映画レビュー

2012?アルマゲドン?ゼロ・グラビティ?多ジャンルごった煮ちゃんぽん鍋のような既視感映画『ジオストーム』

(C) 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., SKYDANCE PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC


エメリッヒの自然災害映画に、『アルマゲドン』的ヒロイズムと、『ゼロ・グラビティ』のような宇宙パニックと、「24-TWENTY FOUR-」のアクションを、ごちゃ混ぜにした、ごった煮ちゃんぽん鍋のような、もう、何でもアリな映画だった。これを訳が分からないと評するのか、満腹感な贅沢品とするのかで、この手の映画に対する個人的な意見は分かれるだろうけど、これだけ、いろんなことをやっても、そのひとつひとつの描写が既視感ありあり(日本語主題歌を担当してるB’z同様パクリ的)で、新鮮味に欠けるというのも凄い。B’zの曲同様に印象に残らなそうな映画だった。

映画を観るには「脱思考」が肝心な時もある。僕のように、忙しない日常から離れたいがゆえに本作を選ぶって人も多いだろう。非日常的なディザスター描写は何故か恐怖ではなく、好奇の目で見れるし、要は娯楽要素なのだ。リオデジャネイロの海が凍っていって、逃げ惑う人々も凍るとか。巨大なヒョウが東京に落ちるとか。ドバイで超高層ビルが、大波にのまれるとか。香港で、落ちた卵が目玉焼きになるくらいアスファルトが熱持つとか。とにかく、世界中の大都市をフルボッコ! エメリッヒがやり尽くした感のある自然災害描写を、やりたい放題で、ハチャメチャに描き切る圧力に強引にでも納得させられる。この“ハチャメチャ感”こそ、この映画の最大の持ち味だ。

しかも、その異常気象の原因が“ダッチボーイ”という、ワイフじゃなくて良かったなという世界の気象を制御する宇宙ステーションの異状によるというから、ぶっ飛んでる。自然が相手ではなく、人工物なのだ。だから、宇宙に行って修理をしなければいけなくなる。大統領なんかが相談する訳だが、その大役を任されたのが、主人公ジェラルド・バトラーと聞いて唖然とする。どうあがいても科学者に見えない(笑)

dヒッツ

しかし、彼でないといけない理由が、後に、きちんと描かれる。いわば、宇宙で格闘するくらいの科学者だからというのもあるが、ある理由から、ダッチボーイを破壊する際には、誰か一人がステーションに残らなければならn・・・・・・以下、敢えて省略。ブルース・ウイルス的な英雄像を描きたいベタ~な展開には辟易としたが。ジェラルドの目指す方向性としては正しい起用だ。主人公の弟役のジム・スタージェス(イケメン売り)だって、無意味にベッドシーン入れてるので、各々の俳優の持ち味は活かされていたのかなと思う。

※注意※
多少ネタバレになるので、これ以下は未鑑賞の方は読まないで下さい。

そして、このダッチボーイの故障には、ある陰謀が隠されていることが判明することも、ミステリーとしての娯楽性を高めている。しかも、犯人はホワイトハウス内にいるという、ポリティカル・サスペンスに急展開する。気付けば、ド派手なカーチェイスや、銃声が鳴りやまない「24-TWENTY FOUR-」のようになってしまう。しかし、容疑者である大統領、アンディ・ガルシアが民主党ということ、その側近エド・ハリス(真犯人)も民主党員なのは、共和党下の現状に媚びたのだろうか? あ、こんなことを言ってはいけない、脱思考しなければいけないんだった(笑)

好き勝手、地球を壊した割にはあっけなく英雄万歳で終わる無責任さも、旧来通りの災害映画としてはお決まりで素直だとしとこう。逆に、頭を空っぽにすることが、こんなに疲れるのかと思うほどに要素満載で、結局何だったの? という気持ちで劇場を後にした。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。



 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 『ブラック・パンサー』を観た!社会風刺と娯楽性が融合したマーベルの新傑作が誕生し…
  2. 遂にNYタイムズ誌まで?ガキ使の黒塗りメイク批判は行き過ぎだと思う理由!
  3. アリアナ慈善LIVE「One Love Manchester」を観て感じたこと
  4. 半漁人の勝利!90回目のオスカー発表!
  5. アナタが行くヤツ、それ本当にフェス?フジロックが世界の最重要フェス3位に選出!

関連記事

  1. 映画レビュー

    実写版『アラジン』賞賛する言葉が多過ぎて的確な表現探すのが大変なほど名作!

    この映画を賞賛したい言葉が多過ぎて的確な表現を見つけるのに大変…

  2. 映画レビュー

    先進国ニッポンの歪みを見事にえぐった今観るべき傑作『万引き家族』

    是枝監督作品は優しさに満ち溢れている。絆や愛情とは何かという根本テ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

  1. 邦楽

    第10回 独断で選ぶ素晴らしい邦楽たちTOP10 2018
  2. 映画レビュー

    実写化史上最も成功していると言って過言でない『美女と野獣』に感動する
  3. 映画

    ピーター死亡?アベンジャーズと違う?話題の映画『スパイダーマン:スパイダーバース…
  4. 邦楽

    KEYTALKの八木氏はナゼ愛されるのか?その無敵な愛嬌の謎と八木氏のドラムテク…
  5. ハリウッド

    【実は悪事を働いていない?】『美女と野獣』の悪役ガストンから読み解く、強さを求め…
PAGE TOP