映画レビュー

『マレフィセント2』異種を認め合う多様性時代を甘受するディズニーの鉄板映画

(C) 2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

続編もマレフィセントは母性溢れる良い人

もはや『眠れぬ森の美女』の原型は跡形も無いくらいに、何をやってるの?感がますます酷く?なっていた。注目すべきは、やはりマレフィセントの立ち位置である。元々はディズニー屈指のヴィランである彼女が、前作で“まさか”の良い人で終わるという意表突いたオチで世界中を驚かせた。

アンジーの母性本能の主張が本作では大柱!

これも、養子をどんどん引き受けるほど、母親としてありたい意識の強いアンジェリーナ・ジョリーらしい展開だなと思ったものだが(まさか、その内の一人が原因で旦那ブラピと離婚することになるとは思っていなかっただろうが)、母性の描写こそ、このシリーズでは何よりも重要視されることは明白だろう。本作でもマレフィセントは、あくまで正義。

アンジーvsミシェルの大物女優対決が最大の見所!


今回は娘が隣国の王子と結婚するとなって一悶着。人間を嫌うマレフィセント母ちゃんと、妖精を嫌う王子側の母ちゃん同志が合うわけがない。『女王陛下のお気に入り』顔負けの女優同士のバチバチが何とも言えない面白さを与えている(大物女優同士の喧嘩シーンって、なんだかワクワクしませんか?笑)初の食事会でも泥沼化。王子側の母ちゃん(姑)の先制攻撃にマレフィセントがブチ切れて、見事な両家の顔合わせ失敗例。

けど、実は、その裏には、王子側の母ちゃんの陰謀が隠されているわけだが、その母ちゃん役のミシェル・ファイファー姐さんの大暴走っぷりがたまらなく良い! 『オリエント急行殺人事件』でも、あれだけのスターが揃って最後に全部掻っさらっていくんだから姐さんは凄い。今回も、アンジーの存在感を完全に食っていた。

勧善懲悪こそディズニーの基本だと再確認する

思えば、結局ディズニーは勧善懲悪なのだ。
悪がいなければプリンセスの悲劇性も、王子の英雄性も、最終的なロマンチックも生まれない。それらは、ヴィランが魅力的であればあるほど面白くなる。ミシェル姐さんを起用した勝利だと思う。
国を守るためには手段を選ばず、「運命のキスの相手なんて誰だろうと構いやしない!」と、おとぎ話の根底を覆す発言をするミシェル姐さんの凄みよ。

[PR]

指輪物語のような見事な冒険活劇だった!

マレフィセントに同じ種族がいるのは些かやり過ぎ感が否めなかったが、それら妖精と人間との間で不穏な空気が流れ、遂に戦争まで発展。その様は、もはや軽くロード・オブ・ザ・リングの様相(笑)決してディズニーチックではないが、時代に合わせて、おとぎ話を、こんな大胆な活劇に昇華させたのは凄いと言える。

異種を認め合うメッセージ性こそ本作の本筋!

人間と妖精間で起こった「異種を認めない」という偏向的な考えの愚かさを憂うメッセージ性は、もはや使い古された手法であるが、大国の大統領の口から差別的思想が平気で放たれたり、日本国内でも、どこぞの施設で障害者の命に価値を見出せないことで悲惨な事件が起き、ネット上で共感もされる現代には、多様性を甘受するディズニーこそ、こういったダイバーシティを広めることが宿命だと思わざるを得ない。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

[PR]




[PR]

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. UVERworldの男祭り遂に東京ドーム実現!でも女性CREWからブーイング?
  2. ワン・ダイレクションのソロ実績がビートルズに並ぶ!活動休止後の各メンバーの成績も…
  3. 2017年 勝手に選ぶベスト洋楽 TOP10
  4. 【ライヴレポ】ワンオク初の東京ドーム公演で見た“世界基準のバンドの風格”に圧倒さ…
  5. 何故「バルス現象」は起きるのか?その理由は日本特有の国民性と風土にあった!

関連記事

  1. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス

    冒頭から巨大な海洋的な異性物が落下してきて、お馴染みの駄目駄目…

  2. 映画レビュー

    時代と逆行する想定内のキムタク映画『無限の住人』

    黒澤明の『椿三十郎』のラストシーンを思い出した。三船敏郎と仲代…

  3. 映画レビュー

    実写版『アラジン』賞賛する言葉が多過ぎて的確な表現探すのが大変なほど名作!

    この映画を賞賛したい言葉が多過ぎて的確な表現を見つけるのに大変…

  4. 映画レビュー

    『レッド・スパロウ』で初ヌードを見せたジェニファー・ローレンスの女優魂に圧倒される!

    時代の寵児であるジェニファー・ローレンスが果敢にもキャリア初と…

  5. 映画レビュー

    『イコライザー2』根底にあるのは水戸黄門のような勧善懲悪だからこそ観てて爽快!

    正義の貫徹というド直球な設定が気持ち良く、前作では理不尽な悪に虐げ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. 邦楽

    THE ORAL CIGARETTES山中がビバラでUVERworld TAKU…
  2. ハリウッド

    【YOUTUBE誕生のきっかけ】来年2018年のハーフタイムショーはジャスティン…
  3. ライブレポート

    ポール東京ドーム初日を観た!
  4. ライブレポート

    COUNTDOWN JAPAN 1718 2日目ライヴレポート
  5. 邦楽

    実は失敗していたサザンの紅白!ユーミンとの奇跡の共演に助けられ拍手喝采!
PAGE TOP