映画レビュー

あれま?真剣佑の健闘虚しく『パシフィック・リム:アップライジング』いつの間にか中国映画になちゃったよ!

© Legendary Pictures / Universal Pictures.


ロボットがカッコ良ければ何でもいい映画だと思ってるので、個人的には十分にアリな作品だった。アベンジャーズが激闘の末、街中を破壊したことで、責任を問われるようになった堅苦しい昨今において、そんなこと一切ガン無視した、イェーガー(二日酔いでゲロ吐きそうな名前)とKAIJUの圧倒的な闘いの時代錯誤感がなんとも頭悪そうで、ここまで開き直ったらOKと言わざるを得ない気がする程だった。

イェガーが手から鞭状の光線を出して、それを高層ビルに括り、そのままなぎ倒して、KAIJUにぶち当てるとか。ぉぃぉぃ。『シンゴジラ』で集団的自衛権だとか、あれこれうんちく垂れていた輩の理屈すら吹き飛ばすシーンは呆然通り越した痛快さを感じた。そこに理屈なんかない。昔の円谷プロの考え方。単純明快でいいよ、もう。東京が大壊滅。二年後に五輪なんか出来ません。この場合は、アメリカが賠償してくれるのだろうか? どうでもいい(笑)


KAIJUという単語からも分かる通り、前作で今やオスカー監督となったデル・トロは、この『パシフィック・リム』シリーズに、日本的要素を取り込んだ。しかし、続編は完全に中国資本が見え隠れ。映画の大半は中国が舞台。俳優も中国系が何故かいるし。ガラパゴス化して、どこぞの国の映画なのか分からない、不可思議な映画に成り下がっていたのは残念な限りだ。富士山も富士山じゃなかったし。やはり最大興収が見込める中国に媚を売るハリウッドの体制は未だ健在か? 前作からの功労者である菊地凜子の扱いの雑さも、まるで日本のマーケットは重要視してないんで宣言に思えるのは被害妄想かな?(笑)

クリント・イーストウッドの息子が主要人物として登場し、今やSWで世界的人気を誇るボイエガとナイス・タッグを組むところも見応えあるし。『トランス・フォーマー』の影響で、すっかりロボットが大暴れする怒涛の映像に免疫が出来てしまったにせよ、ハチャメチャな映画って、たまには観たくなるもの。

ただ、真剣佑にもっとスポットライトを当てて欲しかった。彼はネイティブの英語が話せる、数少ない日本若手売れっ子俳優だ。発音に関しては、NYのミュージカル「王様と私」で「何を言ってるか分からない」と地元紙に酷評された渡辺謙なんか比にならないレベルなのに、『バイオハザード』のローラ並みの扱いにガッカリした。おそらく彼ほど、ハリウッドで活躍できる俳優はいないと思うんだけど。やっぱ、これも、日本のマーケットは重要視してないんで宣言かな。「整列!」くらいしか言ってなかった気がする(笑)可哀想に。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。



 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. RADWIMPS「HINOMARU」が物議!ポップ・ソングの右傾化に不自然さを感…
  2. 今年2018年のサマソニがガラガラの異常事態!~その原因を探ってみた
  3. THE ORAL CIGARETTES山中がビバラでUVERworld TAKU…
  4. アリアナ慈善LIVE「One Love Manchester」を観て感じたこと
  5. 2017年 勝手に選ぶベスト洋楽 TOP10

関連記事

  1. 映画レビュー

    マーベルに名作増える『スパイダーマン:ホームカミング』青春ヒーロー映画の金字塔誕生!

    所詮はアメコミである。これだけ年に複数作も乱発公開していれば観客も…

  2. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】パッセンジャー

    誰かに求められること、他人を意識した言動が意味を成す。対象があ…

  3. 映画レビュー

    自分の起源を知り家系を大事にする想いに感動する『リメンバー・ミー』

    お盆の時期、幼い頃に両親の実家に行った際に、仏壇がいつも以上に大掛…

  4. 映画レビュー

    キュウレンジャーは読売巨人軍だと思った『宇宙戦隊キュウレンジャーTHE MOVIE ゲース・インダベ…

    この夏はハリウッドがスーパー戦隊を本域で映画化した『パワーレンジャ…

  5. 映画レビュー

    驚異の技術力を示した実写版『ライオン・キング』だけど失った物もある・・・

    驚異的な再現力に脱帽としか言いようがないオリジナルに忠実に再現…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. 邦楽

    安室奈美恵の引退への想い~安室という現象が現代の日本女性像を変えた~
  2. 邦楽

    サザン40周年ライヴをLVで観る!~親近感こそサザン最大の魅力だと再確認する~
  3. ハリウッド

    『君の名は。』のハリウッド実写化が失敗すると断言したい理由
  4. ライブレポート

    COUNTDOWN JAPAN 1718 3日目ライヴレポート
  5. 映画レビュー

    『娼年』の実写化で性に真剣に向き合った監督と、素っ裸で腰振りまくった松坂桃李に敬…
PAGE TOP