映画レビュー

【映画鑑賞日記】帝一の國

(C) 2017フジテレビジョン 集英社 東宝 (C) 古屋兎丸/集英社

漫画原作というか邦画そのものに面白みを感じない自分が絶賛したい映画である。何故ここまで、この映画は面白いのか? 全ては、結局、人っていうのは選挙が好きなんだってことに尽きる。

本物の選挙に関心がない人も多いことだろう。若い世代に多いといわれるが、彼らが選挙に関心がないとするならば、自分の仕事やお金、将来に、まだ影響していないからだ。学費を親に払ってもらっている大学生なら、所得税や住民税も支払う必要もないとくれば、増税に関しても意識はいかないだろう。年金も払ってなければ、老後もまだまだ先の話で意識はしまい。
しかし、年齢を重ねれば、税金や年金の問題が身近になる、現状を変えなければならない・・・と、自分の持つ一票の重さに気付く、選挙に関心が向く。

誰それに当選して欲しい。誰それが応援してるから投票したい。
これらの願望が、この映画では劇中のイケメン俳優に向けられる。あまりにポップでコミックだが、その切望は、現実の選挙と同じ心理に変わりないことに気付く。
そんな程度の低い思いで投票に行っているのかと呆れられるかもしれないが、選挙なんてそんなもんじゃないか?
選挙というのは様々な思惑や策略があることだろう。いろいろな思索が渦巻いて、ある意味、娯楽的な側面も併せ持つ。その最たる例が、アメリカの大統領選である。殊更、昨年のトランプ大統領とヒラリー候補の戦いは、政治的というよりも、まるっきりエンターテイメントだった。選挙とは娯楽なのだ。楽しむものなのだ。いや、楽しいものなのだ。

それらを凝縮したのが、この映画である。生徒会選とはいえ、ガチに選挙映画の体を成している。学園でダントツの人気を誇る間宮祥太朗と、人望はあるが人気の点では間宮に劣る千葉雄大の、どっち引かずの混戦ぶりが楽しい。競争というのは接戦こそ観ている方も燃え上がるのを、この映画は承知の上で、ぐいぐいと人の関心を攻めてくる。それらに加わるのが、今をときめく、野村周平や竹内涼真、志尊淳だ。各々のキャラ設定も絶妙で、苦労人の人徳者、性悪、乙女チック・・・など、濃いキャラクターばかりなのが如何にも漫画的で面白い。
もちろん、主演の菅田将暉の非イケメンなキャラのインパクトが一層に際立っている(私は彼のイケメン俳優と持て囃されている風潮がイマイチ理解できていない。彼は決してイケメンではない。演技派ならまだ分かるが・・・)

たかが生徒会選挙を、ここまで大袈裟に描いたことでの馬鹿馬鹿しさが吉と出ている。たかが生徒会で括ってはいけない。言わば、“されど映画”だ。コントの手法であるが、こんなちっちゃい話が大きくなっていくのは脚本の妙で、どんどん関心を惹きつけていく展開は見事である。

また、自分のように、戦隊ファンも喜ぶキャスティングだ。
菅田将暉はW。竹内涼真は555。鈴木勝大はゴーバスターズ。千葉雄大はゴセイジャー。志尊淳はトッキュウジャー。アオニンジャーも脇でいたし。仮面ライダーや戦隊出身が、まぁ多いこと!もはや、登竜門でなく、JUNONからの戦隊経験は俳優としてデビューするのに歩む義務だな・・・(笑)
それら、イケメン俳優達の半裸姿で太鼓を叩くシーンや、BLっぽい設定など、メインターゲットであろうteen女子へのサービスも事欠かない。そりゃ、同時期公開となった、(人気低迷といえど)国民的スターであるキムタク主演時代劇の動員を上回るわけだ。

 

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