最高過ぎて言葉も無い。素晴らしいのひと言だ。こんなにcoolでかっちょいい映画を近年観たことがない。しかも、楽曲、洋服、セット、アクションの何もかもがセンス良い。
The Jon Spencer Blues Explosionの「Bellbottoms」で始まり、冒頭から、いきなり息をつく暇もないほどのフルスロットルなカーアクションを魅せてくれる。猛スピードで走っている車の前方にトラックが出てきて、衝突寸前の時にハンドブレーキをかけて、横滑りしながら障害物をかわしてしまう。『ワイスピ』にも劣らない見事なカーチェイス・シーンを目の当たりにし、アドレナリン全開でスクリーンに食いつこうとする自分に気付く。その時点で、既にこの映画の虜になっていた。
物語はいたって単純。ボーイ・ミーツ・ガール。犯罪という壁が恋愛を成就させないロミジュリ手法。今年風に例えるなら、クライム青春映画に、『ラ・ラ・ランド』テイストを少々加えた感じ。あっちが正統派ミュージカルならば、「こちトラ、過激なアクション映画じゃ!」と言わんばかりの、先述の通りの大迫力なカーチェイスシーンが満載。ドンパチ銃撃シーンばかり。どういう映画なのかの予備知識を持っていなかったので、こんなに娯楽性が高い映画だったことに驚きと感動を覚える。こういう映画があるから、映画が好きでよかったとさえ思える。
特に、銃撃の際も、無造作に撃っているのではない。BGMとシンクロされているのだ。楽曲のリズムに合っているので、銃撃シーンでもグルービーなのが非常に楽しい。細かなテイストまで心底こだわっている。そんな屈託の無さに好感が持てる。
それに、主演のアンセル君の普通な少年のオーラがいい。不良感が微塵もないからこそ、この主人公像としても青春物語としても成立する。また、そんなアンセル君、190cmのかなりの高身長ではあるが、そんな若手の高身長を凌駕する、彼を取り囲むオヤジ俳優たちのアクの強さと言ったら無い。犯罪チームを束ねる親分を演じるケビン・スペイシーの重圧感、ジェイミー・フォックスのイカれっぷり、ジョン・ハムの狂気が、この犯罪映画に箔を付けているし、勢いや活力を与えているようだ。どこかタランティーノっぽさがあるのも、彼らのような濃い俳優の存在感がそうさせているのだと思う。
ちなみに、レッチリのフリーも久々の映画出演していて、あまりにピッタリ役なのがウケた(若手時代に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にチョイ役で出演しているのは有名な話)。
主人公の心情に合った音楽が使用されており、The Damned 「Neat Neat Neat」、The Shake「Got No Soul」、Queen「Brighton Rock」など、各々のシーンによく合う、映画全体に流れる選曲の妙が際立つ。ZEDDもいいけど、こういうセンスの良い古典を聴くのもシャレオツではないかね?
(文・ROCKinNET.com編集部よっしー)
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