映画レビュー

【映画レビュー】『ドクター・ドリトル』エディ版から壮大な冒険活劇にスケールアップ



『ドクター・ドリトル』© 2020 UNIVERSAL STUDIOS and PERFECT UNIVERSE INVESTMENT INC. All Rights Reserved.

エディ・マーフィー版ありきで物語は進められるので余計な説明は無し。動物の話すことが分かってアタフタするのも無し。その分、女王の病を治すための果実を求める旅に比重が置かれ、前作が現代劇でコメディの枠に収まっていたのが、さらにスケールアップされ、冒険活劇として十分に楽しめる素敵なファンタジー映画として昇華されていた。

また、本作では、動物たちにもスポットライトが当たっており、聡明なオウム、気弱なゴリラ、寒がりのシロクマ、皮肉屋なダチョウ、気性の荒いリスなど、各々のキャラが際立っており、動物たちを見るだけでも楽しい。それらを、エマ・トンプソン、トム・ホランド、ラミ・マレック、セレーナ・ゴメス、オクタヴィア・スペンサー、マリオン・コティヤール・・・・・・と、ハリウッドを代表する俳優達が声優を務める贅沢さが嬉しい。



アベンジャーズで映画史に名を残したロバート・ダウニー・Jr.がMCU卒業後に選び、製作総指揮まで務めた本作は計り知れない思い入れがあったに違いない。
ワールドプレミアで、ロバートは「原作も昔から読んでたし、エディ・マーフィーの映画も素晴らしい。新しい挑戦をするにピッタリだった」と意気込みを語ったが、ロバートを象徴する映画に相応しい爽快作に違いない。

『ドクター・ドリトル』© 2020 UNIVERSAL STUDIOS and PERFECT UNIVERSE INVESTMENT INC. All Rights Reserved.

猟師の家で育つも動物を傷付けることを厭う少年が、獣医のドリトルに憧れ、助手を名乗り出るも、危険だから辞めろと諭す場面は、まるでトニー・スタークとピーター・パーカーを彷彿とさせる。スタークも成金主義で世間に無関心な発言をしたり、ドリトルも妻を航海で亡くし世捨て人となるなど、どちらも浮世離れした大人。そんな両者が、自分の苦い経験を語り若者を諭す共通項があるのも偶然にしては出来過ぎている。もしかしたら、ロバートは、アメコミやファミリー映画に出演することで、若い世代に何か訴えたい、映画に教訓めいたものを残したいと思っているのではないか?(あくまで妄想ですけどね)
しかも、何故かこの人が言うと、自己犠牲的で説教臭くないところが良い。ロバート・ダウニー・Jr.の素敵なところでもある。かっこいいミドルって事なんだろう。



本来は春休み映画として大々的に上映されるはずだったのだろうけど、コロナ禍によって上映は延期されてしまった。けど、気分が落ち込む、この時期だからこそ、こういった老若男女が笑えて元気が出る映画って貴重でありがたいなと『ドクター・ドリトル』に改めて拍手を贈りたい。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。



◆関連記事◆




 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. ロッキンにサザン13年ぶりの降臨!昨年の桑田ソロに引き続きフェスに出る意味とは!…
  2. 2017年 勝手に選ぶベスト洋楽 TOP10
  3. 【ヒットの勝算はネット戦略にあり?】恐怖のピエロ映画『IT』が公開第三週で興収首…
  4. 実は失敗していたサザンの紅白!ユーミンとの奇跡の共演に助けられ拍手喝采!
  5. 『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』の功績は神話をオリジナリティをもって進展させ…

関連記事

  1. 映画レビュー

    シリーズのある種の頂点に達した『クリード 炎の宿敵』に胸が熱くなる!

    ロッキーが何故アカデミー賞に選ばれて映画史に燦然と輝く名作になった…

  2. 映画レビュー

    久々の韓国映画の成功例『新感染 ファイナル・エクスプレス』の勝算は単純さにあり

    99年の『シュリ』を皮切りに、文化としての成熟度の早さ、高さが凄ま…

  3. 映画レビュー

    ジョディ・フォスター史上最高傑作だった『マネーモンスター』

    文句なしで今年のトップに入る娯楽作だと太鼓判を押し…

  4. 映画レビュー

    【時間の無駄】スマホを落とす前に眠気に落ちそうな『スマホを落としただけなのに』

    映画を観に行っただけなのに時間を無駄にした。今や大半の現代人は…

人気の記事

[PR]
  1. ハリウッド

    2018年も大活躍間違いなし“次世代イケメン俳優”を青田刈り!
  2. ニュース

    【日米LGBT理解度格差】LADY GAGAが「ミス・ゲイ・アメリカ」選出!一方…
  3. ライブレポート

    COUNTDOWN JAPAN 1718 4日目ライヴレポート
  4. 日記

    パリピが日常悩んでる嫌なことって何?ストレス溜めない極意がULTRA JAPAN…
  5. 邦楽

    CDJ1819で大量発生した「あいみょん地蔵」で垣間見えた若いマナー違反客の現実…
PAGE TOP