映画レビュー

完璧な前作で終わるべきだった残念続編『トイ・ストーリー4』を辛口批評!

© Disney/PIXAR

完璧なラストだった前作に泥を塗る駄作?

第一作目はアニメ界の革命だった

世界的に愛されるシリーズの最新作。
しかも、あれだけ完璧な締め括りをした続編であるからには相当のアイディアで勝負を仕掛けてくると思ったが、見事に裏切られる。95年の第1作目は世界初のフルCGアニメとして映画史に残る傑作であり革命でもあった。CGで長編アニメを作る前代未聞の挑戦は、完成までに想像以上の苦悩と労力を要したようだ。しかし、完成物はCGで長編アニメ映画を作っただけに留まり、肝心のストーリーが面白くないと気付き、大幅に修正をしたことを、ジョン・ラセターが発言していたのが印象的だった。そこまで徹底したイズムをなぜ本続編は引き継げなかったか?

本作の最もしてはいけないミスとは?

何よりバズ・ライトイヤーをはじめとするお馴染みの面々が完全に脇役以下の付属品扱いなのが致命的。長期にわたって愛着のあるキャラたちの雑な扱いにはガッカリした。その代わりに今回スポットを浴びる新キャラが、使い捨て先割れスプーンで作られたフォーキーで、彼は自分がゴミであると信じ込むため、何かとウディに世話を焼かせる様の連続が正直イラつく。どことなく『ファントム・メナス』のジャージャー・ビンクスを観た時の苛立ちに似ている気がした。魅力を感じないのに話の中枢を担うキャラを通じて感じる制作サイドとの温度差。

[PR]


そのフォーキーを救う過程で骨董玩具屋に迷い込んだ際に、気味の悪い腹話術人形たちに襲われるというサスペンス的風味が増し、今までになかったトイストーリー像を提示してくれたことで、高い娯楽性もkeepできていると思われる。
しかし、やはり方向性には疑問を感じずにはいられない。

ウディの正義は正義とは言えない!

この腹話術人形たちを手下に操るギャビーギャビーという女の子の人形は(ウディの背中にもある紐を引っ張った時に出る)音声機能が壊れていた。だからウディの音声機能を奪おうとするサイコパスな悪者だけに共感は出来ない。しかし、結果、ウディは人質に取られたフォーキーと引き換えに、彼女に音声機能を渡してしまう。ただ、それは正しく偽善的であり、自己犠牲やヒロイズムではないと思う。何も献身してない。生存中の臓器移植ほどの馬鹿げた行為のような気がする。

仲間や絆がテーマだったはずのシリーズで簡単に仲間を捨てる主人公

同時に「俺のブーツにはガラガラヘビ」や「あんたは俺の相棒だぜ!」といったウディの象徴である音声を明け渡すことは、ウディがアイデンティティや相棒をも捨てたことを暗に表してるようにも思える。彼はアンディやバズと何を培ってきたのか? 現にウディは仲間から離れ、恋仲?のボーと行動を共にする決意をする。ウディにとっての仲間とは、そんなもんだったのか。このシリーズの根本的テーマである「絆」は、そんな薄情だったのか。主題歌「君はともだち」で《俺がついてるぜ(中略)思い出せよ ともだちを/君のすぐそばに/いつも俺がいる》という歌詞すら胡散臭く聴こえてくる。

[PR]


玩具は玩具として子供のために尽くすという確固たる信念を、たかが玩具が十年以上も持ち続けたことに感動を覚えたのに、典型的な色褪せた恋愛成就に落ち着くんじゃ後味悪い。あれだけ前作『3』で完璧な締めをして、わざわざ駄作で蘇らせ世界中のファンを失望させた罪は重い。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

[PR]




[PR]

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 実写化史上最も成功していると言って過言でない『美女と野獣』に感動する
  2. 【速報レポ】My Hair is Badの初武道館公演を観る!椎木が提示した正し…
  3. ポール東京ドーム初日を観た!
  4. 『君の名は。』遂に北米公開で絶賛の嵐!
  5. 【速報ライヴレポ】ハリー・スタイルズ初ソロ来日公演を間近で観た!彼こそ時代の寵児…

関連記事

  1. 映画レビュー

    【映画レビュー】『チャーリーズ・エンジェル』MeToo主張が強すぎだったのかも?

    2000年のキャメロン・ディアス版も言うほど大した映画かな~と…

  2. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】SCOOP!

    この国のジャーナリズムとは何か?それを『モテキ』や…

  3. 映画レビュー

    久々の韓国映画の成功例『新感染 ファイナル・エクスプレス』の勝算は単純さにあり

    99年の『シュリ』を皮切りに、文化としての成熟度の早さ、高さが凄ま…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. 映画レビュー

    『娼年』の実写化で性に真剣に向き合った監督と、素っ裸で腰振りまくった松坂桃李に敬…
  2. ライブレポート

    ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017 3日目ライヴレポート
  3. ライブレポート

    13年ぶりロッキンに出演したサザンが凄かった!ROCK IN JAPAN史上最大…
  4. ハリウッド

    世界各国で記録的ヒットの『ブラック・パンサー』は何故ここまでの現象になったかを勝…
  5. ライブレポート

    ROCK IN JAPAN 2018 4日目(2018/08/12)ライブレポー…
PAGE TOP