邦楽

同性代が感じる嵐の活動休止に対する共感

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嵐が2020年末を以て活動休止することが発表された。
ファンの悲鳴が列島中から聞こえてきそうな勢いでニュースが巡っている。
大相撲初場所の千秋楽中にニュース速報が流れた、嵐はそういう存在なのだ。

大野だけが抜けるか?活動休止するか?

休止まで約2年という長期間残っているタイミングでの発表である。早過ぎる気もするし違和感も残る。もちろん東京五輪を区切りとしていることは想像に易い。それまでの活動として希少価値を高める戦略的な意図も垣間見える。SMAPで出来なかった解散商法ができる。この2年で莫大なお金が動くと予想できる。テレビやラジオ番組、CMの契約周りの問題もあろう。嵐という名で経済が動いている、売れっ子が身を引くと言うのは、そんな単純なことでは済まない。2017年に既に大野から提案があったとされていることは公言されているが、本当に嫌で辞めたければ、渋谷すばるの如くとっくに辞めているだろう。それに至らせなかった事務所の苦渋の譲歩が2年の猶予だったと思う。

やはりSMAPの解散が事務所に対する不信感を募らせた

ここ数年40年近く芸能界の絶対的存在として君臨してきたジャニーズ事務所の立ち位置は揺らいでいるように思える。その最たる要因は、SMAPの解散に他ならない。思い返せば、この解散はジャニーズ事務所副社長のメリー喜多川による一方的な、SMAPのチーフマネージャーである飯島への事実上の解雇宣告が原因だった。そのインタビューは文春に全て書かれていたが、メリー喜多川は「SMAPは嵐のように踊れない」という批判をし、自身の娘(藤島ジュリー景子)が深く運営に関わる嵐を引き合いに出した。この件で、嵐はジャニーズ権力側というイメージが刷り込まれていく。しかし、そこにタレントの意思は無い。ただ、婆連中が勝手に喧嘩してただけの話。もしかしたら、この権力争いの末の事務所を挙げての嵐に対する大プッシュに大野は辟易としたのかも知れない。もちろん、あくまで想像の範疇でしかないが、SMAP解散は2016年夏のであった。大野が事務所に自身の活動休止を求めたのは、それから1年も経過していない頃。世間からジャニーズ事務所への風当たりが最も強まった頃の話である。そのことからも、今回の休止発表会見で「自由な生活を」と言った大野に、相応のプレッシャーと事務所への懐疑的な想いが芽生えていたのは想像に難くない。

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嵐も働き盛りなアラフォー世代だけど・・・・・・

彼らは2019年現在で30代半ばから後半に差し掛かる。現役世代真っ只中。働き盛りと言われる一方で、何か新しいものを求めたくなる頃でもある。何の秀でた才能もない自分と国民的アイドルの嵐を同列に捉えようという気は全くないが、約20年間同じ仕事をしていると飽きてきて当然だし、将来の不安も常に抱えながらも、最後の方向転換と思われる年齢だけに無茶したくもなる気持ち、彼らと同世代の男性として言わせて頂ければ、既存の人生のレールから外れてみたくなる気持ちも分からなくもない。男なら自分の力量を試したいと独立したいと野心に燃えるかも知れないけど、若い時に時代に翻弄され、もがき走ってきた我々世代は、自分らしさの追求だったり、少し休みたいと思うほうが共感は大きい。40歳そこそこで何を甘っちょろいことをと先代たちに怒られるかもしれないが、我々のような嵐と同世代にとって、ここまで来ることは決して順風満帆だったとも言い難いものがあるのだ。

嵐世代が生きた時代の見え方とは?

物心付いた頃は既に世の中はバブル、浮かれる大人たちをよそに我々の視線の先にはファミコンとビックリマンシールしかなかった。経済のことなど分からぬ年齢の内にそれは崩壊し、不景気という言葉が日常会話に溢れた。思春期には少年犯罪が多発し「キレる若者」と総体的に異物のようにマスコミに取り上げられる。20歳前後で21世紀を迎えるも、長らく就職難の余波に苦しみ、正規雇用制度も崩壊する。そんな中、嵐は《今日もテレビで言っちゃってる/悲惨な時代だって言っちゃってる/ボクらはいつも探してる/でっかい愛とか希望探してる》と世に出てきた。今思えば、ロスト・ジェネレーションと呼ばれる我々世代の心情を、この上ない的得た言葉で表現してくれていたと思う。混沌とする時代に自力以上に社会的な要因で翻弄される悲惨な時代、それでも何十社と就職面接に向かい藁をも掴む思いで会社に入り「でっかい愛とか希望」を探してきた。自力でもがいてきた世代だからこそ、少し休みたくなる気持ち、今回の活動休止に対して、分からなくもないと思えてしまった。ファンには怒られるかも知れないが。

タッキー以外と揶揄されていた嵐

我々の世代のジャニーズと言えば、滝沢秀明という有無を言わさぬスーパー・アイドルがいた。次は絶対に滝沢秀明を筆頭とするグループがデビューすると思っていた矢先の新ユニットはジュニアの中でもまあまあな知名度の5人だった。ハワイの海に浮かぶ船上に並んでの記者会見が懐かしい。しかし、当時の同世代の中高校生からは「タッキー以外」と揶揄されることもあったが、デビュー曲「A・RA・SHI」はミリオンヒットになった。その理由を20年経って今更考えれば、嵐は世代の代弁者だったに他ならなかったからだと感じる。ここまでおおっぴろげに「愛や希望を探せ」「嵐を巻き起こせ」と時代にエールを贈るアイドルなんて、当時他にはいなかった。どこか自然と背中を押されていたのかも知れない。

活動休止後こそ嵐の個々の才能が開花するタイミングでは?

2年なんて経過すればあっという間だろう。その中で嵐は何を残していくのかにも注目したいが、個人的にはその後の嵐個人の活躍も楽しみだったりする。芸術的な分野で活躍する大野、報道キャスターとして開花した櫻井、万人受けする相葉のタレント性、演技の才能に秀でた二宮、王道的ないい男像を貫く松本。グループを離れた後、彼らが40歳を迎える頃、そんな個々の才能がどう花開くのかが楽しみである。

アイドル人気が停滞や終焉を迎えるのは早い。けど、今回の嵐の活動休止は将来を見据えてのポジティヴなものである。悲惨な時代を生き抜いて、世代なりの逆転劇を同世代に提示し続ける嵐のメンバーの、数年先ではなく、何十年先が楽しみになった。今回の休止が嵐という存在をひと際、長いスパンで輝かせる気がしてならない。
活動再開する時期は誰にも分からないが「解散では無い」と明言していた以上は再開の日が訪れる。お互いに中年になっているだろう。けど、その頃には若かりし頃に探していた「でっかい愛とか希望」を見つけて、見つけられてなくても探し求め続けるような、輝いた大人になって会おう、そう思った。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

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