映画レビュー

ジョディ・フォスター史上最高傑作だった『マネーモンスター』




TriStar Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

文句なしで今年のトップに入る娯楽作だと太鼓判を押したくなる傑作でした!
これまでのジョディ・フォスター作品は正直面白くなかったけど、これは大当たり!

舞台は株の情報を扱うテレビ番組。司会のジョージ・クルーニー扮する男が軽妙なダンスやコメントを繰り広げるような軽い番組なのですが、その番組の情報に騙されたと憤慨した視聴者が銃を片手に番組の収録スタジオに忍び込み、番組ジャック!ディレクターのジュリア・ロバーツ(久々に見た)と共に、この危機をどう抜け出すかの密室劇!
犯人との丁々発止のやり取りは、オスカー俳優たちの名演技が相まってか、一気に映画に吸い込まれますし、その様子を息つく暇もないほどの高速展開で魅せる構成が流石ですし、ジェットコースタームービーとして、見事に成功!

ただ、一見、クライム・サスペンスとして見られがちな映画ですが、この映画は社会派と呼ぶに相応しい、現代の米国を象徴するテーマ性が隠されており、今見るべき映画だと思います!
番組をジャックした犯人が崖っぷちな生活をしている、株取引で大金を儲けている企業には、この気持ちは分からないという動機が明らかになっていくのですが、そのバックグラウンドにはジョディ・フォスターによる強烈な<格差社会への批判>的意見が織り交ざっています。この映画の本筋はそこ!実際に、劇中でも番組を見ている視聴者たち、世論の声が、いつしか犯人への共鳴へと変わっていくのが興味深かったです。
『狼たちの午後』のアル・パチーノ宜しく、富裕層を敵にした犯人を英雄視する風潮を、嫌味なく描いているジョディの手腕は流石です!

(文・ROCKinNET.com編集部)
※当記事の著作はROCKinNET.comに帰属し、一切の無断転載・再交付は固く禁ずる。


 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 何故「バルス現象」は起きるのか?その理由は日本特有の国民性と風土にあった!
  2. 【速報レポ】My Hair is Badの初武道館公演を観る!椎木が提示した正し…
  3. THE ORAL CIGARETTES山中がビバラでUVERworld TAKU…
  4. RADWIMPS「HINOMARU」が物議!ポップ・ソングの右傾化に不自然さを感…
  5. ELLEGARDEN復活ライヴを観る!10年の活動休止の先にあった変わらない尊さ…

関連記事

  1. 映画レビュー

    俺が勝手に選ぶBest映画2015

    今年も発表します!大学で映画学科として映画を学び、その後も映画に対する…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

  1. ハリウッド

    【YOUTUBE誕生のきっかけ】来年2018年のハーフタイムショーはジャスティン…
  2. ニュース

    原爆シャツ騒動でMステ出演中止になったBTSが犯した罪とは?
  3. 邦楽

    【全曲レビュー】桑田佳祐の最新作『がらくた』が凄過ぎた!大衆音楽ここに極まり!
  4. ライブレポート

    SUMMER SONIC 2017 東京会場1日目ライヴレポート
  5. 映画レビュー

    果たして労働は悪なのか?『ちょっと今から仕事やめてくる』に見る現代社会の新価値観…
PAGE TOP