アカデミー賞

『ノマドランド』の勝利!史上最高に地味なオスカーで感じた違和感の数々…



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コロナ禍での開催となった第93回アカデミー賞授賞式。今年は三密回避のため、従来のドルビーシアターでなく、場所を変更して行われた。授賞式がはじまると、レジーナ・キングが登場し、オンエア中はマスクは外していいが喋ってはいけない、CM中はマスクを着用するように会場に注意喚起をする。感染対策も徹底された授賞式となった。

コロナ禍のオスカーは地味そのもの?

無理もない、いつものように豪華セレブ俳優たちが顔を並べることも無く、煌びやかなドレスやアクセサリーを彩るレッドカーペットも必要最低限に抑えられているのだから。印象的には、初期のオスカーが技術者を称えるだけの宴会だったと聞くが、そんな感じ。華麗なショーというよりも町内会の会合に近しい地味さだった。


『ノマドランド』の勝利とアジア女性の快挙

下馬評通り『ノマドランド』が重要な賞をかっさらっていった。格差が広がり社会問題化が深刻なアメリカにおいて、同作のような経済システムに懐疑的な視点や、資本主義の限界を暗示するような作品の評価は、ここ数年の傾向としてあるように思える。昨年の『パラサイト 半地下の家族』の受賞や、『ジョーカー』の最多ノミネート、『万引き家族』の評価など。
また、クロエ・ジャオがオスカーの歴史上で二番目となる女性の監督賞受賞、アジア系女性として初の受賞を成し遂げた意味は大きいと思う。そして、主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)の受賞。芸達者な彼女なら相応な評価だと思うものの、既に二度も主演女優賞を受賞している彼女である。しかも、前回はつい三年前の『スリー・ビルボード』だけに、既視感が半端ないし、『ノマドランド』の彼女の演技は、キャリアの中で、そこまで秀でたものでもない。
オスカー受賞は実力の他に、役どころや役者の話題性などが追い風となることがあることを考えれば、多様性を歌っている世相も考えると、十分な演技だったヴィオラ・デイビスや、歌手ながら熱演が光ったアンドラ・デイでも良かった気がする。しかし、オスカーは黒人に主演女優賞は意地でも与えない・・・・・・


主演男優で大波乱?けど、正しい判断だと思う

今回の授賞式は作品賞の発表が主演俳優賞よりも先に行われるという不思議な構成だった。おかしいなと思いながら、観ていたのだが、主演男優賞が最後になることが分かった瞬間に勘づいた。逝去したチャドウィックを追悼して感動の大団円をやりたいのだろうと。
しかし、蓋を開ければ『ファーザー』のアンソニー・ホプキンスの受賞。本人が欠席していたので、なおさら授賞式はサラッと終わった。『マ・レイニーのブラックボトム』でヒール役を演じたチャドウィックの鬼気迫る演技は、彼の集大成とも言うべきものだったに違いないが、それをも凌駕する(どころか、自身の代表的名演のレクター博士をも超越する)演技を見せたホプキンスの怪演こそ主演男優賞を取るに十分なものだった。むしろ、追悼票や同情票の茶番で終わるのは、チャドウィックも望まなかったと思うと、これで良かった気がする。

韓国俳優初受賞の『ミナリ』のユン・ヨジョン

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この日のスピーチで最も印象的だったのは『ミナリ』のユン・ヨジョンだろう。アジア系では日本人のナンシー梅木以来64年ぶりの受賞。韓国では初の快挙。壇上に上がった彼女は堂々としたもので、ブラピから名を呼ばれると「(ブラピがミナリの製作を務めていたが現場にいなかったので)撮影中どこにいたの、やっと会えて嬉しいわ」「ママが一生懸命に働いた結果がこれよ」と、ユーモアを交えてスピーチ。あくまで、自分はハリウッドの中心にいる俳優ではないという謙虚な姿勢も見せ「演技に優劣はないです、だって、私がグレン・クローズに敵うわけ無いでしょ」と世界的名優を称える一幕も。授賞式後のインタビューで、再びブラピと並んだ彼女は記者から「どんな香りがしますか?」と聞かれ「私は犬じゃないの」と答えるなど、キャリアのある大女優としての威厳も垣間見せた。


地味な式を最も盛り上げたのは意外にも大女優

とにかく、地味な授賞式で観てるのも苦行に近かったのだが、その一因としてあげられるのが、ノミネート紹介の時にVTRすら挟まなかったこともあると思う。ずっと会場の誰かも分からぬスタッフを映して面白いわけがない。しかも、スピーチ催促係のオーケストラもいないので、スタッフのダラダラ喋りが目立ったこと。これは長年のオスカーの改善点だったが、今回ばかりは悪い面が出てしまった。

そんな地味な式を唯一盛り上げたのが、大女優グレン・クローズだった。MCから会場のDJが流す楽曲がオスカーを受賞してるかクイズを、会場の俳優に質問するというコーナーで、1988年のヒット曲「Da Butt」を出題。MCは「高齢の彼女に分かるわけない」とギャグネタにしたら、グレンは「ちょっと待って、これはE.U.ってバンドの曲ね、他にもGOGOバンドはたくさんいて(と、同時代のバンド名を挙げ)、確かスパイク・リーが映画『スクール・デイズ』のために用意したの、私の記憶が確かなら受賞してるわ」と完封無きまで解説、MCが「まさかグレンがここまで詳しいとは」と唖然とし、「でも、踊れないだろ?」と挑発されると、グレンは立ち上がり、まさかの腰振りダンスを披露。会場から大歓声があがった。この日一番のハイライトは間違いなくグレン・クローズだと称えられた。

来年こそ、コロナが終息し、オスカーの光景も戻ることを願わずにいられない。

(文・ROCKinNET.com編集部)
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