映画レビュー

『デス・ウィッシュ』ヘイヘイドクター!ヘイドクター!ブルース・ウィルス外科医に見えない!

(C) 2018 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.


本当にメスよりも銃の方が断然似合う男だ。
逆にブルース・ウイルスという俳優は、医者役を、銃ぶっぱなす以外の演技も出来るのだと思ったのが斬新な発見だったかな(笑)
この映画で面白いのは、銃に慣れないがゆえに発砲時に手を負傷するブルースの珍しい姿が見れること。外科医から銃の扱いがだんだんと上達していくヒーローになっていく様が実にかっこいい。

二画面で、片方が、手術しながら人命を救っていく外科医としての姿と、もう片方が犯人の命を奪うための銃を組み立てていくアンチ・ヒーローとしての様が並行して流れるシュールさも趣味の悪い面白みがあった。
パーカーのフードを被るだけという軽装過ぎる変身も用心深くないと思いつつも、どっかで見たことあるなと思い返せば、M・ナイト・シャマラン監督の『アンブレイカブル』まんまだった。
R-15指定なだけはある暴力描写には辟易とするが、もはやブルース怒らせたら半端ないことになるのは、皆が分かっているので「ほら言わんこっちゃない」と全世界で言っていることだろう。同時に、そんなブルースの姿を世界中が待っていた。久々の大スターのアクション姿に痺れる。


74年のチャールズ・ブロンソン主演作「狼よさらば」のリメイクだと知ったのは鑑賞後だった。オリジナルは観ていないが、西部劇で銃をぶっ放してきたブロンソン氏の姿も、ブルースが『ダイハード』を始めとする様々なアクション映画で銃をぶっ放してきた姿も、脈々と受け継がれる、自警精神と銃社会など、アメリカのPOWERの象徴を「是」とする考え方だ。
基本的にはアメリカの銃社会には問題提起をしたい考えでいるが、その是非なんか問うてたら映画なんか観てられない。主人公の自警行為は正義か否かということが劇中でも激論されるが、『ダーティ・ハリー』にせよ「24」にせよ、アメリカの映画やドラマの大半が、そういうグレーな正義で成り立っている。同時期に公開中のデンゼル・ワシントン主演の『イコライザー2』然り、正義貫徹のための暴力は肯定されている。暴力の連鎖、報復の是非とか、延々に応えの出ない問い地獄にハマるが、ブルースの映画を観れば、悪に鉄槌を下す力はあって然りだと確固として思えてくるのだから、この人のカリスマ性は凄い!
談話で解決できるなんて綺麗事は言ってられないという現実をアメリカは映画を通して徹底して描き続ける。問答無用に悪者を銃撃するブルース・ウィルスの姿が最高だった!

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

[PR]

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 「時代遅れのRock’nRoll Band」を聴く
  2. パリピが日常悩んでる嫌なことって何?ストレス溜めない極意がULTRA JAPAN…
  3. 【全曲レビュー】桑田佳祐の最新作『がらくた』が凄過ぎた!大衆音楽ここに極まり!
  4. ポール東京ドーム初日を観た!
  5. 実写化史上最も成功していると言って過言でない『美女と野獣』に感動する

関連記事

  1. 映画レビュー

    キュウレンジャーは読売巨人軍だと思った『宇宙戦隊キュウレンジャーTHE MOVIE ゲース・インダベ…

    この夏はハリウッドがスーパー戦隊を本域で映画化した『パワーレンジャ…

  2. 映画レビュー

    第10回 独断で選ぶ今年良かった映画 TOP10 2018

    早いもので今年も残り3日!今年はインディーズ作品『カメラを止めるな…

  3. 映画レビュー

    勝手に選ぶ今年良かった映画TOP10 2017大発表!

    今年は本当に多くの映画を観た。劇場鑑賞数68作品というのは人生…

  4. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】ナイスガイズ!

    今年度の賞レースを独占している『ラ・ラ・ランド』で主演を務めた…

  5. 映画レビュー

    マーベル史上最高傑作更新!『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ 』が面白すぎる!

    最近のコミックヒーローは大変だ。単純に悪者を倒して、めでた…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. ライブレポート

    ROCK IN JAPAN 2018 4日目(2018/08/12)ライブレポー…
  2. 映画

    何故「バルス現象」は起きるのか?その理由は日本特有の国民性と風土にあった!
  3. 邦楽

    月曜から夜遊びでマツコから「非イケメン宣言」受けたMy Hair is Bad椎…
  4. ハリウッド

    【YOUTUBE誕生のきっかけ】来年2018年のハーフタイムショーはジャスティン…
  5. ライブレポート

    SUMMER SONIC 2017 東京会場1日目ライヴレポート
PAGE TOP