕張メッセでワンマン・ライヴがあった。個人的には最初で最後の生オアシス体験だった。その時にも同様に全身に鳥肌が立った。あまりのカッコ良さに痺れて。その体験が、解散から約10年経って味わえるとは思ってもみなかった。あまりの感動にライヴ泣きしながら、細胞レベルに染みわたっている名曲を口ずさんでいる自分に気付く。

懐かしさがそうさせるのか?
それもあるだろうが、リアムがマイクスタンドに向かって猫背で立ち歌う、その真横にノエルがギターを弾いてコーラスをしている、解散前は当たり前だったオアシスの姿が、当然ではあるが、そこに映し出されている。それがどんなに奇跡だったのかの感動だ。これだけ世界中が望んでも再結成が実現しないことが、余計に感動を煽り立てている。そう、これが俺たちが望んでいるギャラガー兄弟の姿なんだって。

続いて「Lyla」「The Shock Of The Lightning」「Cigarettes & Alcohol」と煽られるだけ煽られる。体中が乗る。周囲の客なんか見えていなかった。もともと馬鹿デカい上映館内に観客も4~5名しかいなかったけど、彼らも相当のロック通だろうし、同じ感覚だったに違いない。
映画館にいるのか、フェス会場にいるのか、もはや、そんなことどうでもいい。自分に多大な影響を与えたバンドの、今はもう見られないパフォーマンスに全身の細胞が躍動しているのを感じた。

矢沢永吉や桑田佳祐をはじめとする日本の偉大なミュージシャン達が、己の人生を左右させるほど、ビートルズから大きく影響を受けたように、私は同様の衝撃をオアシスから受けた。ラジオから流れてくる名も知らぬ洋楽を聴き、脳天に雷が落ちた。後にその曲がオアシスの「Morning Glory」と知ることになる。もちろん、この名曲もやる。会場の熱気がより一層伝わってくる。

続いて、「Wonderwall」「Supersonic」「Live Forever」……
確か、この頃のオアシスは実質最後のアルバムとなる『Dig Out Your Soul』を出した直後であるが、このライヴのセトリは正に“ベスト・オブ・オアシス”と呼ぶに相応しい、出し惜しみの無い贅沢な選曲だった。

自分でも予想は出来ていたけど「Don’t Look Back In Anger」では涙が出た。(リアムは案の定、会場の端っこのマーシャルに寄りかかって退屈そうな顔をしている。このお馴染み過ぎる兄弟間の仲の悪さも“らしくて”良い)これらの名曲は、一昨年のノエルのソロ来日武道館でも聴けたし、これからも各々のソロ活動で聴けるだろう。しかし、この映像を観て、改めて感じた。それじゃ駄目なんだ。ノエルもリアムも一緒のステージに上がってこそ映えるのだ!

今やロックは衰退しているという。チャートを見れば軽薄なEDM(もう古いかな?)やポップで溢れている。現役の優れたロックバンドは多く存在するが、世界的に名実ともにNo.1と呼んで相応しい、シーンを牽引するバンドはいないことも大きいのかもしれない。間違えなく、その存在とはリアムであり、ノエルであり、これらの名曲なのだ。だから、オアシスは必要なバンドなんだと。現代のビートルズなんだと。この映像を観て、半ば諦めていたが、いつか絶対に再び生のオアシスを観れることを祈っている。

 

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