映画レビュー

『イコライザー2』根底にあるのは水戸黄門のような勧善懲悪だからこそ観てて爽快!

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正義の貫徹というド直球な設定が気持ち良く、前作では理不尽な悪に虐げられてきた一般庶民を助ける、いわば「水戸黄門」や「必殺仕事人」などの日本の時代劇にも通じる根底的な正義感が揺さぶられるハードボイルド系の傑作であった。
今回も偶然タクシーに乗せた女性の容態に違和感を感じたデンゼルは、女性と一緒にいた、いかにも御曹司でヤンチャして女にクスリやらせ暴行しました的なガキを次々にぶちのめす。この様が最高だ。やはり、このシリーズはこういう分かり易い勧善懲悪を見せてくれないと物足りない。
しかし、続編である以上、前作と全く同じことをしてても意味はない。今回はより主人公の人間性や過去に迫った非常に興味深くなっていた。

同じアパートに住む芸術大学に通う黒人青年(どっかで見た顔だなと思いつつ『ムーンライト』で主人公の青年期を演じたアシュトン・サンダースだと気付くのは鑑賞後だった)の素行を正すといった父性が垣間見れたり、ユダヤの大迫害を生き延びた老人の思い出話に真摯な顔で聞き耽る。本当に真面目な人なんだなというのが分かる。そのキャラがデンゼル・ワシントンの姿によく似合う。本作と同じアントワーン・フークア監督作『トレーニング・デイ』で汚職警官というクソ野郎を演じさせた罪滅ぼしかのように(笑)人が正しく生きる指標のような人物像である。己の信念が絶対に正義だと定義付けることは人間である限り難しい。けど、この主人公は揺るがない。デンゼルが演じてきた役の中でもとびきり好感度も高い。


また、孤独なヒーローであった前作のイメージを払拭するように、元CIAの仲間が出てくる。その上官が何者かに襲われる。主人公は犯人捜しをするが、行き着いたのは意外にも、かつての同僚だった。その同門同士の戦いの描写が見事だった。嵐が吹き荒れる街中で、視界も水飛沫で霧がかって遮られる中の決闘は意外にもBGMは極力抑えられていた。緊迫感が漂う。2001年の『スターリン・グラード』も物静かな中での決闘で本当にドキドキしたが、あの感じを思い出す。相手は、前作のような単なるチンピラではない。だからこそ、主人公も苦戦し、そう簡単には事は進まない。アクションシーンもパワーアップしていた。

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デンゼルも加齢を重ね体型が少しふくよかになったように見えた。既に御年64歳だという。ドゥウェイン・ジョンソンじゃあるまいし、デンゼルってアクションの似合う俳優とも言い切れない。それでも無敵。霧の中に消えては必ず相手を仕留める様は、例えば、最近の大袈裟なVFX仕様のアクション映画とは異なる。しかし、前作の工具店同様に、その場にある道具を巧みに使いながら敵を倒していく様が、主人公の知性と戦闘戦士だったCIA時代の狂気という相反するものが入り混じってゾクゾクするし、何よりも格好良い。
デンゼルとフークア監督は4作目の共演になり、デンゼルが続編に出るのも今回が初めてだという。それだけ、思い入れの強いキャラクターなのかも知れない。是非とも、時代が移り替わっても、老いたスーパーヒーローとして、普遍的な正義を振りかざしてほしい。続編に期待する。

(文・ROCKinNET.com編集部)
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