映画レビュー

愛され系映画キャラの理想形『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』

© Universal Studios.


今回はシリーズ中でも最も笑えると思うくらい、下ネタ、社会風刺、毒舌やウィットに富んだギャグなど、緻密に練られたシナリオが素晴らしく、劇場内は老夫婦や女性のグループが多かったのですが、皆して声に出して笑っていました。その面白さはラブコメの域をとうに超えた、コメディ映画級のギャグ密度とクオリティで、笑いっぱなし。

そのくらい、底抜けに明るいコメディ映画でもあり、ブリジットに対する親しみの感情は10年以上も世界中の観客が育んできたものですから、映画を観たというよりも、彼女への相当の慈恵心と愛情を持って、旧友を温かく見守っていた感じがしました。
この映画が支持される最大の理由はブリジットが「限りなく現実社会の女性の等身大の姿」にあると思いますが、その好感度が持てる姿は今作でも健在で、映画のキャラが持つ愛嬌と共感性が、国や宗教や思想が全くことなる世界各国で、ここまで広く浸透するものかという存在がブリジット・ジョーンズなんだと改めて思いました。

三谷幸喜や工藤官九郎など、日本のコメディ映画は、漫才やコントの文化が根付いているのもあると思うのですが、現実から有り得ない方向に向かっていくものです。非日常の再現ですね。けど、そもそも、欧米っていうのは、アメリカの人気ドラマ「フレンズ」等のシットコムにも表れているように、一般人のありふれた日常の一部を切り取って、その中にある普遍的な面白さや奇妙さに焦点を当ててるものが多い。そういうものの面白みに敵うものはありません。

ブリジットの日記も日記帳からタブレットに変わってるのが時間の経過をしみじみと感じさせてくれます。と同時に、レニー・ゼルウィガーの容姿の劣化には驚きましたが、逆にアラフォーになったブリジット像を調度よく再現できてていいのかなとも思いました。彼女もオスカー女優(『コールドマウンテン』助演女優賞)ですし、主演女優賞には二年連続ノミネートされていた大女優なわけですから、やはり表舞台に出続けるということの重要さを感じましたね。一線で活躍し続ける役者って急な年の取り方はしませんもん。これを期に、またカンバックしてほしいものです。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. ポール東京ドーム初日を観た!
  2. ロック・イン・ジャパン2017 2日目ライヴレポート
  3. 第10回 独断で選ぶ素晴らしい邦楽たちTOP10 2018
  4. 【大混戦】#TimesUp運動の影響で本年度オスカー主演男優賞はティモシー・シャ…
  5. 遂にNYタイムズ誌まで?ガキ使の黒塗りメイク批判は行き過ぎだと思う理由!

関連記事

  1. 映画レビュー

    『検察側の罪人』ようやく見れた英雄以外の汚れたキムタク!

    この映画の最たる存在意義は、ジャニーズによる本格的な社会派であると…

  2. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】ゴースト・イン・ザ・シェル

    囲碁の名人が人工知能に負けたというニュースを見て、人類はこのま…

  3. 映画レビュー

    ジョディ・フォスター史上最高傑作だった『マネーモンスター』

    文句なしで今年のトップに入る娯楽作だと太鼓判を押し…

  4. 映画レビュー

    『マレフィセント2』異種を認め合う多様性時代を甘受するディズニーの鉄板映画

    続編もマレフィセントは母性溢れる良い人もはや『眠れぬ森の美女』…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. 音楽

    【徹底考察】ビルボード1位、米英人気過熱、国連演説・・・勢いが止まらないBTS(…
  2. 音楽

    遂に雪解けの予感?それでもオアシス再結成が無いと言い切れる理由とは!
  3. 映画レビュー

    果たして労働は悪なのか?『ちょっと今から仕事やめてくる』に見る現代社会の新価値観…
  4. 映画レビュー

    『茅ヶ崎物語 ~MY LITTLE HOMETOWN~』からサザンがエロスを歌う…
  5. 映画レビュー

    『ブラック・パンサー』を観た!社会風刺と娯楽性が融合したマーベルの新傑作が誕生し…
PAGE TOP