映画レビュー

【映画鑑賞日記】ナイスガイズ!

(C) 2016 NICE GUYS, LLC

今年度の賞レースを独占している『ラ・ラ・ランド』で主演を務めた、今をトキメク人気俳優ライアン・ゴズリングが、名優ラッセル・クロウと共演したと聞けば、映画ファンとして観ないわけにはいかないでしょ!しかも、最高にイケてる男性の象徴であるライアンが、ダメンズを演じてると聞けば、尚更観たくなって当然でしょ!その駄目っぷりが、またチャーミングさを醸し出してるから同性としては嫉妬感さえ覚える。女性が思わずほっとけないダメンズを見事に演じきって見せた。やはり、ライアン只者ではない。

そんな終始ヘラヘラしているダメ私立探偵のライアンと、終始仏頂面の暴力的な示談屋のラッセルという凸凹コンビが本当にお似合いなのが良い!
こういうバディー・ムービーの配役は本当に難しいと思う。個性の違う二人を選ぶことは当然としても、それが見た目のバランス、キャラクター像の違和感の無さ、丁々発止の会話劇などがうまいこと調和して成立してなきゃいけない。それが巧みに成立してる最たる成功例は、やはり『スター・ウォーズ』のR2-D2とC3POだと思っているが(=黒沢明監督作『隠し扉の三悪人』の太平と又七ってことでもあるが)
今日本では『相棒』の劇場版最新作が人気らしいが、あんな適当な俳優を当て込むだけじゃ駄目だと思うよ?

そんなナイスな凸凹コンビがポルノ女優殺人事件を追っていくうちに、巨大な陰謀に巻き込まれていく様をコミカルに描いた王道娯楽作。
物語は70年代が舞台で、衣装やセットなど完全にアナログ。しかも、事件の可決方法も悪者を殴る!蹴る!とアナログなのが嬉しい。否定はしないけど、最近のコミック原作の何でもありなCG映画の箸休めには、こういう映画も観ていいと思うんだけどな。
謎が謎を呼ぶ展開は、まるで豪華な火サスのようで、一緒にミステリーを解いていく推理体験ができて、そこまで複雑怪奇でもないから尚一層面白い。見事な伏線が回収される最後にはスッキリとしたカタルシスも待っている。これもアナログでいい。
同時に、ライアンが駄目な人生を取り戻していく成長物語・人生再生のストーリーとなっているのも非常に興味深い。「ダメでもいいじゃん?」「やり直すきっかけはある」といった映画の根底にある優しいメッセージ性に心救われる気がする。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 【ライヴレポ】ワンオク初の東京ドーム公演で見た“世界基準のバンドの風格”に圧倒さ…
  2. 『いぬやしき』興行失敗で垣間見える漫画原作映画の限界~世間はエグさに飽きている
  3. 想定外のラストに衝撃!『アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー』で初めてアメコ…
  4. 『君の名は。』のハリウッド実写化が失敗すると断言したい理由
  5. 今年2018年のサマソニがガラガラの異常事態!~その原因を探ってみた

関連記事

  1. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】ゴースト・イン・ザ・シェル

    囲碁の名人が人工知能に負けたというニュースを見て、人類はこのま…

  2. 映画レビュー

    『メアリと魔女の花』が駄目だった理由は完全に宮崎駿から解放されてなかったからだ

    アニメ映画というのは少なからず何か心に残るシーンと言うものがあろう…

  3. 映画レビュー

    グレン・クローズの芸達者ぶりに圧倒された『天才作家の妻 -40年目の真実-』

    ノーベル文学賞を受賞した作家と、その夫婦にまつわる疑惑をめぐるサス…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

  1. 映画レビュー

    実写化史上最も成功していると言って過言でない『美女と野獣』に感動する
  2. ライブレポート

    SUMMER SONIC 2017 東京会場1日目ライヴレポート
  3. 邦楽

    KEYTALKの八木氏はナゼ愛されるのか?その無敵な愛嬌の謎と八木氏のドラムテク…
  4. ライブレポート

    COUNTDOWN JAPAN 1718 4日目ライヴレポート
  5. 日記

    大雪なので雪の日に聴きたい楽曲を集めてみた!
PAGE TOP