映画レビュー

マーベルの二番煎じとは言わせない!『ジャスティス・リーグ』世界中がこういうDC映画を待っていた!

(C) 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC


何でコレを最初から出来なかったのかと問いたくなった。これまでの『マン・オブ・スティール』『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』等と、軒並みに公開作が不調だったDCが名誉挽回できたと断言できるほど面白い! ザック監督の降板がここまで影響するのかと思うほど、作品に娯楽性が新たに加えられている。しかも、途中起用した監督が、マーベルの『アベンジャーズ』を手掛けたジョス・ウェドンというのも、何とも皮肉である。(ただ、DC映画のフランチャイズ化に貢献したザック・スナイダーの労を讃えるとしたら、DC本来の空気感を見事に反映させたことであろう。)

しかし、DC映画は度々「暗い」と批判される。これはマーベルとの対比なのだろうが、いや、実際に暗いのは認めるが、もともとゴッサム・シティーは閉塞感に充満しているではないか。ザック監督のアプローチは決して間違えていなかった。ただ、彼の作品は、話の筋がとっ散らかってることや、無駄に長いこと、暗いというよりも辛気臭いことが頂けなかったし、万人受けでは無かった。個人的にも好きとは言い難い映画が多い。
ノーラン監督の「ダークナイト三部作」が予想以上の高評価とヒットを記録したことで、紆余曲折があり、公開時期が遅かったがゆえにマーベルの『アベンジャーズ』の二番煎じとか真似事と言われてしまう気の毒な本作だが、プロジェクトは10年前から動いていた。マーベルの『アイアンマン』第一作目(2008年)よりも早いのだ。まして、ジャスティス・リーグのTVアニメの放送は2002年なので、コンテンツ歴はMCUよりも相当歴史が長い。決して二番煎じではないのだ。むしろ、MCUの方が二番煎じに値するが、どっちが先でも後でもいい。DCの名誉のためにも言及しておきたかっただけ。

で、肝心の内容だが、これが、もう最高のひと言に尽きる! 前作でスーパーマンが息を引き取ったとされる中、街は暗澹たる雰囲気を醸し出していたが、映画が始まった早々に怪物登場。ここが偉い! ザック監督なら怪物出てくるまで30分はダラダラやってたに違いない。
そこから、怪物の親分が出てくる→仲間が必要だ→バットマンが探しに行き・・・・・・と、テンポの良さは、ここ数年のDC映画に無いもので、悠々自適で快適。これだけでも安心する。
今回は新規メンバーに、フラッシュ、アクアマン、サイボーグの三人が追加。バットマンの戦闘機の扉が開いて、これらのヒーローが一堂に集結し肩を並べているカットが観れた時の高揚感ったらない。そこがカッコ良かっただけでも十分に成功してる映画と言えよう!!

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それに加えて、マーベルとの決定的な差でもあるが、各々のキャラが未だに完成されていない。単独映画が未公開のヒーローが多いからだ。そのためか、主要キャラ(バットマンやワンダーウーマン)よりも一歩引いてる印象を受け、我が我がというアクの強さが無く、素直にチームとして成立している潔さが良い。

出典:ens-newswire.com
Photo © Lauren Nolting courtesy Greenpeace


緊張感漂う中で、フラッシュの三枚目感もナイスだ。DC映画で緩和を取り入れたのは画期的だった。この作品は、フラッシュの存在感だけでも救われている。愛嬌勝ちといったところか。エズラの人気が急上昇していることにも納得できる。特に、バットマンに「あなたの能力は何?」と尋ね、バットマンが「I’m rich」と答えるシーンが好きだ。ただ、フラッシュが高速で走ってる描写に関しては、ドラマ版の方が優れていたように感じる。


それと、フラッシュがスラム街の薄汚い廃屋に住んでるとか(スターラボはどうした? 義父はどうした?)、バットマンの執事アルフレッドがカジュアル過ぎるとか、少し脚色が過ぎるなと思う点は残る。


個人的には、グリーン・アローも観たかった。フラッシュ同様に、既にドラマで散々見ているので、親近感は半端ない。今後のフランチャイズ拡大要員だろうけど。


そして、何よりもスーパーマンが最強なんだなということ。ディズニーでいう絶対の主役がミッキーであるように、DCではスーパーマンが絶対なんだなという描写には制作者の往年のヒーローに対する敬意が感じられて良かった。突出して強過ぎる。これなら、彼単独でも何とか出来たんじゃないかって思えるほどだ。
また、バットマンが戦闘車で滑走してる時に、往年のテーマ曲(89年のティム・バートン監督作品で制作された原点とも言うべき曲)が流れたのも嬉しかった。なんか、ようやくファンを喜ばせるDC映画が誕生したなと喜びを隠せない。今後、どう展開していくか。もう、コケるのだけは勘弁!

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

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