映画レビュー

実写版『ダンボ』大衆娯楽施設が悪者って・・・よく許可が降りたなと思う

(C) 2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved

耳が大きいという外見的なハンディを負った小象は正しく『シザーハンズ』などで描かれてきた異質者であり、多くの作品で異質者や弱者にスポットライトを当ててきたバートン監督ならではの実写版になっていたことに賞賛を贈りたい。『ダンボ』こそバートン映画の根源的なテーマ性を持った話であると改めて感じた。同時にダイバーシティが叫ばれる現代において、これほど時代性にマッチした話もない。


オリジナルのアニメ版では動物の視点で物語は進んでいたが、実写版は人間視点で物語が進む。オリジナルで描かれた耳が大きいことの克服とハンディを逆手に取って空を飛んで人気者に成り上がるエピソードは、最初の30分程度でまとめらる。それ以降は、バートン監督独自の話が展開される。
世界的ヒットとなった『美女と野獣』はオリジナルに忠実だったことで異論も出なかったが、実はディズニーの実写化は大半が原作とは異なった話になっている。悪者であるはずの『マレフィセント』に母性を持たせるとか。この『ダンボ』も然りで、人気者になったダンボを大衆娯楽としての見世物にしようと、マイケル・キートンが暗躍し、物語は綺麗事なファンタジーでは語り尽くされない、意表突いた展開を見せる。
このようなオリジナルの解釈を加えることは冒険でもあるが、時には物語に深みを与えたり、何十年も昔のアニメを現代に通じるように脚色させるために必要に感じる。


ダンボを大衆娯楽化させるためにサーカスは買収され、団員たちは巨大な娯楽施設に招かれるも、経費削減であっさり裏切られてしまう。こんなこと言ったら怒ら得れるかも知れないが、キャストが非正規雇用で成り立っている本家テーマパークを皮肉ってるように思えて面白い。バートンが意図してるとは思えないが、大衆娯楽施設がヴィランになっていることを、よく本家は許可したなと感じた。


最後にダンボ母子は解放されるわけだが、故郷が山奥の象の群れというのは些か夢が無いなと感じてしまった。いや、ダンボは耳が大きいだけで立派な象に変わりないんだけど、果たして大自然に帰ることが母子にとって本当の望みだったのかな? 人間側の善意の押し付けにも感じたし、サーカスで一緒に皆で楽しく過ごしましたで良かったんじゃ?

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

[PR]



 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 【フジから若者が消えた?】フェスの“聖地”フジロックが中高年化している問題。若者…
  2. 『君の名は。』のハリウッド実写化が失敗すると断言したい理由
  3. 【速報ライヴレポ】ハリー・スタイルズ初ソロ来日公演を間近で観た!彼こそ時代の寵児…
  4. UVERworldの男祭り遂に東京ドーム実現!でも女性CREWからブーイング?
  5. 安室奈美恵の引退ツアーを観る!世界中の賛美を彼女に贈りたい!

関連記事

  1. 映画レビュー

    『IT/イット “それ”が見えたら終わり。』久々の娯楽ホラーの成功作!

    北米で社会現象級の大ヒットを記録!アメリカでは社会現象級のヒッ…

  2. 映画レビュー

    OASIS日本ラスト公演「FUJIROCK’09」を映画館で観る!

    フェスにおける生の現場に比例する臨場感のある音響。月並みな表現にな…

  3. 映画レビュー

    【音楽だけ】MVのような薄っぺらい映画『グレイテスト・ショーマン』なんかで感動してる場合じゃない

    薄っぺらい映画だった。こういうのを観て「夢を追うことの大切さを学ん…

  4. アカデミー賞

    【映画鑑賞日記】セッション

    (C) 2013 WHIPLASH, LLC All Rights R…

  5. 映画レビュー

    『ハンターキラー 潜航せよ』もはや映画で米露が争う時代は過ぎた

    ロシアとアメリカの軍潜水艦が爆撃される事件が発生と聞けば「20…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. 邦楽

    第10回 独断で選ぶ素晴らしい邦楽たちTOP10 2018
  2. ライブレポート

    ELLEGARDEN復活ライヴを観る!10年の活動休止の先にあった変わらない尊さ…
  3. 映画レビュー

    勝手に選ぶ今年良かった映画TOP10 2017大発表!
  4. 映画レビュー

    『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』の功績は神話をオリジナリティをもって進展させ…
  5. 邦楽

    KEYTALKの八木氏はナゼ愛されるのか?その無敵な愛嬌の謎と八木氏のドラムテク…
PAGE TOP