アカデミー賞

ノミネートを見て感じる「変わってるようで何も変わってない」アカデミー賞の偏向性



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いよいよ本格的な賞レースの時期がやって来た!

アカデミー賞のノミネートが発表され、昨年、世界的ヒット作となった『ジョーカー』が最多11部門でのノミネートとなった。今年のオスカーは史上初アメコミが制覇するのだろうか?楽しみである。続いて『アイリッシュマン』『1917 命をかけた伝令』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の10部門と続く。
『アイリッシュマン』『マリッジ・ストーリー』と昨年の『ROMA/ローマ』に引き続きNetflix配信作品も目立つ。下馬評の高い韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が作品賞をはじめ、監督賞、脚本賞など主要部門に上がっているのも興味深い。


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女性監督不在にブーイング

同じく監督賞には、スコセッシやタランティーノ、サム・メンデスといった大物監督が数多くノミネートされるも、女性監督不在であることに批判が飛んでいる。しかし、MeTooに反発する気は更々ないが致し方ない気もする。何故なら、まだ映画界全体を見渡しても女性監督作品が圧倒的に少ないからである。母数が少ないと自然と良作も少なくなろう。女性監督だからという理由で作品を称えるのは本末転倒であるし。オスカーがジェンダー差別をしている云々の議論以前に、もっとハリウッドにおける女性監督進出という根本について議論すべきに思った。
確かに『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』(グレタ・ガーウィグという女性監督作品)が作品賞にノミネートされてたり、『フェアウェル』『ハスラーズ』など女性監督作は多くなってきてるにせよ。

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ブラピ俳優として初オスカーになるか?

助演男優賞にノミネートされたブラッド・ピットが俳優としての初のオスカー獲得となるかに期待だ。アイドル俳優を嫌うオスカーはブラピに製作者としてオスカーを授けてはいたが、本業の俳優としての評価は下したことはなかった。ディカプリオも同様に初オスカーまで相当の苦労をしたが。彼らが共演した『ワンハリ』も評判が良い映画だけに、ブラピ初の栄冠を願わずにはいられない。


何故ノミネートされなかった?な俳優陣

今年の面子は白過ぎるオスカー再び!

ただ、主演女優のシンシア・エリヴォ『ハリエット』以外は白人俳優ということで、今年は特に「白過ぎるオスカー」は改善出来てないように思える。というのも、今回『マリッジ・ストーリー』で主演女優賞『ジョジョ・ラビット』で助演女優賞とスカーレット・ヨハンソンがWノミネートを果たしたように少し偏向的な気も。

アジア系俳優は黒人以上に冷遇されがち?

ゴールデングローブ賞で主演女優賞を受賞した『フェアウェル』のオークワフィナが除外されている。女性や黒人差別が表立って取り沙汰されるが、アジア系俳優の不遇も実は根深い差別として蔓延っている。『パラサイト 半地下の家族』でソン・ガンホなど俳優陣が無視されてるのも同様か(そう考えると、04年『ラストサムライ』の渡辺謙、07年『バベル』の菊地凛子って凄い快挙だなと)。同作は作品賞や監督賞から漏れたことも残念だ。今年の賞レースで好評だった作品だけに、箸にも棒にも掛かってないとなれば、多様性を欠いていると言われても仕方ない。


ジェニファー・ロペスの落選は最低としか言いようがない

また、『ハスラーズ』のジェニファー・ロペスが主演女優賞に漏れたのも驚きだった。女性版『グッドフェローズ』と好評の作品で、ベテランのストリップ嬢を体当たりで演じた。この映画で演じてる女性像は性を武器にするだけに、今の時流に厭われたか? それなら『スキャンダル』の方が評価されるのも分かるが、演技の問題であるからな~。彼女の長いキャリア中でも最も好演を果たしたと言えるだけに、この落選は最低だと思わずにはいられない。

オスカーはコメディ俳優にも冷たい?

『Uncut Gems(原題)』のアダム・サンドラーと『ルディ・レイ・ムーア』エディ・マーフィーも主演男優賞が期待されたがノミネートは叶わなかった。エディはかつて『ドリーム・ガールズ』で各映画賞を総なめにしつつもオスカーだけ助演男優賞を逃したことがあった。コメディ俳優には意外に冷たい?

求められる多様性、オスカーが受け入れる日は来るのだろうか?

ノミネート枠は数が限られているから何でもかんでも候補にしてしまう訳にもいかない。けど、クリストフ・ヴァルツやマハーシャラ・アリなど近年中に2回受賞などが良い例なように、オスカーの好みが偏向的なのは、会員を6000人から8000人に増やし、多様な年齢、性別、人種に拡大させても変わらぬようだ。
もともとアカデミー賞なんてものは、ハリウッドのお祭りであって、外国映画なんて眼中になかった。そういう起源があり伝統化されていった、いつの間にか保守的な層の内輪ノリ宴会が世界的権威となったため、ダイバーシティ叫ばれる世の中で変化が求められたので、その変化を遂げる難しさというのも分からなくもない。しかし、もう少し多様的な祭典になってくれたらという希望は捨てずにいたい。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。






 

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